選択候補に挙がっているゲームタイトルは『逆転裁判』『ストリートファイター』『大神』など、カプコンを代表する名作たち。ゲームファンであれば、どの作品に票を入れるか迷ってしまったことでしょう。
その盛り上がりもあってか、2月6日のX(旧Twitter)のトレンドには「CAPCOM超選挙」がランクイン。なかには、項目にないソフトを選びたい人や候補タイトルの中でも特に特定の派生シリーズに対する“カプコン愛”をなど語る人が出ていました。
そこでインサイド編集部では、所属ライターによる“推したい”カプコンゲームを募集。改めてカプコン作品に対する“愛”を語ってもらうことにしました!
◆『鬼武者』
2024年のいま、2001年の『鬼武者』を振り返ると「あまりに早すぎたな」と思いますね。なにしろ実在の俳優をCGに取り込んだり、戦闘を突き詰めるとパリィをベースにして戦ったり、現在のビデオゲームでは当たり前になっている要素が取り込まれていますから。
シリーズを振り返ると『鬼武者2』ではなんと亡くなられていた松田優作氏をキャスティングするなど、アクロバティックなやり方もすごかったです。だって今のビデオゲームでも、基本的にキャスティングするのは存命の俳優じゃないですか。「3Dで実在の俳優を使う」という黎明期ゆえの蛮勇のようにも思います。
そして『鬼武者』を極めるのに必須である「一閃」、「弾き一閃」というゲームデザインも早すぎましたね。これは敵の攻撃タイミングをに合わせて斬撃、またはガードすると発生する一撃必殺の攻撃なんですが、2000年代の当時はすごく地味で、難しいアクションでした。
『鬼武者』って派手な技、ケレン味のあるキャラなどの印象が強いと思うんですが、極めようとすると「敵の攻撃を待つ、見切る」って渋いものになるんですよ。当時は『デビル メイ クライ』やコーエーテクモの『三國無双』シリーズのほうがコンボも多彩だし、一騎当千で派手だしで、2000年代はそちらのほうがゲームプレイが華やかだったのもあったせいか、『鬼武者』はだんだんと存在感を薄めていった印象があります。
ところが、2000年代後期以降に潮目が変わるんですよね。ソウルライクの活況です。フロムソフトウェアの『デモンズソウル』から『エルデンリング』まで、まさかの「敵の攻撃タイミングを見切り、一撃必殺を出す」が一大トレンドになるとは思いませんでした。もうゲーマーなら「パリィして必殺」は当たり前ですよね。ついに『鬼武者』の時代が来た! と思ったら、そこに『鬼武者』がいないんです。『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』でパリィの連続みたいな剣戟をプレイしていて「これある意味『鬼武者』じゃん!」と感じてました。
昨年Netflixで新作のアニメシリーズが公開されたいま、『鬼武者』も新作の可能性があるのでしょうか? もしも新作が開発されるなら、ディレクターは中西晃史さんが担当されたものをプレイしてみたいですね。
中西さんはアクワイア時代、『立体忍者活劇 天誅』シリーズと『侍道』シリーズに関わり、カプコン時代に『バイオハザード7 レジデント イービル』のディレクションを行ったクリエイターです。侍を作ってきた経験とカプコンイズムを習得しただろう今の中西さんこそ、『鬼武者』新作開発にふさわしいのではないでしょうか。
いまソウルライクがあふれる時代に、「敵の攻撃を見切る」戦いの先達だった『鬼武者』がどう返答するのか見たいんですね。
(ライター 葛西 祝)
◆『BIOHAZARD REVELATIONS 2』「レイドモード」リメイク
『BIOHAZARD REVELATIONS 2』にはストーリーから切り離された「レイドモード」なる、戦闘をやり込んで楽しむモードがあります。アリーナ状の舞台で次々と現れる一定数の敵と戦うのですが、使えるキャラクターがウェスカーなどを含み15名からなり、戦闘中に宝箱から手に入れることのできる武器やパーツなどがありカスタマイズを楽しめます。
スキルもあり、キャラクターのレベル上限の解放で数が増やせ、ランクがありスキルポイントで強化ができます。
フレンドと協力プレイできるのが美点で、やり込みゲーとしてとても楽しく遊ぶことができます。しかし惜しむらくは、RESIDENT EVIL.NETを使っているものの繋がらないため今はボーナスが得られません。
またゲーム本編自体もco-opゲーとして2人で進めていくことになります。ソロだとキャラクターの切り替えをしながら進むことになって少し味気ないでしょう。本編も今こそリメイクする価値のあるホラー体験が待っています。
ともあれ「レイドモード」にはハクスラ的な喜びが待っていて、やり込みプレイがはかどること間違いなしの体験がありました。今こそ新作かリメイクを!
