4月2日に行われる「Nintendo Direct: Nintendo Switch 2」にて、任天堂の新たなゲーム機「Nintendo Switch 2」(以下、スイッチ2)の続報や詳細が発表される見通しです。また、発売日などの情報も出るのではと注目が集まっています。


前世代機にあたる「Nintendo Switch」(以下、スイッチ)の成功もあり、スイッチ2に期待するユーザーは少なくありません。しかし、どれだけ魅力的なゲーム機であっても、手に入らなければ絵に描いた餅に過ぎず、スムーズな予約や安定した購入ができるのか、誰もが気になるところでしょう。

スイッチ2の販売がどのような状況になるのかは、実際に蓋を開けてみるまで分かりません。しかし、近年の実例を元に、どのような対応を準備しておくべきか、備えることは十分可能です。

前世代機のスイッチと、ライバルとして語られる機会が増えるであろう「PlayStation 5」(以下、PS5)の発売当時の状況を振り返ります。

■行動次第で充分入手可能だったスイッチ
スイッチは8周年を迎えた今も確固たる人気を誇っており、今年の3月以降も『XenobladeX Definitive Edition』や『レイトン教授と蒸気の新世界』、『メトロイドプライム4 ビヨンド』に『ポケモンレジェンズ Z-A』と、独占タイトルだけでも話題作がいくつも控えています。

しかし、初めて詳細が明かされた当時のスイッチは賛否両論の状態にありました。すでにスマホが台頭していたため、スイッチの携帯モードに需要はないとの意見が多かったのが一因です。また、Wii Uの不振も相まって、任天堂の今後に懸念を抱く人が少なからずいました。

こうした流れもあったためか、スイッチの予約受付が始まった2017年1月21日、各店舗の状況は“大混雑”というレベルには至っていません。

都内や大都市の店舗などでは、予約受付の行列が作られたところもありましたが、その人数は場所によってまちまち。日経が報じた記事では、「100人近い行列ができた店舗もあった一方で、列が30人程度に留まった店舗もある」と記されています。


行列ができる時点で関心度は高いと言えますが、予約開始日に向けてしっかり動いていれば、多くの人が入手できる可能性は十分あるような状況でした。

あくまで一例ですが、都心外の関東圏に住む筆者の場合、当日の昼頃に近所の量販店へ足を運び、そこでスイッチの予約を完了。日中でもまだ締め切られてはおらず、朝イチでなくとも問題なく予約できました。

様子見派が多かったためか、一定の盛り上がりはあったものの、当日の行動次第でスイッチの予約は十分可能でした。むしろ、『ゼルダの伝説 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『マリオカート8 デラックス』、『スプラトゥーン2』といった人気作のラッシュにより、予約開始日よりも発売日以降の方が入手難易度は高かったかもしれません。

ただし、ユーザーが集中しやすいオンラインストアでは予約開始日に申し込みが殺到し、一時的にサーバーが落ちたストアもあった模様。ストアと比べると、実際に店舗へ出向くのは手間がかかるものの、その分だけ競争率は低かったものと思われます。

■予約は激戦、発売後も入手難が長く続いたPS5
スイッチの発売から3年半後の2020年9月18日午前10時、PS5の予約受付が幕を開けました。2020年といえば、1月に東京都で新型コロナウイルス(COVID-19)の初感染者が確認され、密を避ける、外出はなるべく控えるといった慣習が急速に広まった年です。

ゲームを取り扱う店舗もこれに倣い、PS5の予約受付の多くはオンライン上で行われました。そのため、店頭での予約受付もあったスイッチとは異なり、購入希望者の大半がオンラインの受付に殺到します。

予約開始当日、筆者も予約受付に参加しましたが、PS5をカートに入れることすら困難で、幾度もエラーに出くわしました。
ようやくカートに入っても、予約受付の手続きを完了できず、途中でエラーが出ればやり直し。この流れを幾度も繰り返した挙句、気づけば予約受付は終了しており、事前の予約は失敗となりました。

SNSなどを見れば、自分と同じように予約できなかった人の声が多く飛び交っており、PS5の予約は困難だったのだと改めて思い知らされます。

発売後にキャンセルが出るのでは……と儚い希望を抱いて店舗を覗いたこともありましたが、仮にキャンセルが出ても店頭での直接販売は見当たらず、残念ながら空振り。再入荷の予定も消費者側には分からない場合が多く、各店舗やストアの告知を待つほかありません。また、販売方式にも変化があり、予約受付から抽選方式に切り替える店舗が続出しました。

