さまざまなゲームに登場するボスキャラの魅力をあらためて掘り下げる連載「僕らのボスキャラ列伝」。第30回は『スナッチャー』に登場するバイオロイド・スナッチャーを紹介します。
記事には物語のネタバレが含まれますので、ご了承ください。
しぶといヤツだ…これがスナッチャーか…!
今回紹介するスナッチャーは、1988年にPCで発売されたコナミのサイバーパンクアドベンチャーゲーム『スナッチャー』に登場する謎のバイオロイドの総称です。筆者はその4年後に発売されたPCエンジン SUPER CD-ROM版で初めて本作に触れたので、PCエンジン版を基準にしたお話をお届けします。

2042年、日本のネオ・コウベ・シティを騒がせるスナッチャーは国籍・目的・正体すべてが不明。分かっているのは「冬になると現れて人を殺害し、密かに本人とすりかわって社会に浸透しようとしている」ことのみで、その特性からスナッチャー(snatch+er)と名づけられました。

主人公のギリアン・シードは数年前にシベリアで軍に保護された経緯を持つ記憶喪失の男性で、そのまま軍での長期特殊訓練を経て政府諜報部直属の特殊警察「JUNKER(ジャンカ―)」に就任。
彼が本部に配属されるところから物語が始まります。

ジャンカーはスナッチャーを探し出して破壊するために組織された特殊警察で、組織名の由来はJudgement Uninfected Naked Kind & Exective Rangerの頭文字をつなげた略称となっており、読んでそのまま「屑鉄処理人(Junk+er)」という意味も持っています。こういうネーミング、ぞくぞくしますよね。当時中学生だった筆者は瞬く間に本作の虜になりました。もちろん今でも大好きです。

スナッチャーも怖いが動体反応の警告音がもっと怖かった
ここまで読んでお気づきの方も多いと思いますが、本作は1982年公開のSF映画『ブレードランナー』の影響を色濃く残す作品です。
『ブレードランナー』と明確に異なるところは、本作ではスナッチャーたちのパーソナリティ、人格などにスポットが当たることはなく、あくまで人類に敵対的な存在として書かれているところでしょうか。

それにも関わらず、なぜ敵対的であるかの理由は分からないまま物語が進むので(もちろん最終的には判明します)、筆者はビクビクしながら遊んでました。宇宙人や幽霊などでも同じことですが、人間は本能的に未知を恐れるのです(主語を大きくしてビビりを隠そうとする手法)。

そして、そんなスナッチャーの恐ろしさを一番如実に表現してくれたのが、ギリアンのよき相棒として活躍するナビゲーターロボ「メタルギア Mk-II(通称メタル)」でした。

メタルはスナッチャーが潜んでいると思われる施設や部屋に踏み込もうとする際にあらかじめ中をスキャンしてしてくれるのですが、彼(?)が「動体反応あり! ギリアン、何かがいます!」と言いながら発する警告音が本当にビックリする音なんです。

聞く者に警戒させなければ警告音として機能しませんので実に正しいのですが、筆者はこの音を聞くたびにビビりまくっていました。


冒頭でも述べたようにPCエンジン版『スナッチャー』は1992年に発売されたゲームで、物語の舞台は2042年でしたので、今年2022年は発売からはちょうど30年で、物語のちょうど20年前という節目の年でした。あと20年でスナッチャーは実現するでしょうか? 怖すぎるので実現しなくていいんですが!

余談ですが、PCエンジン SUPER CD-ROMタイトルにおけるコナミのゲームラインナップはとてもユニークでした。1992年の『スナッチャー』と『グラディウスII -GOFERの野望-』でおもしろさとクールな世界観が両立されたゲームを提供し、翌93年『悪魔城ドラキュラX 血の輪舞』では同シリーズらしいゴシックホラーの雰囲気はそのままにマリアという美少女ヒロインをも叩きつけ、そして94年には『ときめきメモリアル』をリリースして「コナミに一体何が…!?」とゲーマーたちを驚かせました(しかも遊んでみるとイロモノどころかガチで作り込まれたゲームだったので二度ビックリ)。

この驚きに満ちた濃密な2年間を再び味わえるだけで1万円の元は取れてしまったな…と、筆者は手元のPCエンジン miniを見てしみじみ思うのでした。