(ライター SHINJI-coo-K(池田伸次))
◆『プロギアの嵐』
本作は世にも珍しい横スクロールの弾幕シューティングゲームです。本作は大昔に携帯電話用に移植(もうサービス終了済み)されて以降日本国内移植がされておらず、2021年に「カプコンアーケードスタジアム」に移植されるまで幻のタイトルとなっていました。
横シューティングなのに縦にスクロールして進んだり、二周目の弾幕がクリアさせる気がないほどに鬼畜であったりと今のカプコンにも通じるところがある歯ごたえあるゲームとなっています。
本作は移植こそされたものの、リメイクや続編などは全くと言っていいほど音沙汰がなく、「カプコン超選挙」の投票にも参加できなかったほどに知名度が低いのが現状です。
そういった現状から新作やリメイクなどを期待してよい物かと思ってしまいますが、やってる人が居ないモードのランキングで2位と35分の差をつけて1位になるほどやりこんだタイトルですので、ファンの一人として新作やリメイクを気長に待っていようと思います。
(ライター くろすけ君)
◆『ロックマンエグゼ』
「ロックマン」シリーズのアクションRPGとして、 2001年にゲームボーイアドバンスから発売された『ロックマンエグゼ』。ゲームボーイアドバンスのローンチタイトルとして登場し、最終的にナンバリングタイトルは「6」まで展開されました。
筆者がプレイしたのは初代から『ロックマンエグゼ3』までの3作。また、複数のナンバリングタイトルが出たのもあってか、ゲーム性は良い意味で熟成されており、今プレイしても十分楽しめるクオリティーがあると思います。そのため、コアなファンの方からすれば「まず後期3部作やったら?」と思われるかもしれません。
が、筆者がそれでも続編やリメイクを求める理由には、その世界観が上げられます。本作の舞台は発売当初の近未来。この世界では「PET」と呼ばれる小型デバイスや、疑似人格プログラム「ネットナビ」が普及しています。
そして、主人公の「光熱斗」と共にネットナビこそ「ロックマン」であり、彼と共に電脳世界を旅することになるのですが……この世界観、現代のインターネットとかなり近似しています。
制作スタッフが今の社会をどこまで予想していたのかはわかりません。
しかも本作のストーリーはどれも一級品。少なくとも筆者のプレイした作品はインターネットの話でありつつも、家族や友情といった普遍的なテーマも差し込まれていました。だからこそ、今の世界で『ロックマンエグゼ』の世界が描いて欲しいと思っているのです。
あ!後、できればゲーム中のどこかでアニメの楽曲である「Be Somewhere」を使ってくれるとメッチャ嬉しいです!音律とかはもちろん、歌詞が最高でして、特にBメロの辺りがですね……!(以下略)
(ライター 鈴木伊玖馬)
◆『ファイナルファイト』
「FF」といえば、ファイナルファンタジー? いや、ファイナルファイトだ!
犯罪多発市の治安を、何と選挙で選ばれた市長自らが正すベルトスクロールアクションの名作。自治体首長に必要なのは、まず何よりも暴漢を殴り飛ばす鉄拳とダブルラリアット! 日本の各自治体もメトロシティを見習わないといけません。
犯罪に対しては強い姿勢で臨まないといけないということがよく分かります。場合によってはドラム缶から出てきたナイフや鉄パイプも振り回して、連中を血祭りに上げましょう。
ところで、ファイナルファイト初見の人の中にはオープニングに出てくるダムド(ハガー市長の娘を誘拐した実行犯)をラスボスと思った人もいるかもしれません。ところがダムドは1面のボス、つまり手下に過ぎません。こうしたドラマや映画のような憎い演出もあるのがファイナルファイト。
令和の世に必要なのは、閉塞感をダブルラリアットでぶち破るファイナルファイトの続編だっっっ!!!
(ライター 澤田 真一)
◆『ブレスオブファイアV ドラゴンクォーター』
シリーズ通して主人公とヒロインの名前は「リュウ」と「ニーナ」。そしてテーマは「竜」。世界観は違えど、そんな統一性を持ったRPGの5作目。
敵味方相対してのターン制バトル、ファンタジー寄りの設定など、それまでのシリーズは比較的保守的な作りのJRPGでしたが、本作は一転して大きな挑戦を行いました。敵とエンカウントした場所がそのままバトルフィールド化し、位置取りが重要となった戦闘、SFチックでディストピアな設定、地下世界からの脱出をめざすストーリーなど、従来のシリーズ、ひいては日本製RPGの大勢からみても本作は明らかに異質でした。
本作の白眉は「シナリオ・オーバーレイ」(「SOL」)というシステムの導入で、これは現在でいうローグライトに近いといえます。ゲームオーバー時または自分から「ギブアップ」を選ぶことで、各種ステータスなどを引き継いで中継地点か最初からゲームをリトライすることができます。またループをすることで徐々にカットシーンが追加されていく構造となっています。
逆にいえば、本作はループをしなければクリアが難しく、一般的なRPGとはプレイ感覚も相当異なるため、当時は面食らってやめてしまったプレイヤーも多かったのではないでしょうか。ローグライトやループもののゲームが増えた現在ならば、広く受け入れられるゲームなのかもしれません。
このほかにも人物の潜在能力を示す値「D値」の上昇、リュウが「竜」と化す浸食率をパーセンテージで表した「D-カウンター」(100%で強制ゲームオーバー)といったシステムは一見難解ですが、本作の陰鬱な世界設定と一体化しています。ストーリーを早く知りたいという気持ちを抑えつつ、プレイヤーは自身の限界を悟り、リュウたちの死期を見定めて「SOL」というシステムの履行をするのです。
(ライター 林與五右衛門)
定番のシリーズタイトルから、意外な作品名も上がった今回のカプコン超選挙。しかし、このように多彩なソフト名が上がるのも、これまでカプコンがさまざまな作品を生み出してきたからにほかなりません。
読者の皆様は、どんなタイトルのリメイク・続編に投票しましたか? ぜひコメントで教えてください。