本稿では、そんな2大TCGが公式でリリースしている“アプリ版”を比較。
実は本家とかなり違う『デュエプレ』
まず取り上げたいのは、2019年にリリースされた『デュエル・マスターズ プレイス(デュエプレ)』。『デュエマ』のスマートフォンアプリとして、市民権を得ているタイトルです。
ただ、注意すべきはゲーム内で採用されているルールが『デュエマ』と異なっていること。一言でいうと、「スマートフォンでTCGをプレイすること」に特化した作りとなっています。
代表的な違いは、「マナ」の扱い。たとえば『デュエマ』では火の呪文を唱える際、マナゾーンにある火文明のカードを都度消費しなければなりません。しかし『デュエプレ』では火文明のカードが1枚でもあれば、“解放”された扱いになり、何枚でも対応した呪文を唱えられます。
おそらくこれは、マナゾーンのどのカードを選択するか…という部分を省略し、プレイ時間を短縮することが狙い。『デュエプレ』では他にもサーチ効果の簡略化など、効率をよくするための工夫が見られます。
また、カードの能力や効果が、本家と異なる形で実装されることがあるのも特徴。たとえば『デュエマ』で「ダブル・ブレイカー」(1度に2ダメージを与える)能力を持っている「悪魔神バロム」は、『デュエプレ』では「トリプル・ブレイカー」(1度に3ダメージを与える)能力に変更されていました。
こうした変更は、後に登場した他のカードと、強さのバランスを取るためでしょう。さまざまな点で、スマートフォンユーザーがストレスなく楽しめるように工夫されていることが分かります。
『マスターデュエル』は本家を忠実に再現
一方で、できるだけ忠実に『遊戯王OCG』を再現しているのが2022年にリリースされた『遊戯王 マスターデュエル』。約1万種類以上あると言われているカードを、ほとんど収録しています。
ルールはもちろん、カードの効果や能力まで、全て本家『遊戯王OCG』に準拠。実際に紙のカードを使って遊ぶのと、なんら変わらないゲーム体験を提供しています。さらに同作のプレイヤーは、『遊戯王OCG』の世界最強を決める祭典「Yu-Gi-Oh! World Championship」にも、「マスターデュエル部門」として参加可能です。
こうした方針から、『遊戯王OCG』に強い思い入れがあるプレイヤーほど、『マスターデュエル』をどっぷり楽しめるはず。逆にアプリ版から紙へと移行したい人にとっても、ありがたい足がかりとなるでしょう。
また、あらためて比較するなら、『デュエプレ』はむしろ新規ファン層に門戸を開いているところが魅力。スマートフォンでお手軽にカードゲームを遊んでみたい層にもうってつけだと言えます。
ただ、『遊戯王OCG』のゲームとしても、『遊戯王 デュエルリンクス』や『遊戯王クロスデュエル』は方針が異なり、『デュエプレ』のような“スマホユーザー意識”のタイトルとなっています。
カードゲームを愛する人は、それぞれどんなゲーム体験を得られるのか、実際にプレイして比べてみるのもいいかもしれませんね。