◆「鬨(とき)の声を上げる味方」の実現は長年の悲願だった!
――発売日が2025年1月17日と発表され、予想よりも早くて嬉しい驚きでした。今の開発状況を教えてください。
庄知彦氏(以下、庄):開発は最後の調整に入っており、スタッフ一丸となって取り組んでいます。今日は若いスタッフに会社を半分休ませて会場に連れてきました。大勢の方が試遊してくれているのを見ることで、また頑張ってもらえたらなと。
――TGSでの試遊は、ビジネスデイでも列ができるくらい盛況ですね。
庄:並ばせてしまっているのをこう言ってよいか分かりませんが、大変ありがたいことだと思っています。
――このままTGS試遊版のお話からさせてください。味方と一緒に攻め上がるとき、鬨の声が響きわたるのが本当にかっこよくて遊んでいてテンションが上がりました。
庄:鬨の声はずっと導入したいと思っていた要素ですので、長年の思いがついに結実しました!
――製品版には難易度設定があると思いますが、試遊版の設定はどのくらいだったのでしょうか。
庄:標準的な難度にしてあります。そのうえで、製品版よりも相当簡単にしてあります。
――「軽率に前へ出ると結構簡単に死ねる」難度だと感じたのですが……!?
庄:今回は「プレイヤーのみなさんを殺しにかかってる」調整をしていますので!
――とはいえ、試遊版はやられてしまってもすぐ直前から再開できたので、気持ちを切り替えて異なるアプローチを試しやすいとも感じました。強い敵は後回しにしてみたり。
庄:その仕様は製品版も同じですので、気軽に楽しんでいただければと思います。
◆数千人の兵がAIで思考して動き、戦場の臨場感を演出!
――TGS公式番組などでもおっしゃっていますが、本作は敵味方の軍勢の圧倒的な物量に驚かされます。
庄:企画段階から考えていたことで、ディレクターには「今までのシリーズ作品にないレベルで兵を出したい。PS5で出せるだけ出してほしい」と伝えました。
それを受けて、ディレクターが現場に「(画面内に一度に)1,000人出してほしい」と言ったら、プログラマーから「そういう時は『1万人出せ』って言ってくださいよ!」と返されたそうです。
――かっこいい……。プレイヤーが活躍するとゲーム内で「お前こそが万夫不当(≒1万人が束になっても敵わない)豪傑よ!」とほめてくれますしね。
庄:残念ながら実際に1万人同時表示まではいきませんでしたが、数千人以上が表示されます。スタッフたちは本当にがんばってくれました。
――と、おっしゃいますと?
庄:ただ数千人の兵士を表示させても、全然臨場感が出なかったんです。「合戦をしている臨場感はどうやったら出せるのか?」でかなりの試行錯誤をしましたね。その結果、AIを綿密に組んで集団に状況に合わせた自律的な動きをさせることで、ようやく凄みの感じられるものにできたと思っています。
◆「随行武将」はみんなめちゃくちゃに強い!
――戦に臨む際は、随行武将を1人選んで連れていけるようになっています。TGS公式番組でおっしゃっていましたが、本作における関羽や夏侯惇のような有名武将たちは主人公よりも強めに調整されているのでしょうか?
庄:はい。限られたタイミングでしか交代できない代わりに、文字通りの「一騎当千」な強さを発揮するように調整しています。本作はオリジナル主人公の視点で物語を楽しんでいただく形になりますが、おなじみの武将たちを操作する楽しみも残そうと思い、このようにしました。めちゃくちゃ強いので期待してください! もし随行武将をずっと操作できるようにしたら、あまりの強さにゲームバランスが崩壊してしまうほどですよ。
――本作では随行武将のほかに、主人公の配下となる「護衛兵」も久しぶりに登場しています。
庄:『無双』ならではの「アクション」と「戦術性」を繋ぐ要素として、そして育成・やり込み要素として復活させました。現場のスタッフたちには「人数をとことん増やすんだから、護衛兵も出せるよね?」と……(笑)。
――(笑)。試遊版では21人の護衛兵が随行していたそうですが、これが連れて歩ける人数の限界でしょうか?
庄:いえいえ、もっとたくさん増やせますよ。あまり目立たせないようにはしていますが、最大まで増員すると「こんなに率いていいの!?」と驚かれると思います。また、本来は味方と一緒に前線を押し上げるべき局面でも、自分と護衛兵たちだけで戦えるようにもなるでしょう。
逆に、護衛兵をまったく連れていかない単騎出撃もできますので、そこはお好みに合わせていただければと思います。
――選択肢が増えるのはいいですね!
