次世代のゲーム体験が味わえる新たな据え置き機として、2020年11月に発売された「PlayStation 5」(以下、PS5)。先日3周年を迎え、ゲーム機の一般的なサイクルに照らし合わせれば、中盤期に突入しています。


しかしPS5の場合、コロナ禍の影響で供給がなかなか追いつかず、普及に足止めがかかる面がありました。ユーザーの立場からすると、買いたくても買えない期間が長く続き、購入を諦めた方も少なくありません。

今現在は供給も安定し、PS5の新モデルも先日発売されたばかり。いつでも誰でも買えるようになりましたが、ここまでの道のりが長かったため、購入に踏み切れない方も多いはず。

そこで本記事では、ゲームライターが3年間過ごしたPS5ライフを元に、満足したポイントや不満点などを赤裸々にお届けします。あくまで一個人の実感と感想ですが、PS5購入の判断材料にご活用ください。

■PS5との付き合いは、5ヶ月間の入手難で幕開け
3年間のPS5ライフと言っても、残念ながら筆者も発売日には購入できませんでした。「ゲームライターなら、ツテで手に入るのでは?」と思われるかもしれませんが、新発売のゲーム機はもちろんゲームソフトも基本的に自腹。また、優先して予約できる特権など無論ありません。

PS5の時も同様で、予約開始に合わせてamazonにアクセスするも、度重なるエラーに阻まれて轟沈。発売日以降何度も店頭やオンライン販売を巡るも、どこも抽選予約のみ。ごく一部で先着販売もありましたが、気づいた時にはもう売り切れと、縁のない日々が続きました。


自分の場合は仕事も絡んでいたので、PS5入手の努力を継続的に行えましたが、プライベートのみの使用だったら切り上げていたかもしれません。こうした期間を味わった方が購入意欲を失うのも、十分理解できます。

PS5発売以降しばらくは、ずっとPS5を追い求める日々でした。幸い、2021年の3月頃に当選し、無事PS5を購入。ようやくゲームライフへと移行しました。

■PS5の未来を感じさせた『ASTRO's PLAYROOM』
最初に遊んだPS5ソフトは、『ASTRO's PLAYROOM』。PS5本体にプリインストールされているゲームなので、PS5ユーザーは全員所持しています。このゲームでPS5を初体験した人も多いことでしょう。

『ASTRO's PLAYROOM』は単体のゲームとして見ても出来がよく、心地よい操作感や適度な手応え、凝った演出やPSファンの心をくすぐる小ネタなど、多彩な魅力に満ちています。

同時に、PS5のコントローラー「DualSense」の入門体験としても優れており、ゲーム内の出来事を触覚的に表現する「ハプティックフィードバック」や、ボタンに抵抗力を加えて手応えを実感させる「アダプティブトリガー」の魅力をダイレクトに味わわせてくれました。

「ボリュームの少なさが唯一の欠点」と言いたいくらいクオリティが高く、『ASTRO's PLAYROOM』のおかげでPS5の第一印象はかなり上々。これから購入する人も、まずは『ASTRO's PLAYROOM』でPS5デビューを飾るのがお勧めです。


■満足感のある大作を遊び続けた2年半
この3年間(所持期間としては2年半)でPS5独占ソフト、もしくは対応ソフトを数多くプレイしました。その中でも、PS5の性能を活かす大作系で遊んだものをざっとリストアップします。

・『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』
・『Ghost of Tsushima DIRECTOR'S CUT』
・『Horizon Forbidden West』
・『ELDEN RING』
・『スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE』
・『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン』
・『ホグワーツ・レガシー』
・『ファイナルファンタジーXVI』
・『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』
レース系やスポーツ系はあまり手を出さず、アクションRPGやオープンワールド系を好むため、偏った内容ですみません。ですが、いずれの作品もプレイした印象は良く、一定以上の満足度を得ることができました。

ただし、『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン』は元々PSPのゲームなので、他のPS5タイトルと比べるとこじんまりとしています。とはいえオリジナル版を知っているからこそ、グラフィックの進化や据え置き機で遊べるアクセスの良さなどが嬉しく、こちらも十分満たされたタイトルでした。

リストアップした作品は全般的に、グラフィックの美しさから滑らかな動きまで、相応の水準をクリアしています。プレイ感は良好ですし、充実度も高めでした。特にロード時間に関しては、「長すぎる」「頻度が多くてイライラする」といった印象はほぼ皆無。

