本作は『Tower of Fantasy(幻塔)』を開発したHotta Studioによる完全新作で、「東京ゲームショウ2024」にも出展。
そんな本作ですが、11月28日から12月2日の期間にかけて実施されていたクローズドβテストにインサイドも参加する機会が得られました。中国圏を対象としたクローズドβテストなので、日本語化はされていませんが、本稿ではゲームをプレイして得られた所感などをレポートしていきたいと思います。
※ 本プレイ環境は「AMD Radeon 780M」GPUによるものです。グラフィック設定もそれに合わせたものなので、スクリーンショットの見え方がゲームの品質を直接的に示すものではありません。何卒ご了承ください。
◆「異象ハンター」として町の超自然現象を解決!ライトコメディとホラーを掛け合わせた独特の作風
NTEで舞台となるのは「異象(アノマリー)」と呼ばれた超常現象が発生する大都市「ヘテロシティ」。ここでは自然法則、物理法則を無視した摩訶不思議な超常現象が日常的に町中で巻き起こっています。人々はそうした現象を“異象”と呼んでいるようです。
主人公(プレイヤー)は、そんなヘテロシティで民間の異象ハンターとして生活しています。ちなみに異象と言ってもさまざまな概念があり、異象の力を操れる「異能者」や、人間と意思疎通が可能でパートナーのように付き添える生命体のような存在も数多くいます。
ゲーム冒頭のムービーシーンを含めて、『NTE』のムービーパート&会話パートでは、とにかくデフォルメが効いている印象を受けました。一見するとシリアスに感じられる場面であっても、キャラクターの大げさなリアクションやちょっとしたボケが差し込まれ、常にコメディチックな空気感が抜けません。総体として“明るい作風の世界観”といった調子で物語が進行していきます。
漫符などがふんだんに使われて、アニメ的というよりは漫画的な演出が目立っていました。とはいえ、ムービーシーンでは生き生きとしたキャラクターの見せ方に独特の風合いも感じられ、まるでアニメを見ている感覚すらあります。冒頭でも紹介したように、今回のCBTには日本語ボイスが収録されていませんが、吹き替えられた際のユーザーの反響が楽しみです!
ゲーム冒頭では猫っぽい異能者の少女ミントと共に、最初の異象に立ち向かうことになりました。シチュエーションとしてはチュートリアルの性質が強く、道なりに出現する敵を淡々と撃破していくだけでOK。プレイヤーはここで初めてアクションの操作感を感じられるようになります。
出現する敵は異象から出現した不気味な造形のモンスターたち。このダンジョン内の町並みは、異象がもたらす作用によっておどろおどろしい雰囲気が漂っています。SEも相まってちょっぴりとだけホラーテイストでした。
バトルの基本は、通常攻撃とスキル、必殺技で戦うシンプルなアクションです。これに加えて敵の攻撃に対するジャスト回避、特定のタイミングでキャラクターを切り替えた際に発動する連携攻撃、異象同士の相互反応と思われるものや、敵のブレイク値を溜めて一定時間の攻撃チャンスを作り出すシステムなどが備わっています。
ただ、12月4日に公式Xで公開された「Developer FAQ Vol.2」によると、バトル部分はモーションや演出を含めて多面的な調整が行われていくとのこと。ダッシュ時のスピード感がやや遅いこと以外は、今のところそこまで気になるほどではありませんが、よりブラッシュアップされていく部分なので、期待せずにはいられません。
チュートリアルを終えた後は、ミントと共に主人公の活動拠点になる骨董品屋へ向かうことになります。この骨董品屋ではちょっとしたアクシデントでイベントバトルが発生するのですが、新たなキャラクターたちとの出会いでもありました。
そんなこんなでメンバーたちとの顔合わせが終わると、街の住民から異象に関する依頼が早速舞い込んできます。第1章では、撮影スタジオの中で奇妙な現象が発生して困っているという住民の依頼でした。まさかの骨董品屋メンバー総出案件だったらしく、ぞろぞろと町を歩きながら依頼人の元へ向かいます。
この時点で鬼のちびっ子「早霧」と、骨董品屋メンバーをまとめる「アドレー」の2名がプレイアブルキャラクターとして加わり、パーティが4人編成のフルメンバーになりました。早速、撮影スタジオの中で巻き起こっている異象の原因を突き止めていくことに。キャラクターが4人もいるので、次々と交代しながら攻撃を繋げていくパーティ内の連携感あるコンボアクションが楽しめます!
