任天堂は4月2日、「Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2」にて『カービィのエアライダー』を2025年に発売すると発表しました。

本作は前作『カービィのエアライド』の発売から22年越しとなる新作です。
また、PVの最後には『星のカービィ』シリーズの生みの親である桜井政博氏がディレクターを務めると告知されています。

これまでもSNSやインターネット上で多くの話題を集めてきた『カービィのエアライド』。最近の「ニンテンドーダイレクト」の実施時には、毎回のように「『エアライド』の新作来い……!」という声が飛び交うなど、独特のムーブメントになっていました。

そんな『カービィのエアライド』が、なぜこれほどまでに話題となったのか、その背景について今回は追求してみました。

◆そもそも『カービィのエアライド』ってどんなゲーム?
本題に入る前に『カービィのエアライド』とはどんなゲームだったのか、一度振り返ってみましょう。

『カービィのエアライド』は2003年7月11日にゲームキューブ(GC)向けに発売されたアクションレースゲームです。開発したのはハル研究所。ディレクターは新作と同じく桜井政博氏が務めています。

本作ではカービィたちが「エアライドマシン」と呼ばれる個性的なビークルに搭乗。シリーズおなじみの「吸い込み」や「コピー能力」といった能力も駆使し、勝利を目指します。

レースゲームと言えば、アクセルやブレーキやドリフト、巧みなハンドル捌きやコース取りなど、複雑な操作や戦略眼が求められる機会も多いジャンルです。しかし『カービィのエアライド』の操作は基本的にスティックとAボタンのみで成立するというシンプルなもので、小さな子どもや初心者プレイヤーでも気軽にプレイできました。


特に人気を集めたのは「シティトライアル」でしょう。こちらはオープンワールド状のコースである「シティ」で争われるゲームモードとなります。

このゲームモードでは、コースの各所にエアライドマシンを強化するアイテムが配置されています。プレイヤーたちはこれらを回収した後、一定時間経過後に行われる「スタジアム」で勝者を争います。

シティ内ではさまざまなイベントも発生。また、前哨戦であるシティパートでもアイテムを巡るプレイヤー同士の争いが勃発するなど、まさしく互いの死力を尽くして争うパーティーゲームになっています。

このように、本作はただのレースゲームに留まらない、バトル要素なども盛り込まれたタイトルとなっていました。実際、筆者が当時プレイしていた知り合いに話を聞くと、ほぼ全員「バトルがヤバかった」と語っていた記憶があります。

◆レース?パーティー要素?一体何がファンの心を引き続けるのか
このように多くのプレイヤーの心に残っている『カービィのエアライド』。とはいえ、パーティーゲームとして盛り上がる作品ということなら『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズや『星のカービィ64』『ポケモンスタジアム』のミニゲームでも同様のことが言えます。

もちろん『スマブラ』シリーズは今も続編が現役ですし、他の作品が語られる機会というのも決して少なくありません。しかしこの22年の間、これらのゲームを抑え『カービィのエアライド』が語られ続けたのには、単に「ゲームとして個性的だから」で収まらない理由があるように感じます。


◆ゲームキューブの名作、実はWiiでも遊べた
まず思い浮かぶのは、ゲームとして遊べた期間が長い点です。

前述したように『カービィのエアライド』が発売されたのは2003年7月。GC本体の発売は2001年9月ですので、多くの人にハードが行き届いたタイミングといえます。前述した遊びやすさもあって「持っていなかったけど、友達の家で盛り上がった」人の割合はかなり多いのではないでしょうか。

さらに、次世代ハードの「Wii」ではGCソフトとの互換性持ち合わせていました。本体にはGCのコントローラーを接続できる箇所もあってプレイ環境自体は整えられており、ソフトさえ手に入れば『カービィのエアライド』は「遊べる」時代が続いていました。

しかしその一方で、Wiiの時代になっても『カービィのエアライド』の続編は発売されませんでした。当時の筆者も「Wiiリモコン+ヌンチャクで『エアライド』ができたら楽しそうなんだけどなぁ……」と思った記憶があります。

◆「Nintendo Switch Online」で配信される過去タイトルに触発?
さらに、2018年9月からはニンテンドースイッチに「Nintendo Switch Online」の正式サービスが開始。「ファミリーコンピュータ」や「スーパーファミコン」といった任天堂の過去ハードのタイトルが配信されるようになりました。

その後「NINTENDO 64」や「メガドライブ」「ゲームボーイアドバンス」などのソフトも配信が開始。こうなるとゲーマーたちの視線は、どうしても過去に向けられ始めます。


また、2015年頃からは各ゲームメーカーが過去作品のリメイクや久々のシリーズ復活タイトルなどを多数発表するようになりました。任天堂においても『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』や『New ポケモンスナップ』などが大きな話題を集めます。

その中でも最大のムーブメントを引き起こしたのは、フロム・ソフトウェアが2023年に発売した『アーマード・コア6』でしょう。『アーマード・コア5』から10年ぶりとなった本作は「身体は闘争を求める」というコピペを胸に、最新作を求め続けたフロムファンたちを歓喜せしめました。

そのような動きを対比して見るに連れ、『カービィのエアライド』に対する期待も高まったように思えます。

◆ディレクターを務める桜井政博の存在も大きい
そして筆者は、本作でディレクターを務める桜井政博氏の影響も大きいと思います。

ご存じの通り、桜井氏といえば日本を代表するゲームクリエイターの一人。最近では、ゲーム制作についてさまざまな視点から語るYouTubeチャンネル「桜井政博のゲーム作るには」の活動でも知られています。

件の『カービィのエアライド』についても、2023年1月9日に制作時の話をまとめた動画を公開しており、視聴回数は67万にも上っています。また、投稿当時のコメントを見ると「直観的に分かりやすいから盛り上がれる」「動画が出るだけで期待してしまう」「今でも昔の思い出を話すときに話題になります」といった意見が出ていました。

このように、『カービィのエアライド』を直接思い出すだけでなく、近年は桜井氏を通じて同作に思いをはせる機会も多かったように思えます。実際『カービィのエアライダー』のPVラストでは「桜井政博」の名前が堂々とアナウンスされており、任天堂からも重要なファクターとして扱われているのが見て取れます。


◆何はともあれ『カービィのエアライダー』が待ちきれない!
こういった事情も絡んだことで、ここ数年『カービィのエアライド』を求める声はどんどん大きくなっていきました。事実、ここ数年「ニンダイ」や20周年記念のタイミングでは、しばしば『カービィのエアライド』がXのトレンドに上がっています。

また先日の「Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2」では『ニンテンドー ゲームキューブ Nintendo Classics』も発表されており、チラ見した限りでは「このクラシックでも『エアライド』来ないの……!?」と嘆く人を見かけました。この時の桜井さん、楽しかっただろうなぁ……。

何はともあれ、期待せざるを得ない『カービィのエアライダー』。ファンたちの設けたハードルは高いでしょうが、約20年ぶりにディレクターとして『星のカービィ』シリーズへ復帰する桜井氏、そして制作スタッフの皆さんがそれらを乗り越えてくれる日が待ち遠しい限りです!
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