本作は2008年に配信された『イルーナ戦記オンライン』のスタッフたちによる新作タイトルです。
今回はそんな新作タイトルのCBTに参加する機会を得られましたので、早速先行プレイレポートをお届けしていきます。
◆ 良い意味で王道ファンタジー!冒険モノの真髄を感じられる物語
本作は9つの国を巡っていく剣と魔法のファンタジー冒険譚です。王都の見習い騎士・リオと、その幼馴染でアステ騎士の青年・ルーカスらが「王都サリアン」で襲撃されるところから物語は幕を開けていきます。
燃え盛る城と蔓延る魔物の数々、そしてゲームを始めてものの数分で大変なことになっている王様。
危機的な状況の最中に正体不明の大いなる力が作用し、2人は忽然と見知らぬ最果ての大地へ投げ出されてしまいます。何が起きたのか状況を整理しようとする2人ですが、茂みの奥からの悲鳴を聞きつけひとまずは向かってみることに。
そこでは2人の少女たちが魔物に襲われているところでした。赤い帽子の少女を守る形で、亜人(デミ)の少女・アルと共に共闘しながら魔物を対処していきます。
2人の少女の話を聞く限り、どうやら彼女たちは初対面の様子です。赤い帽子の少女は自らをルナリアと名乗り、助けてくれたお礼としてリオ、ルーカス、アルの3人を自宅へ招きたいと申し出ます......。
物語の歯車はここから徐々に周り始めていくのでした。
冒頭部分こそシリアスで緊迫感漂う空気はありますが、チュートリアル全般を含む序章は不穏ながらも緩めな雰囲気です。物語のテンションに温度感の落差こそあれど、導入における数多の謎を少しずつ紐解いていく物語構造になっています。
お互いに信じ切れずとも利害関係の一致から共闘する流れや、正義感たっぷりな主人公らしい主人公など、最近のファンタジー作品ではめっきり減ってしまった良い意味での王道的な流れには安心感すら覚えます。
ただ、ストーリー中におけるキャラクターボイスなどはありません。その代わりにムービー風のカットシーンを挿入する頻度が多く、物語の没入感を底上げしている印象です。
また、キャラクターの3Dモデルは公式サイトで公開中のイラストを上手くデフォルメに落とし込んでいます。表情の変化、細かな所作による見せ方も多彩でした。ここから製品版までにどのような改良が加わるかが楽しみです。
◆ 1人で遊べるアクションRPG!敵のブレイクとコンボを繋げる爽快バトル
ゲームはバーチャルパッドでキャラクターを動かし、メインクエストやサブクエストを進めていくスタンダードなアクションRPGといった感触。フィールドはエリア制ですが多少の高低差があり、ジャンプ・ダッシュで自由に駆け回ることができます。
まだ開発中の段階にあるため、“キャラクターのカクつき”や“ダッシュ時の意図しない挙動”など、ちょっと気になる部分も要所で見られました。
フィールド内のプレイヤーは自分以外見当たりません。ほかのユーザーとは「レベル20」以降で開放されるマルチプレイコンテンツなどのマッチングを通して遊べるようです。
また、闊歩している魔物は倒しても短時間でポップします。MMOのようにレベリングできる狩場を探し、黙々とキャラクター育成ができるようになっていました。月並みな表現ですが“MMO風”というのが近いかもしれません。
バトルは最大3人のキャラクター編成で「通常攻撃」「スキル(2種)」「必殺技」などを織り交ぜながら、戦いを進めていきます。
敵にカメラを固定するロックオン機能も備わっていますが、複数のザコ敵相手にはむしろ使わない方が戦いやすいです。一般的なアクションゲームのように複数の敵に対して攻撃判定が発生するため、感覚任せで戦えます。
バトル中は敵HPの下に表示されているシールド値を削り切ると、BREAK状態が誘発されて効率的にダメージを与えられるようです。
敵の弱点属性や戦況に応じてキャラクターを交代するロールプレイを意識するとより有利に立ち回れます。さらに攻撃ヒット数がコンボとして加算されており、BREAK状態の敵に対してビシバシと攻撃を叩き込み続けるのが爽快でした。
◆ 『イルーナ戦記オンライン』に続く新たな長期運営タイトルになれるか
ストーリーやバトル以外にも、釣りや採取のような素材収集要素が登場しています。
個人的には斧でちゃんと木を切り倒せるのが好みです。今回のプレイでは手当たり次第に木を切り倒しているだけでも時間が過ぎていった気がします。
ここまで紹介しているように、本作は自分だけのアバターキャラクターで冒険する既存のスマートフォン向けMMOではありません。
登場人物にスポットを当てた“キャラクター重視なアクションRPG”なので、多数のMMOを配信&運営しているアソビモにとっては、新しい切り口のタイトルではないでしょうか。
本稿冒頭でも触れていますが、本作は『イルーナ戦記オンライン』を手がけている制作スタッフたちの新作と聞きます。同作は2008年とフィーチャー・フォンが現役バリバリの時代から、現在2023年に至るまでサービスが運営され続けている15年選手の老舗モバイルMMORPGです。
かつて一世を風靡したモバゲータウン(現「Mobage(モバゲー)」)の『怪盗ロワイヤル』ですら今年で14年。
『星彩のメトリア』がそんな長寿アプリに続けるかは全くの未知数ですが、トレンディなアニメ調3Dモデルや、今までとは違った切り口の完全新作である点を加味すると、そこにはアソビモの大きなチャレンジ精神が垣間見える気がします。
今回のCBTを通してどれだけゲームのクオリティを引き上げられるかは要注目のポイント。『イルーナ戦記オンライン』に続く、名タイトルになれるのでしょうか。