また、どうやらメインストーリーで訪れる異象のダンジョンには、それぞれ異象のテーマになるべきギミックが存在しているようです。
今回のCBTでは、スケジュールの関係で第2章までしかプレイできていませんが、どの章も冒頭からブレずに続くコメディチックなノリが忘れられません。本作は「都市ライトコメディ」というテーマを掲げていますが、作中で発生するホラー色の強い異象の怪異事件とは対極的なテーマです。一見すると不気味でホラーチックな異象を、とにかく明るくコミカルで、かつ漫画表現を取り入れながら演出するギャップはエンタメ的にユニークと言えるでしょう。
『NTE』は「ライトコメディ」と「ホラー」を掛け合わせたことで、作品が持つオリジナリティが一層確立されているように見受けられます。後述しますが、異象にまつわる設定で都市生活の非日常を上手くゲームに落とし込んでいるシステムも魅力的です。キャラクターの特殊能力とはいえ、本来ありえない力に説得力が生まれるような、作品にとっても意味のあるライトコメディ要素なのかもしれません。
◆こういう大都市を巡りたかった!ヘテロシティでの生活がとにかく楽しい
美少女キャラクターで冒険を繰り広げられるオープンワールド作品は現在、市場にその数が増えつつありますが、「都市」そのものにフォーカスした舞台設定のタイトルはまだまだブルーオーシャンです。
どの作品にも町は存在していますが、その「町」という空間から一歩外に出てしまえば、だだっ広い山々や平野といった自然豊かな空間が待ち受けています。そうした自然の中にダンジョンが配置されていたり、ボス敵がいたりするわけです。なので必然的にプレイ時間の大半はこうした自然豊かな空間で過ごすことになります。
ですが、『NTE』はそうではありませんでした。今回プレイしたCBTのエリア範囲では、既存作で挙げられるような広大な自然空間が見当たらないのです。ヘテロシティが海に囲まれている構造なので海の広がりこそあれど、断崖絶壁の過酷な自然環境はまだゲームに存在していないようです。
道行く多くの通行人や車、商店街に入るとコンビニからコインランドリーにちょっとお洒落なレコードショップもありました。もちろん、その辺にある自販機で飲み物を買うこともできますし、包子(中華まん)を販売している個人商店すら見つかります。町中の多くのお店に入れて、それぞれアクセスが可能。そして何かしらの機能が備わっている周到なマップ密度です。
前項の最後で少し触れましたが、こんな平和そうに見える町中でも、人気の少ない特定の箇所を歩いていると、異象が発生してモンスターが出現することもあります。異象発生時は画面左上のマップがレーダーのような反応を見せ、辺りの様子が一変します。
場合によってはレベルの高いモンスターが序盤から出現して、厳しい戦いを強いられるなんてケースもありそうです。実際、チュートリアル直後に寄り道した矢先、異象から高レベルなモンスターが出現したので、その場から逃げるように撤退するなんて場面もありました......。
ヘテロシティにはあちこちに異象の発生ポイントが点在していますが、なにも戦闘するだけではありません。
入り組んだ町並みを探索していると、それだけで雰囲気に呑まれて楽しいとさえ感じられます。ですが、“どこで何が起きるかわからない”という神出鬼没な異象の存在も、目的のない町歩きに意味を与えてくれるのではないでしょうか。
異象と言えば、作中のプレイアブルキャラクターは何かしら特殊な能力を使うことができる異能者でした。彼らの能力は戦闘で役立つものはもちろんのこと、オープンワールドの探索にも華を添えてくれます。
今回のCBTでは、眼鏡っ娘のナナリーとゴスロリっ娘のレクイエムを使用しています。この2人の能力で町中での探索は一味も二味も違うものになりました。ナナリーはスキルを使うと一定時間反重量状態になって壁を歩くことが可能です。一方のレクイエムはコウモリのような姿に変身して、短時間であれば自由に飛べました。
特にナナリーの反重量状態はこれまでにない不思議な体験でした。
こういった特殊な探索能力がないキャラクターのことも、そう心配する必要はないでしょう。なにせ『NTE』なら“マイカー”にだって乗ることができますから。お金が貯まったら町のカーディーラーで好きな車を購入し、自由に乗り回すことができちゃいます。
購入したマイカーは場所が道路であれば、いつでも自動運転の如く持ち主のところまで呼び出すことができます。車関連で地味に嬉しいのは、カメラ視点の切り替えで運転席視点のドライブが楽しめること。
ただし、あまりに無謀な運転ばかりしていると、マイカーはどんどんボロボロの姿になっていくので要注意です。もしも気になるようなら、ガレージに持ち込めば修理もカスタマイズも可能です。
今回のプレイでは車のカラーリングを変更してみました。しかし、序盤なら車を買うお金がないプレイヤーもいることでしょう。その場合はレンタカーを借りてしまうのも移動手段としてはアリです。やや品性に欠けますが、町を走る車のルーフに乗せてもらう脳筋テクもできないことはありません。
車での移動に疲れたら電車の利用もオススメです。海の上に敷かれた線路を伝って、ヘテロシティの周りをぐるりと観光できます。町中を走る様子を電車の窓からボーッと眺めているのも実にチルい。
ほかにも本作では不動産屋を経由してマイホームを購入したり、飲食店経営までできます。今回は残念ながらマイホームを購入するまではできませんでしたが、原材料を買い集めてカフェを経営する遊びは体験できました。こちらは従業員として仲間を割り当てられるので、店舗経営に優れたキャラクターなどが今後登場してくるかもしれません。
CBTの期間はかなりタイトでしたが、現状でも高い完成度を感じることができました。都市が舞台の自由度高めなオープンワールドというだけでなく、キャラクターや物語の見せ方も魅力的です。
これだけのゲームを将来的にはモバイル端末でも楽しめるというのは、素直に驚くべきことだと思えます。『NTE』は、PS5/PC/スマートフォンのマルチプラットフォーム展開で今後配信予定。現在公式サイトでは事前登録も受付中ですので、ぜひチェックしてみてください。