『Fate』シリーズに連なる新たなゲームタイトル『Fate/Samurai Remnant』(以下、Fate/SR)が、ニンテンドースイッチ/PS5/PS4/PC(Steam)向けに、本日9月28日より発売を開始しました(※Steam版は9月29日発売)。いち早くプレイしている方もSNSなどに見受けられますが、ほとんどの人は今晩や今週末から本格的に遊び始めることでしょう。
マスターとサーヴァントが運命共同体となり、7人7騎が争い合う「聖杯戦争」。『Fate』シリーズの多くで描かれた過酷な戦いは、今回その名が変わり、「盈月の儀」として執り行われます。
この「盈月の儀」には、シリーズ初登場と思われるサーヴァントも参加する一方、『Fate/Grand Order』(以下、FGO)をはじめとする他作品で活躍しているサーヴァントたちも、その立場を新たにしながら姿を見せます。
例えば、シリーズ作品にたびたび顔を出す「ギルガメッシュ」、『FGO』で一躍人気を博した「宮本武蔵」に「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」などが代表的なところ。もちろんこの他にも、見覚えのあるサーヴァントたちも本作に参戦しています。
ですが前述した3人は、それぞれ立場や関わり方が異なっており、中には拭いきれぬ疑問を抱かせるサーヴァントもいます。そこで今回は、『FGO』でもお馴染みの面々が、『Fate/SR』にどのような形で絡んでくるのか。実際にプレイした経験を元に、皆様に紹介します。
まだ発売されたばかりなのでネタバレに配慮し、第1章までの範囲に限らせていただきますが、「宮本武蔵」や「ギルガメッシュ」の関わり方や、「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」に対する拭いきれない疑惑などを、こちらでご確認ください。
■『FGO』とは違い、敵対関係にある「宮本武蔵」
『Fate/Samurai Remnant』発表直後から注目を集めていた「宮本武蔵」。
……といっても、伊織を育て、導いたこの世界の武蔵は男性です。一方で、本作に登場するサーヴァントの武蔵は女性。この違いについては作中で語られており、彼女は「宮本武蔵が女」だった世界からやってきた人物です。
その女性武蔵がこちらの世界に来た後、人理へと刻まれてしまい、“女性の宮本武蔵”がサーヴァントとして召喚可能となりました。ちなみにその状況は、『FGO』でも同一です。
そのため厳密に言えば、この世界で伊織を育てた武蔵と、今回現界したサーヴァント「宮本武蔵」は、同一の存在ではありません(元々、英雄とサーヴァントは全く同じ存在ではありませんが、それは別の話として)。しかし伊織は、女性の武蔵に対しても「あなたは師匠その人です」と断言。また武蔵の側も「ちょびっとズレがあるけど同一人物みたいなもの」と語っており、自分の愛弟子として伊織に接しています。
──といった部分だけ見ると、死別した師匠と弟子が再会を果たした奇跡の邂逅、といった風に感じられるかもしれません。しかし残念ながら、宮本武蔵は他のマスターと契約を結んだサーヴァント。
『FGO』ではプレイヤー側に立ち、いくつもの難所を共に乗り越えてくれた頼もしいサーヴァント。しかし本作では、プレイヤー側の伊織ではなく、マスター・高尾太夫と契約しています。作品を変え、今回は敵対する関係になった宮本武蔵との戦いは、かなり過酷になることでしょう。
■「宮本武蔵」を直接操作可能!? この事実に期待も高まる
ですが序盤のプレイを通して、敵対以外の可能性もわずかながら見えてきました。細かいストーリー展開は伏せておきますが、敵陣営の「アサシン」に伊織が襲われた際、武蔵が駆けつけ、助力してくれました。
この時点で、太夫と伊織は一種の協力関係(情報のやりとりなど)にあるため、順当といえば順当な展開ですが、ドライな損得勘定による関わりでないことが窺えます。
そして気になるポイントのひとつが、このシーンでのプレイアブル化。ここまでの進行において、プレイヤーが操作するのは基本的に伊織のみ。バトル中に特定のゲージが溜まったり、伊織抜きといった状況でのみ、セイバーを直接操作できますが、それを含めても操作は伊織もしくはセイバーだけに限られていました。
ですがアサシンとの初戦では、宮本武蔵を直接操作し、互いに単騎同士でバトル。通常と強攻撃のコンボも用意されていますし、攻撃用のスキルに加え、宝具「六道五輪・倶利伽羅天象」も発動できます。
操作した実感も十分手応えがあり、迫力ある演出も相まって、ずっとプレイアブルで使いたい触り心地でした。宝具自体は『FGO』でもお馴染みですが、ゲームが変われば演出・モーションも大きく変化し、こちらもつい見入ってしまいます。
実にしっかり作り込まれているため、「後々もプレイアブルで使えるのでは?」と思ったほど。もしそうなれば、協力関係から一歩進み、共闘のような状態になるかもしれません。この先の展開については筆者もまだ未見ですが、だからこそ期待が高まるばかりです。
■「ギルガメッシュ」が「盈月の儀」に参戦……しない!?
