SUNBORNは、2023年9月28日~10月12日の15日間、開発中の新作タイトル『ドールズフロントライン2:エクシリウム』(少女前線2:追放)のクローズドベータテストを実施しました。

『ドールズフロントライン(ドルフロ)』は、実在する「銃」を美少女に擬人化した戦略シミュレーションで、今年2023年8月1日には、日本国内でのサービス開始から5周年を迎えた人気シリーズです。


TVアニメやスピンオフ作品も展開され、サービス開始から5年を経てもまだまだ根強い人気を誇る『ドルフロ』。今回は運良くそんな『ドルフロ』の続編タイトルに、ひと足早く触れられる機会を得られました。そこで本記事では、実機プレイ動画を交えながら先行プレイレポートという形で注目の新作についてお届けできればと思います。

なお、スマートフォンとPCで展開される予定の本作ですが、今回のプレイ環境はスマートフォン(Android)です。つまり、多少荒く見えてしまうのは筆者のプレイ環境によるものなので、悪しからずご承知おきください。

◆ 「G&K」は退職?組織に囚われることなく新しい生き方を過ごす指揮官
『ドルフロ2』からゲームに触れようと考えている方も多いと思いますが、具体的なあらすじや世界設定については、公式YouTubeチャンネルで配信されている【だいたい3分で分かるドールズフロントライン】をご覧ください。ゲームの紹介をメインに……ということで、本記事ではグッと省略して『ドルフロ2』の冒頭から紹介していきます。

『ドルフロ』では、プレイヤーが民間軍事組織「G&K(グリフィン)」の新任指揮官として、戦術人形を指揮しながら数多の勢力と死闘を繰り広げてきました。本作では物語開始の時点ですでに『ドルフロ』から10年ほどの月日が流れており、指揮官はすでに組織を退いています。

自らの意志で新たな道へと踏み出した指揮官は、相棒の戦術人形「グローザ(OTs-14)」らと共に、移動基地の「エルモ号」を運用しながら、毎月赤字を垂れ流して資金繰りに悩み続ける“賞金ハンター”に転身していました。

お金を貰って仕事をする、ごく当たり前の生き方ではありますが、そこに前作から戦い続けてきた熟練の戦士らしい輝かしさは微塵も感じられません。その日暮らしのような生活で、見え方によっては落ちぶれたヒーローのようでもあります。


物語冒頭では赤字続きの生活から脱却を図るため、“とある荷物”を配達する高額報酬の依頼を請け負っていたのですが......。

任務中に汚染地域で活動するならず者集団「ヴァリアーグ」にこっ酷く襲撃されてしまいました。指揮官は拘束され大事な荷物も強奪、さらにグローザを含むエルモ号の戦術人形たちは、襲撃時の爆発に巻き込まれて損壊状態という有様です。

なんとか無事だったのはエルモ号のメカニック少女・美玲(メイリン)。指揮官と同じ人間の彼女が、グローザとネメシスのメモリーチップを回収し、唯一残っていたダミー素体にインストールしたことで、指揮官の救助と荷物奪還に駆けつけてきます。

アクション映画さながらに豪胆過ぎるカーチェイスを繰り広げ、無事指揮官と荷物を回収したグローザたち。しかし、敵側の攻勢はとどまることを知らず、ついには大型兵器まで持ち出してきました。

ジワリジワリと戦力差によって追い詰められ、激しい追跡から逃れようと撤退しているさなかで、美玲の操縦するドローンが撃墜されてしまいます。鉄くずも同然な大型ドローンの残骸が、荷物を背負ったグローザのもとへ降り注ぐところで、突然荷物の箱が開いて──。

『ドルフロ2』では、指揮官のキャラクター性が一層強調され、登場人物の1人として個性が強くなりました。作中では男性・女性と性別の選択が可能なうえ、キャラククターボイス、3Dモデルも用意されているほどです。今回のプレイは男性指揮官をチョイスしており、ニヒルを気取りながらも知性と漢気溢れる大人といった人物像に仕上がっています。


また、本作は確かに続編タイトルですが、登場人物の会話から指揮官の過ごした空白の10年が断片的に語られています。過去作に触れていると、さまざまな疑問が結びつきそうなものですが、本作からプレイしても物語は楽しめそうでした。

