Nianticとカプコンがタッグを組み、『モンスターハンター』シリーズの新展開となる『Monster Hunter Now』(以下、モンハンNow)が発表されました。

『モンハンNow』は位置情報を活用し、モンスターを狩る「ハンターライフ体験」と現実世界を融合させて、これまでにないハンティングを手軽に味わえる全く新しい「モンハン」です。
シリーズのプロデューサーを務める辻本良三氏も、本作の発表会にて「『モンスターハンター』の作品のひとつ」と明言しています。

「モンハン」と現実世界の融合が、どのようなプレイ感をもたらすのか。また、メインシリーズの要素はどのように受け継がれているのか。発表会後に行われた先行体験会で『モンハンNow』に触れる機会に恵まれたので、その一部の内容となりますがプレイレポートをお届けし、本作が持つ魅力の一端に迫ります。

なお、今回プレイしたのはあくまで現時点のもので、製品版とは異なる可能性があることをご留意ください。

■現実世界と「モンハン」がクロスオーバー! 見慣れた街並みが「狩り」の舞台に
今回体験した範囲の話になりますが、『モンハンNow』のゲームプレイは大きく分けて2つのパートが存在します。それは「探索」と「狩り」。といっても、いずれも密接に関わっているので、構造的には分かりやすくてシンプルです。

「探索」は、いわゆる移動中の状態。この移動とは、プレイヤーの分身である「ハンター」の話だけでなく、プレイヤー自身の移動とほぼ同じ意味です。本作は現実世界が舞台なので、プレイヤーが実際に立っている場所そのものがフィールドとなります。

画面上には周囲のマップ(現実世界のもの)が表示され、その上にモンスターや素材が獲得できるアイコンなどが点在。
このアイコン群は画面全体に広がっていますが、動かずに干渉できるのは、ハンター(オレンジ色の点)を中心とする緑色の円の中だけ。そこから先のアイコンにアクセスするには、プレイヤー自身が実際に移動し、対象のアイコンを円の範囲に収めなければなりません。

緑円の範囲はそれなりに広く、今回のプレイでは複数のモンスターや素材ポイントが収まっていました。また、少し移動するだけで円の範囲に入りそうなアイコンもチラホラ。単純にハンティングを楽しむだけなら、苦労することなく一狩りが楽しめそうです。

ちなみにアイコン表示は、マップ画面を引いた状態のもの。この状態だと、ハンター・モンスター・素材ポイントはいずれもアイコンで描かれます。ですが、ピンチイン、アウトで拡大縮小ができ、寄りの視点になるとハンター・モンスター・素材ポイントは3Dモデルで表示。現実と「モンハン」世界が重なり合い、臨場感が一気に増します。

マップ自体は現実世界のものがベースですが、そこに「森林」や「沼地」といった属性が割り振られ、出現するモンスターや素材が変化するとのこと。今回の体験会では、周囲一帯が「砂漠」になっており、その先に「森林」が広がっていました。

今回の体験会は、野外ですが定点での試遊でした。
そのため移動面のプレイ感は味わえなかったものの、製品版なら「ちょっと森林まで足を伸ばすか」といった遊び方も可能なので、移動中の行動範囲が自ずと広がるかもしれません。位置情報を活用したゲームならではの影響を、本作でも味わえそうです。

素材があるポイントをタップすれば、場所に応じた素材を獲得可能。この時、背景が現実世界とリンクしており、現実と「モンハン」の交わりを一層強く感じられます。そしてモンスターをタップすれば、本作の最も大きな醍醐味となる「狩り」がスタート。ちなみにモンスターは、ついている★の数でおおよその強さが分かります。

■操作はシンプル、躍動感は上々! 原作の楽しさを短時間に詰め込んだ『モンハンNow』のバトル
本作に採用される武器種は全てではなく、正式サービス時に何種類になるのかはまだ未定です。今回の体験会では、「片手剣」「大剣」「太刀」「ライトボウガン」の存在を確認。またとない好機だったので、それぞれの武器を一通りプレイしてみました。

バトル時の画面は、モンスターと相対するTPS視点。スマホの画面なので相応のサイズ感ながら、挙動や存在感は従来のシリーズ作と同じ雰囲気を放っており、ハンターやモンスターの挙動も滑らか。少なくとも、違和感を覚えるほどの大きな違いはありません。


基本的な操作はどの武器種も共通で、タップで攻撃。連続でタップすれば、連続攻撃になります。敵からの攻撃は、フリックで回避可能。前後左右に避けられますし、移動や位置取りもこのフリックで行う形です。

モンスターが攻撃する前に、赤く光る予兆があるので、タイミングを合わせれば回避できます。また、最適なタイミングで避けるとジャスト回避になり、避けた後に特別な攻撃を繰り出せるので、ゲーム慣れしている人は攻防一体の動きができそうです。