シリーズの原点『Fate/stay night』での活躍をはじめ、『Fate/unlimited codes』や「Fate/Zero」、『Fate/EXTRA-CCC』など、登場した作品を挙げればキリがないほど、ファンにはお馴染みのキャラクター「ギルガメッシュ」(以下、ギル)。
ただ本作の場合、公式サイトでの表記や初登場時の肩書は「若旦那」。少なくとも最序盤の範囲では、名前を名乗っていないので、実は別人──という可能性も存在します。
ですが、見た目は共通する点があり過ぎますし、店主として収まっている店の名は「巴比倫弐屋(ばびろにや)」。傲岸不遜で他人をごく自然に見下し、こちらも聞きなれた「雑種」という言い回しも健在です。ここまでの一致を見れば、ギル本人と見て間違いないでしょう。
ちなみに、『Fate/stay night』では恐るべき強敵として幾度も戦い、「Fate/Zero」ではマスターを変えながらなお立ち塞がるなど、主人公サイドの敵役として登場する機会が多め。
こうした激戦を幾度も経たギルが、この『Fate/SR』でどんな立場にあるかといえば……その肩書通りの「若旦那」。本人曰く「しがない縮緬問屋の若旦那である!」とのこと。一般的な若旦那とはかけ離れた傲慢な言動で接してきますが、ひとまず交戦の意志はなし。また「盈月の儀」における立場的には、裁定者“ルーラー”として顕現した模様です。
しかし、万物の願望機たる「盈月」を贋作呼ばわりし、「毛ほどの興味もない」と一刀両断。シリーズファンからすれば、「ギルがルーラーで顕現した」という1点だけでもなかなかの衝撃ですが、争いに加わる様子もなく「巴比倫弐屋」の店主に主眼を置くような振る舞いは、予想を軽く上回る立ち位置と言えるでしょう。とはいえ、唯我独尊なギルらしいパワフルな振る舞いです。
召喚されたサーヴァントの中で、もっとも「盈月」に興味がなさそうなギル。最後まで「若旦那」の立場に終始するのか、ルーラー・ギルガメッシュの雄姿を見せてくれるのか。彼の動向からも目が離せそうにありません。
■『Fate/SR』の「ランサー」は「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」……ではないかも!?
「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」も敵陣営のマスターと契約しており、しかも武蔵の場合とは違い、最初から即応戦の敵対状態の関係にあります。
『Fate』シリーズにおける「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」は、『FGO』が初出。「第一特異点 邪竜百年戦争 オルレアン」の存在感や、後にサーヴァントとして実装されてからの接点を元に、彼女を好ましく受け止める『FGO』ユーザーが増え、一躍人気者に。コミュニティでは、「ジャンヌ・ダルク」との区別も兼ね、「邪ンヌ」という通称でもよばれるほど親しまれています。
そんな彼女が、『Fate/SR』にも登場……と言いたいところですが、個人的にはまだ断言しきれない疑惑が残っています。というのも、彼女もギルと同様、公式サイトでは「ランサー」表記で名前は明かされていません。
この点だけで言えばほかの陣営も同様で、「宮本武蔵」のみ解説文の中で「新免武蔵守藤原玄信。宮本武蔵とも」と真名を明かしています。真名を明かしていない参戦サーヴァントの方が多いので、これだけで「怪しい」とは言い切れません。
ですがもうひとつの違和感と併せると、途端に疑惑が深まります。その違和感とは、本作における「ランサー」の髪型です。
『FGO』の「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」は、容姿そのものは「ジャンヌ・ダルク」と瓜二つですが、性格や気質の差から雰囲気も異なり、また装備品の違いもあって見分けるのは容易です。
また類似性の高い容姿を持つものの、「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」の側だけ、1本の──俗に「アホ毛」と呼ばれることも多い──髪の毛が飛び出ています。
これらを踏まえた上で『Fate/SR』にいる「ランサー」の髪を見てみると、「アホ毛」はどこにも見当たらず。装備品やその色合いは「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」そのものですが、髪型はむしろ「ジャンヌ・ダルク」寄り。その事実だけで考えると、『Fate/SR』の「ランサー」は、「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」のような装いを身にまとった「ジャンヌ・ダルク」ではないか……という疑惑が個人的に拭えません。
真名が出ていない以上、まったくの別人という可能性もありますが、作中のムービーでは「太い1本の三つ編みで髪を束ねた、破れかけの服に身を包む女性が、木の枝を重ねた柱の前に立つ」というシーンが描かれていました。しかも、兵士と群衆に囲まれているという状況下で。このシーンから連想されるのは、やはり「ジャンヌ・ダルクが火あぶりとなった史実」でしょう。
髪の長さや結わえ方は、「ジャンヌ・ダルク」・「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」共に再臨段階で変化もしますが、「太い1本の三つ編み」は「ジャンヌ・ダルク」が持つ特徴のひとつですし、ムービーの女性にもアホ毛はなし。また、「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」自身は願望機で生み出された存在なので、「ジャンヌ・ダルク」とは違い、火あぶりの記憶はあくまで記録に過ぎず、本人の体験ではありません。
まだ真名が不明で、アホ毛がなく、三つ編み女性の姿がムービーに盛り込まれてる。いずれも断片的な情報で決定打とは言えませんが、「ランサー」=「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」と素直に受け入れるには、まだ疑問が残るのも事実です。
「ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕」ではなく、実は「ジャンヌ・ダルク」(もしくは、彼女の別側面)という可能性もまだ否定できない、『Fate/SR』の「ランサー」。その正体に近づけるのは、製品版をプレイするユーザーの特権に他なりません。ぜひその目で、真実をお確かめください!
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