今年も、「東京ゲームショウ 2023」の開催に合わせ、数多くの新作が発表されました。いずれも興味深いものばかりですが、その中でも特に予想外だったのが、サクセスが発表した『IZUNA(仮題)』です。


この発表に驚いたゲームファンも多く、SNSの一部では本作の名前が飛び交いました。ですが、具体的に明かされた情報と言えば「開発着手中」「プラットフォームはニンテンドースイッチとSteam」「くノ一のビジュアル」くらいで、ゲームの詳細や発売時期もまだ不明です。

少ない情報しかない『IZUNA(仮題)』が、なぜネット上で話題となったのか。その背景を詳しく解説します。

■15年以上の沈黙を破った、まさかの復活劇
『IZUNA(仮題)』そのものの情報は限られていますが、発表と同時に公開された映像「特報 1stトレーラー」には、本作に関連するふたつの作品が明示されていました。それは、2006年6月に発売された『降魔霊符伝イヅナ』と、2007年11月発売の『降魔霊符伝イヅナ 弐』。いずれもニンテンドーDS向けにリリースされた、ローグライクゲームです。

このトレーラーだけでなく、『IZUNA(仮題)』の開発を告知したX(旧Twitter)の投稿には、「イヅナ」「降魔霊符伝」のタグが入っています。これだけ見ても、『IZUNA(仮題)』が『降魔霊符伝イヅナ/弐』と関連する作品と見て間違いないでしょう。

『降魔霊符伝イヅナ』とシリーズのゲーム展開は、2007年に発売された続編を限りに、長い沈黙期へと入りました。復活を望むファンの声も無論ありましたが、5年、10年と経てば、実現する可能性は少なくなるばかり。そのため、本シリーズ復活に期待する気持ちが薄れていくのは、残念ですが自然な流れでしょう。


そうした状況で15年もの歳月が過ぎた今、突如『IZUNA(仮題)』が電撃発表。この令和に、『降魔霊符伝イヅナ』関連作が出るとあっては、ファンならずとも驚かざるを得ません。

■ローグライク入門にも適していた『降魔霊符伝イヅナ/弐』
『IZUNA(仮題)』が話題となった要因の『降魔霊符伝イヅナ/弐』は、ローグライク系の基本をしっかりと押さえつつ、難易度はやや低め。といっても温いという意味ではなく、手応えがありつつもローグライク初心者にも向いており、入門用としても悪くない作品でした。

特に『弐』はゲーム的にも正統進化を遂げ、1作目のファンを更に楽しませてくれる仕上がりに。両作品どちらも惜しい部分があるので、手放しに褒められる名作・良作とまではいきませんが、熱心なファンも生み出した個性的な作品だったのは間違いありません。

そんな『降魔霊符伝イヅナ/弐』と関連するであろう『IZUNA(仮題)』が、どんなゲームとなって登場するのか。期待を高めるなと言う方が無理な話です。

<cms-pagelink data-page="2" data-class="center">『降魔霊符伝イヅナ/弐』が、中古市場では驚きの価格に……!</cms-pagelink>

■入門向けだった『降魔霊符伝イヅナ/弐』、今では高値の花に
『降魔霊符伝イヅナ/弐』は現役時代もファンから愛されていましたが、そうした支持とは少し違う方面でも注目を集めていました。それは、中古ゲーム市場です。

2006年、2007年に発売された両作品は、人によっては「レトロゲーム」と判断されてもおかしくない、ひと昔前のゲームです。これだけの年月が経つと、大半のゲームは中古市場でほぼ投げ売り状態。
しかし『降魔霊符伝イヅナ/弐』の場合は、事情が全く異なります。

あくまで個人で調べた範囲ですが、1作目『降魔霊符伝イヅナ』の中古価格は1万円台中盤がほとんど。パッケージや説明書なしならもっと安くなりますが、ゲームカートリッジ単品でも定価を超えています。

しかし、さらに上を行くのが『降魔霊符伝イヅナ 弐』。こちらの中古価格は、なんと3~4万円に集中しており、プレミア価格になっている1作目の2倍以上の値がついています。

プレミア=優れた作品、とは限りませんが、奇抜さや希少価値だけでこれだけの高値がつくのはごく一部。また、現時点で高額な『降魔霊符伝イヅナ 弐』も、2018年中盤までは1.000~2,000円台くらいの値動きでした。それが今や、すっかりプレミアソフトの仲間入り。手に入れたいニーズと、徐々に目減りする在庫とのバランスが崩れ、価格の高騰を招いたのです。

そのおかげで、近年『降魔霊符伝イヅナ/弐』の存在を知っても、おいそれと手が出ない高嶺の花状態に。縁がなかったと言えばそれまでですが、出会いがあっても機会が狭き門というのは、実に残念な話です。

■完全新作? それともリメイク? どちらに転んでも朗報になる『IZUNA(仮題)』
当時手に入れた人以外は、おいそれと触れるチャンスもない『降魔霊符伝イヅナ』シリーズ……それが、先日までの状況でした。
しかし『IZUNA(仮題)』の発表で、停滞していた環境が一変しました。15年も前のシリーズ作が復活、プレ値で手が出なかったシリーズの最新作が遊べると、ネット上で沸き立つのも無理のない話です。

前述の通り、現時点ではまだ『IZUNA(仮題)』の内容はまったく分かりません。完全新作かもしれませんし、1作目や2作目のリマスターやリメイク、リブートの可能性も十分あります。

しかし本シリーズの場合、どちらに転んでも決して悪い話ではありません。完全新作が嬉しいのは至極当然ですが、仮に『降魔霊符伝イヅナ』や『弐』のリマスターだとしても、プレミアで手が出ない作品がぐっと手に入りやすくなるので、これもまたひとつの朗報でしょう。

さらにリマスター版の売れ行きが好調なら、その後に改めて完全新作が作られるかもしれません。ファンによし、新規ユーザーによし、サクセスによしと、Win-Win-Winの関係です。

まだ開発開始と報じられたばかりなので、新たな続報が届くまで少し時間がかかるはず。ですが、現時点ではどこを切り取っても朗報づくしの『IZUNA(仮題)』。今後の展開にも期待しましょう!
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