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◆ 身を隠す「掩体」が超重要。銃撃戦を戦闘に上手く落とし込んだ戦略バトル
バトルは前作とは打って変わり、3Dゲームの特色を活かしたターン制のシミュレーションRPGに進化を遂げている本作。出撃ユニットを選択し、グリッドで仕切られたマップ上で銃弾の応酬が繰り広げられます。

序盤の主な敵は知性のカケラも感じない荒野のごろつき・ヴァリアーグと、コーラップ汚染によって突然変異してしまった動物の「生骸(いきむくろ)」。特に生骸はほとんど“モンスター”とも言える存在です。巣があると増援が湧いてくるうえ、攻撃力も高く厄介でした。

シミュレーションRPGとして特徴的なのは、物影に身を隠しながら戦う「掩体」というシステムでしょう。いわゆる“カバー”に該当する行動で、敵の銃撃から身を隠す待機アクションです。

本作では敵・味方・ボスを含むほぼ全ユニットにHPの消耗を抑えるシールド値のようなものが存在します。この値がゼロになると暴露状態が引き起こされ、掩体できません。


暴露状態のユニットが受けるダメージ量はかなり手痛く、狙いが集中しているとあっという間に戦闘不能になってしまいます。

筆者がプレイした限りでは、シールド値は気軽に回復できないので、敵の狙いが常に分散するよう手持ちユニットのポジションには気を配る必要がありました。

戦闘ではいかにシールド値を残しながら有利に立ち回るかが攻略のカギとなりそうです。中でもブレードを扱ううさ耳戦術人形の「キャロリック」は、近接戦闘が非常に強力で、強引に敵を撃破できてしまします。

ただ、シールド値の存在によってあまり大胆なパワープレイはできません。欲を出せば戦闘不能になってしまうので、運用には攻めと引きのバランス感が求められそうです。

難度はそれなりに高めの印象で、レベルを上げていたとしても、シールド値がゼロではピンチも同然なバランス感です。とはいえ、バトル中にプレイヤーの予想を超えたことが起きた場合にも、手数をやり直す巻き戻し機能があるので、熟考する面白さがありました。

前作と全く異なるゲームシステムに変貌を遂げましたが、昨今のアプリゲームに比肩し得るクオリティは保証できます。バトルについては動画を用意していますので、そちらもチェックしてみてください。

◆ 戦術人形がより魅力的となった3D化の恩恵は大きい
戦術人形たちの3Dモデルが相当に作り込まれているのは今の段階でも明らかでした。

前作は2Dのデフォルメでしたが、スピンオフ『ニューラルクラウド』から3Dのデフォルメとなり、『ドールズフロントライン2:エクシリウム』では、念願の等身大3Dモデルです。


しかも、ゲーム中はあちこちで動く3Dモデルを見かける機会が豊富です。

バトル以外だと、ストーリー中のムービーシーン、ホーム画面の待ち受け、戦術人形の育成時(レベルアップは専用の動画演出付き)のか、そして戦術人形たちと交流できる「休憩室」でもその姿を見られます。

残念ながら「休憩室」は時間の関係であまり触れられませんでしたが、戦術人形たちのポーズをプリセットの中から変更し、その姿を堪能できるようでした。衣装の着せ替え要素に加えて、カメラは自由に動かせます。

推しの戦術人形が部屋でダラダラと過ごしている様子を観察したり、個別エピソードにアクセスしたりもできます。SUNBORNが『ドルフロ』でやりたかったことを一気に詰め込んできたようで、ゲームの高い密度を実感できるコンテンツといえるでしょう。

しかしながら、今回のテストを終えて開発チームは、本来想定しているリリース版とのクオリティにギャップを感じたようです。ユーザーフィードバックを含む改良が入るとのことで、本国でもリリースにはもう少し時間がかかりそうです。

本作はグローバルパブリッシングを予定していることがすでに4Gamer.netの取材などでも明らかにされており、日本上陸はほぼ確実。なお、『ドルフロ』本編のメインストーリーも着々と完結に向かっているとのことなので、良きタイミングで吉報が出ることを祈りましょう。
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