2022年6月に発売されるタイトルの中でも、特に注目を集めているもののひとつが『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』(以下、FE無双 風花雪月)です。『ファイアーエムブレム 風花雪月』と「無双」がコラボした本作は、数多くの魅力でゲームユーザーを引き付けています。


この話題作は、原作に当たる『ファイアーエムブレム 風花雪月』のファンから特に熱い視線を注がれています。シミュレーションRPGのユーザーが、コラボ作品とはいえ、なぜ無双アクションの『FE無双 風花雪月』に関心を示しているのか。気になるポイントをピックアップし、その背景に迫ります。

■過酷な戦いは“新たな物語”で報われるのか、それとも別の苦難が待つのか
『FE無双 風花雪月』は、原作になかった「新たな物語」が描かれます。その分岐点はかなり早く、『FE 風花雪月』では3学級の級長たちと「ベレス/ベレト」が出会うことで物語が動き出しましたが、本作では代わりに「シェズ」が彼らと遭遇。そのため、ベレス/ベレトは教師にならず、原作とはここから大きく道を違えます。

一度倒れた者は、そのままロストしてしまう──「ファイアーエムブレム」シリーズは、戦争の過酷さをゲーム性の上でも表現してきました。もちろん物語も厳しい局面が多く、時には悲劇に見舞われることもあります。

原作の『FE 風花雪月』でも、同じ学び舎で過ごした者同士が戦うという残酷な、そして戦争ならば容易く起こり得る現実を描き、悩ましい局面をプレイヤーに提示。その厳しい状況を乗り越えつつも、「誰もが救われる道はなかったのか……」とあり得ない夢に想いを馳せた方もいたことでしょう。

こうした厳しい戦いを味わった原作ファンだからこそ、新たな物語を描く『FE無双 風花雪月』に、「今度こそ!」と期待を寄せてしまうのも無理のない話。もちろん、その過酷さがいいと考える人もいますし、本作の物語が実際にどのような形で決着するのかは、クリアした人にしか分かりません。


新たな物語に幸せを求める方、さらなる過酷さを望む人……そうした期待する心が、『FE無双 風花雪月』が注目される一因になっています。

■「生徒と生徒」から始まる、同性代同士の交流
『FE 風花雪月』の主人公は、教師という立場で他のキャラクターと接し、生徒たちを導いてきました。そして成長した生徒と共に、過酷な戦場を駆け抜け、絆を深めていきます。その絆は唯一無二ですが、そこにはやはり「教師と生徒」から始まった関係性がありました。

対する本作では、主人公が士官学校に籍を置く流れは同じ。しかし、こちらは同じ生徒としての編入です。年頃も同年代のため、接し方もまた違った印象を受けます。相手は同じ人物なので、反応が大きく変わるわけではありませんが、ベレス/ベレトへの接し方とはやはり異なっており、ちょっとした新鮮さも覚えます。

級長たちから勧誘を受けて戦争に加わる時も、同朋として求めてくるような雰囲気があり、『FE 風花雪月』とは関わり方が少し異なっているのも原作ファンにとって嬉しいポイントのひとつでしょう。例えば、エーデルガルドとのやり取りも同性代らしさが見え隠れしますし、ベルの引きこもりたい発言も、関係性の気安さからか、さらに拍車がかかっているような印象を受けます。

関係性といえば、『FE 風花雪月』では設定のみだったり、顔を出すことのなかった関係者(生徒の親や兄弟など)が登場する点も見逃せません。「お噂はかねがね…」と思いながら、そのご尊顔を拝見するのもちょっとした楽しみです。


■生徒たちの、絶妙な年頃の新モデルを眺めるのも楽しい!
3級長たちとシェズが出会ったことにより、物語は大きく変化していきます。その中でも最も分かりやすいのが、開戦のタイミング。原作では5年後に戦争が始まりましたが、『FE無双 風花雪月』では学び舎で過ごす時間も短めで、しかもその2年後に戦いが勃発します。

状況の変化はストーリー面への影響も多大ですが、ここで触れたいのは生徒たちの見た目。『FE 風花雪月』では5年後の姿が用意されていましたが、今回そちらは当然使えません。そこで本作では、2年後の生徒たちのデザインを用意し、新たな3Dモデルを登場させました。

生徒時代よりも成長しながら、『FE 風花雪月』の5年後ほど大人びていない、新たな姿を見せてくれる(元)生徒たち。その新鮮な装いや成長ぶりも、本作ならではの見どころと言えます。

新たな物語が展開するだけでなく、原作では見ることが叶わなかった成長の過程も、『FE無双 風花雪月』では味わえます。しかも本作はアクションゲーム。装いも新たな彼ら・彼女らを直接操作できるなんて、この上なく贅沢な楽しさです。

■アクションゲームを、あなたの戦略で向かい撃て!
タイトルにもある通り、『FE無双 風花雪月』は「無双」のゲーム性を取り入れたアクションゲームです。
原作はシミュレーションRPGだったので、大きく路線が変わりました。そのため、ファンによっては不得手なジャンルになってしまった一面も否定できません。

ですが、「アクションゲームがちょっと苦手」くらいなら、それだけで諦めるのはまだ早計。アクションがメインなのは間違いありませんが、同時に戦略要素も重要な鍵になっているのも事実です。

細かく挙げていくとキリがないので、最も大きな戦略要素について説明すると、本作には「FE」シリーズでもお馴染みの「相性」があります。剣なら斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い。こうした相性を理解すれば、相手の倒しやすさが格段に変わります。

また本作は、戦場に出ている他のメンバーに「指示」を出すことが可能。「あの敵将を倒して欲しい」「あの砦を占拠してくれ」と指示を出せば、その目的を果たすために行動してくれるのです

こうした指示が出せるゲームはいくつもあり、例えば「無双」コラボ作品のひとつ『ゼルダ無双』シリーズでも指示自体は出せます。が、敵に狙いを定めたり、敵拠点に送り込んでも、華々しい成果はあまり得られず、実感としては敵の足止めや移動の労力を任せるといった程度になります。

しかし『FE無双 風花雪月』の場合、相性を踏まえて有利な相手に向かわせると、しっかり撃破してくれる場合が少なくありません。倒す速度自体は、操作に慣れたプレイヤーにこそ敵いませんが、有利な状況なら戦いをある程度任せられるので、アクションゲームですが「信頼する将兵に任せる」といった指揮官気分を味わえます。


事前に敵の傾向を調べ、有利な布陣を敷いてから戦いを始める。これは、「FE」ファンなら身体に染み付いた工程のひとつでしょう。また、戦闘中もこまめに指示を出すことで、アクションが多少苦手でも、戦局を有利に運ぶことができます。

ちなみに成長要素も大きいため、自分の腕前をレベルアップで補うという手もあります。フリーマップのある「FE」シリーズの作品と同様に、しっかり成長させ、十分な戦力で立ち向かうという手段は、本作でも有効です。こうした要素は数多くあるので、ジャンル違いで気後れする必要がないのも、注目を集める理由のひとつでしょう。

『FE 風花雪月』を踏まえた上で、新たな物語に期待し、生徒たちのちょっと違う側面や新たな姿を堪能でき、アクションゲームに「戦略」で立ち向かう楽しさがある『FE無双 風花雪月』。

今回挙げた要素も、本作の特徴の一部に過ぎませんが、ジャンルを越えてなお原作ファンから関心を寄せられる事情がお分かりいただけたかと思います。もし気になっている方がいれば、『FE無双 風花雪月』のプレイ予定を立ててみるのも一興ですよ。
編集部おすすめ