◆主人公は完全なる架空のキャラクター
――主人公についてお聞きします。彼の記憶もストーリーに絡んでくるそうですね。美丈夫なので、東京ゲームショウでの情報公開を見るまでは「記憶を失った趙雲だったりするのかも?」と勝手に想像していました(笑)。
庄:あれこれ想像していただけるのは大変嬉しいですが、主人公は「三國志」に登場する誰かではない……とお伝えしておきます。しかし、架空ではあっても適当な存在ではありません。当時の歴史的背景を鑑みて「こういう人物だったらいたかもしれない」と思えるラインを追求しています。
――名前はプレイヤーが設定するようですが、初期設定の名前はあるのでしょうか?
庄:初期設定は特にないですね。
――主人公や一部の武将は、ストーリーの展開などによって姿格好が変わるそうですが、主人公の衣装を自由に設定できる"着せ替え要素”のようなものはあるのでしょうか?
庄:結論としては、あります。物語の途中で衣装が変更され、それ以降は最初の衣装と新しい衣装の好きな方を選べるようになります。加えて、店舗別特典やプレオーダー特典などもありますしね。
――ストーリーが進行し、年月が経過したことで加齢で見た目が変わり…というような要素ではないのですね。
庄:もし誤解をさせてしまっていたら申し訳ないのですが、私たちからは「加齢で」変わるとはお伝えしていなかったと思います。20歳、30歳を超えると、5年や10年が経過しても多くの人は見た目ってそんなに変わりませんよね?
本作に関しては、加齢ではなく「"立場の変化”で見た目が変わるキャラもいる」という認識でいていただければと思います。
◆武器の種類ごとに異なる特徴や強みがある!
――中国大陸を表現した「大陸地図」のシーンを見ていて蜀の上に雲が立ち込めているのを見て気が付きましたが、本作は魏・呉・蜀のうち蜀にはまったく行かないゲームなのでしょうか? 本作は赤壁の戦いまでを描くとのことですが、劉備が蜀を領地とするのは、あの戦いの後でしたよね。
庄:そうなりますね……蜀に行くのは、"もし本作の続きとなる続編を出せたら”ということになると思います。
――続編の構想がすでにあるのでしょうか?
庄:いえ、現時点ではまったくのノープランです(編注:「続編をどう作るかのプランはまだ何もない」ではなく「続編を出すことをまだまったく考えていない」というニュアンスです)。
――主人公はさまざまな武器を使いこなせるようですが、武器はどのくらいの種類があるのでしょうか。
庄今明らかになっているのは5~6種類だと思いますが、製品版ではもっと多くの種類が用意されていますし、種類ごとに異なる特徴や強みが用意されています。
試遊版に登場した武器ですと、「将剣」のような片手持ちの剣はオーソドックスで使いやすいのが魅力です。長柄の武器である「偃月刀」は、通常攻撃を連打するだけでループして攻撃がずっとつながるという特徴があり、ヒット数が増えるほど威力も増していきます。
――集団を相手にするときに威力を発揮しそうです。
庄そして夏侯惇が持っていた「朴刀」は、上記の武器と異なり通常攻撃からチャージ攻撃に直接つなげることができません。その代わりチャージ攻撃を連打するとタメに移行して大きなダメージを叩き出すなど、タメ攻撃に特化した作りになっています。いろいろな武器を試してもらえたらと思います。
――TGS公式番組では、闘用の武器も使っていました。
庄手甲(てっこう)と呼ばれる武器種です。
――靠(肩を含む体の背面部)による打撃もあって、カンフー映画のようなかっこよさがありました。
庄いわゆる「鉄山靠」のような攻撃があるのは狙ってやっています(笑)。やっぱりこういうのが“映える”よねと。
――「武芸」についても教えてください。使用できる武芸は、その時装備している武器の種類によって決まるのでしょうか?
庄基本的にはそうなりますが、どの武器種であっても使える汎用的なものもあります。TGS公式番組では即座に弓を手にして矢を射る武芸を使っていますが、あれも武器種を選ばないものの一つです。
◆ルート分岐~マルチEDは引き継ぎアリの周回でサクサク楽しめる!
――本作はルートが分岐してマルチエンディングになるとのことですが、1つのEDを見たら周回プレイをする前提なのでしょうか?
庄はい。ぜひ周回して楽しんでいただければと思います。もちろん、強化したパラメータや取得した武器は引き継ぐことができますし、最初からではなくストーリーが分岐するポイントからプレイすることもできますので、ご安心ください。遊びやすいように作っています!
――安心しました! 最後に、発売を待つプレイヤーへのメッセージをお願いします。
庄従来作よりプレイアブルな武将が少なくなってはいますが、濃密な体験でそれを補ってあまりある、そして『無双』シリーズの今後にもつながる最高の1作品にしているつもりです。ぜひ、手に取って遊んでいただけたらと思います。
また、ストーリーが濃密であるゆえに「三國志」をご存じない方も楽しめると思います。今作は「三國志」ならではの難読漢字にもルビを振っていますので、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。