初代PS時代に登場した『ファイナルファンタジーVII』(以下、FFVII)は、徐々に増えつつあった3D表現を全面的に採用し、魅力的なキャラクターたちを通じて語られる“星と命の物語”を描写。その壮大な物語が、多くのプレイヤーを魅了しました。


この名作を令和の時代に蘇らせるリメイク化が進行しており、その第1弾『ファイナルファンタジーVII リメイク』が2020年4月にリリース。それからわずか4ヶ月で、全世界累計販売本数が500万本を突破し、今も変わらぬ注目度の高さを誇るシリーズでも屈指の人気作です。

時を経ても揺るぎない人気を見せる『FFVII』ですが、その魅力的な世界を様々な角度から触れ、新たな発見にも出会えるスマホ向けRPG『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』(以下、エバークライシス)が、正式サービスに向けて現在開発中です。

本作は、『FFVII』本編だけでなく、関連作の『ファイナルファンタジーVII クライシスコア』(以下、FFVIICC)、そして本作用のオリジナルコンテンツ『ファイナルファンタジーVII ファーストソルジャー』(以下、FFVIIFS)のストーリーが楽しめるRPG作品です。ゲーム性を共通させ、3つの角度から『FFVII』世界を満喫できます。

本記事では、7月14日まで開催されていた『エバークライシス』のCBTに参加した筆者がそのプレイフィールをお届けします。なお、今回触れる内容はCBTに基づいたものであり、正式サービス版で変更される可能性もあるので、その点あらかじめご了承ください。

■ポイントを押さえたコマンドバトルで、手軽さと戦略性を併せ持つ
ターン制コマンドバトルのRPGとして始まった『ファイナルファンタジー』シリーズですが、独自の要素を意欲的に取り入れ、近年ではアクション要素も色濃くなりました。最新作の『ファイナルファンタジーXVI』は完全なアクションRPGとなり、原点を知る人にとっては、ずいぶん変わった印象を受けることでしょう。

ですが、『エバークライシス』は従来作と同じく、行動順で敵味方が入り乱れる戦闘が展開されます。シリーズファンにはお馴染みの「ATB(アクティブタイムバトルシステム)」を採用しており、戦況が刻々と変化する緊張感や、事態を見極めて打破する判断力が求められます。

ただ見ているだけでも自動的に通常攻撃を繰り出してくれますが、これだけでは敵与えるダメージは微々たるもの。
装備品に応じた「アビリティ」を発動させるのが、本作におけるバトルの要です。

アビリティには、武器を使った攻撃技やブリザドなどの攻撃魔法、回復魔法のケアルなどがあります。時間経過で増えていくATBゲージを一定量消費することで、各アビリティを発動できます。敵も時間経過に応じて様々な攻撃を仕掛けてくるので、攻守にわたってアビリティを駆使し、対処しましょう。

ちなみに、いわゆるMPのようなリソースは本作に存在しないので、ゲージさえ溜まればアビリティは使い放題。MPを管理する必要がないので負荷が少なく、その分戦局や戦略に集中しやすい印象を受けました。

プレイヤーキャラのHPが0にならないよう気をつけつつ、ATBゲージが溜まったらアビリティを発動。HPはケアルなどで回復するので、バトルの大半は「どのアビリティを使うか」「どのタイミングで実行するか」を意識するだけで十分。コマンドRPGに慣れていない人でも親しみやすく、間口が広めの作りになっています。

しかし強敵相手となると、アビリティ以外の部分にも注視する必要があります。まず、一部の敵は大技を繰り出すことがあり、まともに食らうと大ダメージ。しかし、「コマンドシフト」を使い分ければ、簡単操作で被ダメージを減らすことが可能です。


コマンドシフトは、一般的なRPGにおける「陣形」や「作戦」に近い要素。コマンドシフトは「アタックシフト」と「ディフェンスシフト」の2種類があります。ディフェンスシフト中は、被ダメージが30%カットされ、回復力が50%アップ。防御に適しており、パーティの立て直しにも役立ちます。

対するアタックシフトは、与ダメージ50%アップなどの効果があり、攻撃に最適なシフト。そのため通常時はアタックシフトを維持し、敵の大技が来そうな時や大ダメージを受けた後の回復に合わせてディフェンスシフトに移行。危機を乗り切ったらまたアタックシフトに戻せば、いずれ効果も存分に受けられます。

ちなみに、敵が大技を繰り出す前は「ストリームフェイズ」という状態に移行します。この状態に合わせてディフェンスシフトに切り替えるのも手ですが、ストリームフェイズ中に表示される「サイン」の数字を0まで減らせたら、敵が一時的に行動不能に陥ります。このサインは、攻撃アビリティを食らわせると減らすことができ、アタックシフトだとその効果は更に増します。

ストリームフェイズを見て、ディフェンスシフトで防御に備えるか、アタックシフトで一気呵成に攻め、ピンチをチャンスに変えるか。極限状態での見極めは、本作におけるバトルで特に盛り上がるポイントになりそうです。


また、リミットゲージが最大になると、『FFVII』にもあった「リミットブレイク」が発動可能になります。いわゆる必殺技的な要素で、敵に大ダメージを与えたり、味方全体を回復したりと、強力な効果を発揮します。迫力あるモーションと演出に彩られ、こちらも目を奪う見どころのひとつです。

総じて言えば、RPGの基本を押さえつつ、かなりシンプルな形に落とし込まれています。しかし、シンプル=単純ではなく、リアルタイムに変化する戦局、コマンドシフトの使い分け、ストリームフェイズにおける駆け引き、リミットブレイクによる一発逆転など、戦略性や爽快感も取り入れた堅実なゲーム性も窺えます。

