『オクトパストラベラーII』には8人の主人公がおり、この中からひとりを選んで冒険へと旅立ちます。他の7人は旅の仲間として登場し、それぞれの物語にも触れられるので、誰を選んで始めても問題はありません。


ですが、最初に選んだキャラクターで『オクトパストラベラーII』の第一印象は大きく変わりかねません。戦闘面の長所が異なるのはもちろんですが、性格から物語までいずれも大きく異なるためです。

誰を主人公にするか既に決めている方は、迷うことなくプレイをどうぞ。ですが、8人はいずれも魅力的なので決めかねていると、いざゲームを始めてもしばらく悩む事になりかねません。

優劣こそ付けられませんが、迷える方々へのひとつの指針として、物語面でおすすめしたい3人を独断でチョイスしました。いずれも雰囲気が全く違うので、自分の好みに合わせて選ぶのがおすすめです。なお、ネタバレは極力避けていますが、各主人公ごとの第1章の内容に触れているので、あらかじめご了承ください。

◆「ソローネ」は、シリアスで重厚なドラマ好きにおすすめ
重みのある物語や、世界の裏側に生きる人々のドラマに惹かれる人は、盗賊「ソローネ」を最初に選ぶのがおすすめです。彼女は黒蛇盗賊団に身を置き、盗みや掃除に明け暮れる日々を送っています。無論「掃除」は、単なる清掃を意味するものではありません。

開始直後からソローネは、傷ついた仲間を背負って登場。計画していた仕事に問題があった模様です。
裏稼業には危険がつきものですが、彼女が身を置く世界がどんな景色なのか、その厳しさが早速描かれ、ハードな幕開けを迎えます。

共に仕事に挑んだ面々も、仲間というよりは、同じ境遇を強いられた同胞といった様子。ソローネに信頼めいた一面を見せる相手もいますが、失敗を押し付けてきたり、他人事として立ち入らない者も多く、ソローネ自身はこの環境を諦観と共に受け入れてるように映ります。

黒蛇盗賊団を率いる「ファーザー」と「マザー」は、恐怖と圧力でソローネたちを従わせており、ソローネもその仕打ちに抗う素振りを見せません。しかし、ある仲間との何気ない会話の中で、自分の望みと向き合う言葉を投げかけられます。

そんな彼女が出した答えは、自由への渇望。ふたりの「親」に強いられた首輪から解き放たれ、束縛のない人生を掴むために旅立ちます。そして、この決断を下すソローネの目の前には、仲間の亡骸が物言わぬまま横たわっていました。

彼女が自由を求めると決めたのは、凄惨極まる一夜の出来事がきっかけでした。果たして何が起こり、そしてどんな目的で旅に出るのか。シリアスで重厚なドラマから幕を開けたい方は、人生を取り戻すと決めたソローネの日々から紐解いてみてはいかがでしょうか。

◆懐が深くて自由でおおらかと、主人公感あふれる「オーシュット」
8人のキャラクターはいずれも、自分の物語における主人公です。
誰もが目的を持ち、そのために邁進しますが、その中でも特に「主人公感」が強いのは狩人の「オーシュット」です。

オーシュットは人間ではなく「獣人」で、その見た目も種族としての人間とは異なります。獣人たちが暮らすトト・ハハ島は危険なモンスターなども蔓延っていますが、オーシュットは狩人としての腕を活かし、モンスターへの対処から狩りによる食料の調達までこなしていました。

獣人たちの暮らしと安全を支えるオーシュットは、しかし驕った様子もなく、独占欲や顕示欲といった利己心とも無縁。自分ばかりが苦労しているといった思考もなく、得たものは皆で分け合い、肉は美味いと喜ぶ。自然と共に生きる姿は、素朴で満ち足りたものを感じさせます。

この島には獣人だけでなく人間もいますが、それぞれ領土を決めるなど、一定のルールの下に共存。しかし人間側は、獲物が足りない、こっちの領土を増やせとたびたび詰め寄ります。彼らの欲望の果てしなさに、オーシュットの師匠でもある島の主は苛立ちを隠しきれません。

ですがオーシュット自身は、人間が武器を持てば応戦する一方で、困っていたら躊躇せず手助けするなど、非常に自由な気風を見せます。物質的に豊かとはとても言えませんが、その精神は自由で快活。彼女にとっては何気ない一言でも、人間の身であるプレイヤーには強く刺さること請け合いです。


また、彼女が旅立つ目的は、近い未来に迫りくる脅威からこの島を救うため。その“守るものの大きさ”も、主人公感満点と言えるでしょう。

◆明るく楽しく旅立ちたい! そんなあなたには「アグネア」をおすすめ
選べる8人は、性格はもちろんのこと、描かれる物語の方向性も全く異なります。その中には、裏街道を生きてきたソローネや、人生の全てを奪われたオズバルドといった、非常に重く心に圧し掛かる幕開けも少なくありません。

そんな彼らを後々仲間に加えるとしても、冒険の幕開けは明るく迎えたい──そんな願いを叶えたい方には、踊り子の「アグネア」を主人公に選ぶのが最適でしょう。小さな田舎町で育ったアグネアは、その酒場で舞い踊り、村人たちに活力を与える存在として慕われていました。

その日々はアグネアにも喜びをもたらしますが、彼女には大きな夢がありました。亡くなった母のようなスターになり、もっと多くの人を幸せにしたい、と。その夢を追いかけるため、彼女は村を出て旅立つことを決意します。

プレイの楽しみを奪わないように詳しい紹介は避けますが、村人たちはアグネアの夢に賛同しており、別れの寂しさをこぼしつつも、全員明るい笑顔で応援。姉に甘えがちだった妹も、家のことは任せてと胸を張って送り出してくれます。

唯一、アグネアの父だけは、その不器用さも手伝って娘の夢に難色を示す場面もありました。
しかし、最高の手向けを彼女に贈り、娘の旅立ちに花を添えており、文字通り満場一致の見送りに。

ここまでの解説で察しがつくかもしれませんが、アグネアが夢に向かう最初の一歩を描いた第1章には、悪い人間がひとりたりとも出てきません。全員がなんらかの形でアグネアを支え、快く送り出してくれるのです。

その旅立ちの読後感は、清々しさがこの上なく、8人の中でも指折りの気持ちよさ。こんな幕開けで旅立てたら……と思う理想的なプロローグでした。「ザ・旅立ち」で冒険を始めたい人は、ぜひアグネアを主人公に選んでください!

今回、独断で3人のおすすめをチョイスしました。いずれも方向性が全然違うので、自分の好みに合わせてご判断ください。もちろん、残り5人の旅立ちも十分魅力的なので、ピンと来るキャラがいたら、その閃きに身を委ねるのも一興です。

また、戦闘面での活躍度合いを中心に選んだおすすめキャラも紹介しています。誰の物語で幕開けを迎え、『オクトパストラベラーII』にどんな第一印象を抱くのか。それを楽しみながら、期待作に挑みましょう。

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