タップで通常攻撃を行うほか、長押しで武器種ごとに特別なアクションを用意。例えば、片手剣で長押しすると「ガード」が発動。回避が間に合わない時は、ガードを活用するのもよさそうです。また、大剣は溜め斬り、太刀の場合は居合斬りが発動します。

そしてもうひとつ、溜めたゲージを全消費する代わりに、強力な一撃を繰り出す必殺技的な特殊攻撃もあります。こちらも武器種ごとに異なる攻撃を放つので、使用する武器選びの参考にするのも一興でしょう。


ちなみにゲージは、戦闘中に攻撃を当てることで増えていきます。一狩りにおける時間は最大でも「75秒」と限られているので、この短い時間に集中して攻撃を重ね、必殺技を効果的に繰り出すのが基本的な立ち回りとなります。ちなみに、必殺技が発動している間は無敵状態なので、モンスターの攻撃に合わせて繰り出すのも良さそうです。

シリーズお馴染みの「部位破壊」も本作に受け継がれており、破壊に成功すれば報酬も増える模様。しかも、モンスターの各部位にロックオンできる「ターゲットボタン」があるので、繊細な操作なしでも部位を狙いやすい仕組みになっています。とはいえ、距離やタイミングが合っていなければ、ロックオン状態でも狙った部位に攻撃が当たらないので、立ち回りも無論重要です。

さらに、ターゲットボタンによるロックオンだけでなく、ジャイロ操作で任意に部位を狙う攻撃もできます。こちらは上級者向けの攻撃方法になりそうですが、ジャイロで照準をつけるFPSやTPS系のゲームに慣れていれば、すんなりと馴染めるかもしれません。

モンスターの攻撃を受けて減った体力は戦闘後も引き継がれますが、時間経過で回復するのでご安心を。また、回復薬で治すこともできます。とはいえ、ダメージを受けない方が連戦しやすいので、被弾が少ないほど優秀なハンターへの近道になりそうです。

ちなみに体験会では、★3のモンスターがかなり手ごわく、ソロで挑んでも敢え無く時間切れに。
そこでマルチプレイで挑んだところ、モンスターの狙いが各ハンターに分散し、かなり戦いやすくなりました。メインシリーズと同様、頭数があるだけでもかなり助かります。

また、バトルにおける負荷の軽減だけでなく、視覚的に“他の人がそこにいる”感覚も健在。自分を含めた4人のハンターがモンスターに挑みかかる様子は、見ているだけでも共闘感を覚え、マルチプレイの楽しさを視覚的に実感できます。

マルチプレイ時の操作感もスムーズで、特に大きな変化は感じません。通信環境によって違いが出る可能性も現時点では否定しきれませんが、少なくとも今回の体験において、通信面での不安は感じませんでした。

なお、バトル時のみに限られますが、横画面で本作を楽しむこともできます。横画面だと従来のシリーズ作に近くなるので、「モンハン」ファンほど横画面の方が遊びやすいかもしれません。

ですが、現役ファン以外にとっても、この『モンハンNow』は魅力的なタイトルになり得ます。例えば、従来の作品だと1回の狩りが長すぎて、その緊張感に疲れてやめてしまった人もいるでしょう。しかし、本作の“一狩り”は最長で75秒。ハンティングの醍醐味が短時間にぎゅっと詰め込まれているので、メインシリーズから離れてしまった人にも向いています。
また、操作自体もシンプルかつ直感的なので、「モンハンに興味はあるけど、難しそうで……」と敬遠していたカジュアル層にも訴求できそうです。

今回の体験会では味わえませんでしたが、ペイントボールでマーキングすると、モンスターを持ち帰るような形になり、後からいつでも(※期間の制限はあり)任意のタイミングで戦える新機能があります。

このマーキングを活用すれば、友達同士で遊ぶ時にモンスターを持ち寄れますし、通勤・通学の途中で出会ったモンスターを、家でじっくり狩ることも可能です。マルチプレイを楽しみたい人や、マイペースでコツコツ遊びたい人にも、『モンハンNow』が良質な受け皿になってくれるかもしれません。

本作はスマホ向けなので、デバイスに合わせた手軽さを備えた「モンハン」になっていますが、狩りの醍醐味やアクションの楽しさは健在。むしろ、これだけ短い討伐時間の中に、狩りの爽快感をしっかりと落とし込んだゲーム性は好印象でした。

醍醐味のひとつと思われる「現実世界を歩いてモンスターと出会い、その場にいる見知らぬハンターと共闘する」といった部分には触れられませんでしたが、従来の持ち味を活かしつつ、これまでにない味付けで狩りの世界を楽しませてくれる──そんな期待感を覚えた『モンハンNow』の試遊体験となりました。本作はクローズドベータテストが予定されているので、気になる方はまず、そちらの募集に申し込んでみるのも一興ですよ。

©2023 Niantic. Characters / Artwork/ Music ©CAPCOM CO., LTD.
※本記事で使用している画像は、体験会のものではありません。
※ゲーム画面は開発中のものです。
編集部おすすめ