それでも操作に不安を感じる方は、「オートモード」を活用するのがお勧めです。アビリティの発動やコマンドシフトの切り替えなど、状況に応じて自動的に使い分けてくれます。また「倍速機能」もあるので、十分な戦力があればバトルがサクサクと進むことでしょう。

<cms-pagelink data-page="2" data-class="center">『FFVII』の世界を多角的に描く3つのストーリーにも触れてみた</cms-pagelink>

■『FFVII』と『FFVIICC』に手軽にアクセスでき、新ストーリー『FFVIIFS』への期待も高まる
本作の主軸は、前述のバトルとそれに関わる育成要素、そして何より大事なのが「ストーリー」でしょう。冒頭で述べた通り、本作では『FFVII』、『FFVIICC』、『FFVIIFS』の物語がそれぞれ展開していきます。

それぞれの物語はクエスト形式で構成されており、各クエストをクリアすることで次のクエストが出現。クエストには、物語とバトルが組み込まれているほか、場合によってはマップ上を移動するフィールド型のクエストもあります。


例えば『FFVII』の場合、原作と同じく“壱号魔晄炉の爆破”を目指すミッションから始まります。バトルやCGムービーでは頭身の高いスラリとしたキャラクターが活躍しますが、フィールド上では4~5等身ほどのデフォルメされた姿に。この組み合わせ自体は、オリジナル版と同じなので、懐かしく感じる方もいることでしょう。

ただしデフォルメと言っても、キャラモデルの出来栄えは現代に即したレベル。手抜き感はなく、デフォルメながら特徴を掴んだ優れたデザイン性を保っています。また、フィールド上で会話を交わすと、テキストウィンドウの右側のバストアップのキャライラストを表示。ムービーやバトルでは迫力が増す高い等身、フィールド上では判別しやすいデフォルメモデル、そして発言者をイラストで示すなど、用途に合わせた使い分けがプレイヤーの理解度を助けてくれます。

しかし各作品の物語を体験できるとはいえ、『FFVII』と『FFVIICC』における全シーンが用意されているわけではありません。『FFVII』なら、列車で乗り込むシーンから始まるものの、壱号魔晄炉の爆破地点に辿り着くまで、全体的な工程はかなりショートカット気味。ですが、「あんた達の名前なんて興味ないね」やウェッジが逃げ道を確保するといった、要所要所のシーンは押さえられているので、物語の把握に困ることはなさそうです。

爆破後も、ジェシーを助けて脱出を目指したり、エアリスと初めて出会うやりとり、クラウドとティファの会話や幼い頃に交わした約束の回想など、思い出に残る場面は本作にもしっかりと取り込まれています。

これは『FFVII』パートだけでなく、『FFVIICC』も同様。
アンジールの指示によるシミュレーションでの訓練で幕を明け、ジェネシスの失踪、ウータイへの侵攻など、いずれも要所を押さえつつ、スピーディに『FFVIICC』の物語が再現されていました。

アンジールの「剣よりもおまえのほうが大切だ。ほんの少しな」も、デフォルメキャラながらしっかりと実演。『FFVIICC』のプレイ経験がある方は懐かしく、そして初めて触れる人でも物語の核心を問題なく追いかけることができるでしょう。

そして、誰にとっても初めての体験になるのが『FFVIIFS』の物語。これまで語られることのなかった“セフィロスの若かりし頃”が描かれるため、ファン・新規ユーザーともに同じ地点から全く新しいストーリーを新鮮な気持ちで楽しめます。

CBTでも『FFVIIFS』の一部に触れられましたが、誰にとっても新しい物語。その魅力を奪わないため、今回はその内容に言及しません。ですが、この物語が『FFVII』世界への理解度を更に深めてくれる……そんな予感も覚えたCBT体験になりました。

本作はRPGなので、敵を倒してレベルアップするほか、キャラや入手した武器を強化する育成要素もたっぷり用意されています。ちなみに本作は、基本無料のアイテム課金制ですが、いわゆるガチャの要素は(今のところ)武器や衣装のみ。プレイアブルキャラクターは全員使える状態だったので、「あのキャラで遊びたいのに、手に入らない……」と嘆く必要はなさそうです。


余分な肉を削ぎ落し、しかし駆け引きや判断力は求められ、RPGにおけるバトルの醍醐味を確保。一方で、慣れていないユーザーや気楽に遊びたい気分にうってつけの「オートバトル」も用意するなど、間口を広げる熱意も伝わってきます。

そして、CBTだけではまだ全容が掴めないとはいえ、『FFVII』や『FFVIICC』の物語へ手軽にアクセスできるのは、大きな魅力のひとつです。『FFVII』の世界は奥深く、そしてリメイク版の展開で更なる発展も遂げているので、本作が世界全体を理解する一助となるかもしれません。特に『FFVIIFS』の存在は、注目度が高まる気配を覚えます。

純粋に『FFVII』ワールドを堪能する、世界をより深く知る道筋として触れる、完全新作のストーリー『FFVIIFS』を目当てにプレイするなど、プレイヤー側も様々な理由で遊べる『ファイナルファンタジーVII エバークライシス』。今後の活躍への期待を込め、正式サービスの開始が待ち遠しいばかりです。

(C) SQUARE ENIX Powered by Applibot, Inc.
CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA / CHARACTER ILLUSTRATION: LISA FUJISE
※画面は開発中のものです。
編集部おすすめ