「とはいえ、こんな状況も供給が続けば落ち着くだろう」と筆者も当初は楽観視していましたが、年を明けた2021年に入っても十分な供給はなく、わずかな再入荷に対して多くの人が(オンライン上で)詰めかけ、予約や抽選の競争が繰り返されるばかり。

筆者も、幾度となく抽選販売に挑んでは、落選の通知を受け取る日々が続きます。2021年3月末にようやく抽選販売に当選しましたが、これほど手こずるとは全く想像していませんでした。

しかし、半年経たずに購入できたのはまだ運が良い方で、供給不足による抽選販売が2年以上も続くとは、当時は誰も予想していなかったと思います。その理由のひとつは、コロナ禍の影響で生産台数が想定を下回ったため。スイッチの場合は人気の再燃となりましたが、PS5の場合は供給と需要の差が大き過ぎたため、活性化よりも競争過多といった面が強い展開になってしまいます。


また、転売問題も普及に悪影響を与えました。入手難の頃は、定価以上の価格で買い取りする店舗もあり、購入直後に売っても差額でプラスになる状態でした。また、個人が不用品を出品するフリマアプリを利用する人も続出します。

そのため、PS5そのものに興味がない人も差額で儲けるため抽選販売に参加し、競争倍率がいっそう上がるといった事態に陥ります。当時フリマアプリを覗くと、PS5の出品が相次いでいました。

こうした状況は実に2年以上も続き、誰でも気軽に購入できるようになったのは、2023年の初めごろになります。欲しくても買えなかった人たちの元に、ようやくPS5が行き渡るようになりました。

ただし、この2年の間にPS5は値上げとスリムになった新モデルへの切り替えが行われ、現在の価格はディスクドライブ版79,980円/デジタル・エデション版72,980円(共に税込)まで上がっています。

買いたい人が多かったものの供給不足で手に入らず、買いやすくなったのは値上げ後と、購入希望者には少々残念な経過を迎えました。その後の価格改定も、決して嬉しい流れではありません。コロナ禍や円安、広域的な物価高騰と、やむを得ない事情が重なったPS5の展開は、待ち望むユーザーにも深刻な影響を及ぼす結果となりました。

■スイッチ2の入手難は、任天堂の対応で回避されるのか
様子見も少なくなかったため、行動次第では予約開始日に確保が可能だったスイッチ。
その後は、人気に拍車がかかり、入手難の時期も訪れました。

予約開始時点でコロナ禍の影響を受け、オンラインストアは大混雑。受付の締め切りも早く、欲するユーザーの多くが手に入らないままPS5は発売日を迎えました。また、供給と需要のつり合いが取れないまま2年以上が過ぎてしまいます。

予約開始から発売日以降の供給まで、事情も状況も全く異なっていたスイッチとPS5。今後登場するスイッチ2の予約状況や販売形態がどちらに近くなるのか、または全く別の形となるのか。今のところ、その答えはまだ見えてきません。

ただし、店頭に人が殺到するような事態は、店側としてもできれば回避したいところでしょう。前世代機(Wii U)が芳しくなかったスイッチの時と比べると、スイッチが成功を収めた後のスイッチ2は注目度・購入意欲ともに上回るかもしれません。そのため、状況としてはPS5の予約・販売状況に近くなる可能性が高そうです。

その想定が当てはまれば、スイッチ2も予約や入手が困難になる恐れがあります。しかし任天堂は、第84期定時株主総会の質疑応答にて、「転売への対策として、お客様の需要を満たせる数をしっかりと生産することが最重要だと考えている」と回答。
また、2025年3月期第3四半期決算説明会の質疑応答では、「なるべく大きな需要を満たせるように、リスクをとって生産を進めているところです」とも答えました。

具体的な数字こそ出ていませんが、転売や供給といった問題について、前向きな生産体制で臨む姿勢を幾度も見せています。その狙いが上手く運べば、PS5と似たような状況下であっても、長い供給不足は避けられるかもしれません。

スイッチ2も、なかなか当たらない抽選販売が繰り返されるのか。それとも、リスクをとった生産体制で需要を的確に満たすことができるのか。その状況を見極めるもよし、いずれ訪れる予約開始に向けて準備を整えるもよし。過去の事例を参考に、今後の行動を一考しておきましょう。
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