どうしてもロード時間がかかりがちな「ファストトラベル」も、短時間で済む場合が多く、特に『Ghost of Tsushima DIRECTOR'S CUT』は1秒程度と驚異的。ゲーム機に最適化された状態で遊べるという点だけでも、PS5で良かったとしばしば実感しました。

■最も嬉しい機能だった「後方互換」
PS5のプレイ体験と同じくらい味わったのが、後方互換機能によるPS4ソフトのプレイです。
PS4のソフトも遊べるため、PS5本体だけで両方遊べる利便性の高さは想像以上に快適でした。

筆者は未クリアのPS4ソフトも多いため、まだまだPS5ソフトのみには絞り切れません。ですが、互換性のおかげで常時使用するPS系ハードはPS5だけに絞れるので、取り扱う上でも助かります。

セーブデータに関しても、PS4からPS5への移動は簡単なので、さほど苦になりません。特にPS+の会員なら、クラウドを経由するので外部メディア(USBメモリなど)は不要。スムーズに移行できる点も評価に値します。

■個人的に助かった、PS4本体との使い分け
PS5導入後、PS4本体の出番は少なくなりました。PS5の互換性を活かせば、PS4本体で遊ぶ必要性が最小限まで下がるためです。人によっては、押し入れにしまったり、リサイクルショップに売っても、大きな問題はないでしょう。

ちなみに筆者の場合は、互換機能を活用しつつも、PS4本体もまだ現役で使用しています。PSVR専用機として。もちろんPS5でもPSVRは使えますが、近年のVR機器と比べるとセッティングがやや大がかりなので、遊ぶたびに毎回PS5へ繋ぐのはちょっと気が重たいところです。


またPSVR2も手元にあるため、1台でふたつのVRデバイスを使い分けるのも一苦労。そこで我が家では、PS4をPSVR専用機に切り替え、接続したまま設置しています(もちろん電源は落としていますが)。

PS4を起動すれば、PSVRソフトがいつでもプレイ可能。そしてPS4ソフトを遊びたい時は、PS5でプレイする。PS5ソフトやPSVR2ソフトの場合も、PS5頼りです。この使い分けのおかげで、セッティングが億劫になりがちなPSVRも、負担なく遊べる環境になりました。

■「×ボタンで決定」問題の実感
PS5は、決定が「×ボタン」になりました。これについては反論や異論がインターネット上で飛び交いましたし、個人的にも選択の余地がない変更はどうかなと思った次第です。

しかし個人の気持ちを訴えたところで、PS5の仕様が変わるわけではないので、不満を抱えつつもこの設定で遊ぶ道を選びました。(ボタンの設定を入れ替えると、互換機能でPS4ソフトを遊ぶ時に影響を及ぼすため、変更はせず)

当初は操作を間違えることもありましたが、2年半以上触っているとやはり慣れてきます。ニンテンドースイッチも平行して遊んでいますが、「DualSenseを持った時はこの位置で決定」「スイッチのProコンなら、決定はこっち」と体が自然と覚えるので、共存も可能でした。ごくたまに間違う場合もありますが、その頻度もどんどん下がっています。


×ボタンの決定を納得できない人は多いと思いますし、誰もが受け入れられるとは言いません。慣れるかどうかは人それぞれなので、こちらは一例程度で受け止めていただければ幸いです。

■PS5最大の不満点
PS5と2年半付き合った上で一番大きな不満は、「独占タイトルの少なさ」でした。発売時点ではPS5のみというタイトルも、発売後に別のプラットフォーム向けに発売される場合が多く、ラインナップの独自性が弱いのは個人的に残念です。

ユーザーによっては、プラットフォームの選択肢が多いマルチタイトルの方が嬉しい、という人もいるでしょう。特に、使うゲーム機をできるだけ絞りたい場合、各ゲーム機ごとに独占タイトルがあるよりも、自分が持っているゲーム機に全部集まる方がベストのはず。

これは個人的な考えになりますが、ゲーム機ごとに違う強みがあれば様々なゲームが生まれやすくなり、刺激的な体験も自然と増えます。例えば、スイッチの強みを生かしたゲームと、PS5の性能を駆使したゲームは、まったく別の面白さがそれぞれに宿ることでしょう。

プラットフォームが拡散しすぎるのも困りますが、一極集中だとゲームの広がりがなくなりそうなので、それぞれのゲーム機が独自性を掲げてくれると嬉しく思います。その意味で言えば、現状のPS5は独自性がやや薄く、物足りない面があるのは否めません。

■PS5の性能は、必要十分
一方で、PS5の性能にはおおむね満足しています。もちろんゲーミングPCには勝てません。
コストパフォーマンスを度外視するなら、性能面で最もハイレベルな体験を味わえるのは、ゲーミングPC一択です。

ですが、そのコスパこそPS5が持つ強みのひとつ。同程度のゲーム体験でも、ゲーミングPCは(ゲーム以外の用途にも使える分だけ)高くつきます。大雑把な概算ですが、PS5の2~3倍の出費になるでしょう。ゲーミングPCとPS5は「優劣による上下関係」ではなく、「性能と価格のつり合いで判断する選択肢」と捉えた方が適切かと思います。

少し話が逸れてしまいましたが、ここまで付き合った中で、PS5の性能に不満を覚えたことはほとんどありません。ミドルプレイヤーまでなら、PS5の性能でも十分満足できるでしょう。

また、PCと違って統一規格なので、ゲームの安定性が高いのも魅力的です。ニンテンドースイッチなどでも同様ですが、起動やプレイの安定性には一定の信頼が置けます。個人的にはこの安定性を重視し、PC版が出ているゲームでも、PS5版を購入しています。

■容量の物足りなさもネック、ただしプレイスタイル次第で印象も変わる
「PS5の性能にほとんど不満はない」と記しましたが、性能面で不満をひとつ挙げるとすれば、ストレージの容量は全く足りません。インディー系を除くPS5のゲームは、数十GBもざら。大作を中心にインストールすると、20本入れるのも難しいラインです。

仕事の関係もありますが、筆者は気に入っているゲームならクリア後も消さず、いつでも起動できる状態にしてあります。周回プレイやマルチエンドがあるなら尚更です。そうした作品が積み重なると、初期型の825GBはもちろん、新モデルの1TBでも補いきれません。

ここに、後方互換機能で遊べるPS4ソフトが加われば、やりくりは更に厳しくなります。筆者は諦めて外付けSSDを購入し、PS4ソフトのインストールはそちらにまとめました。その上で内蔵SSDをPS5専用にしましたが物足りず、対応しているM.2 SSDの購入を検討しています。ゲームのデータサイズは年々増加しているので、容量不足はやむを得ない話ですが、やはり不満は不満として感じざるを得ません。

ただしこの部分は、プレイスタイルで印象が大きく変わる部分です。数本のゲームをインストールするだけで十分、遊び終わったらデータを消して次のタイトルを入れる、という人なら、内蔵SSDだけで事足りるでしょう。

各項目ごとに、PS5に対する印象や実感、魅力や不満などをお届けしました。意見が分かれる内容もあるかと思いますが、いずれも忖度なしの率直な感想です。

現状、ハイクラスなゲーミングPCという存在もあるため、最高級の体験とまでは言えませんが、価格と性能のバランスを考えれば、PS5で十分以上のゲームプレイが味わえます。独占タイトルは少ないものの、安定性は大きな利点。PS5で大作系を中心に楽しむことで、スイッチとの住み分けも可能です。

独占タイトルの少なさは、特にゲーミングPCを所持している人にとって大きなネックと言えるでしょう。同時発売もしくは後発でPC版が出る場合も多いので、慌てて購入する必要はないかもしれません。

PS4からの乗り換えは、お勧めしたい選択肢のひとつ。特に、今持っているPS4の調子があまり良くなければ、その状態が悪化する前に乗り換えた方が、データの移行などがスムーズに行えます。

「PS5は欲しいけど、値下げするまで待つ」のもひとつの手……ですが、PS4までの流れとは異なり、新型モデルの投入と同時に値下げるケースは、PS5ではまだ訪れていません。むしろ段階的に値上がりしているので、先延ばしにしてプレイする機会を失うよりも、このあたりで買うのもアリでしょう。

円安の影響もあって普及に時間がかかり、独占タイトルもまだ限られているPS5。その苦難の道が終わってから買うもよし。苦難を早く乗り越えられるよう、後押しも兼ねて購入するもよし。メリットを感じられるなら、PS5の入手はゲームライフを充実させる一助となることでしょう。

※画像のPS5は、初期モデルと新モデルのものです。
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