近年では、シリーズでも屈指と名高い『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が、ドット絵と3Dを融合させたビジュアル表現「HD-2D」でフルリメイクされ、現行機向けに復活しました。
しかし、シリーズの躍進はこれだけではありません。2025年内には、シリーズの原点である『ドラゴンクエスト』と、シリーズ初のパーティプレイを導入した『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』がセットになったHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』(以下、『DQI&II』)が登場します。
このHD-2D版『DQI&II』の詳細はまだ明かされていませんが、なんと実際にプレイする機会に恵まれました。今回が初の試遊会ということもあり、プレイ時間はタイトルごとに約15分ずつと短い間ではありましたが、HD-2D版『DQI&II』の手触りや第一印象をいち早くお届けします。
なお、試遊版のプレイ体験に基づくレポートとなるため、製品版では内容が異なる可能性もあります。その点、ご留意ください。
■HD-2D版『DQI&II』にも「とくぎ」が!
HD-2D版『DQI』の試遊プレイは、ラダトーム城の玉座の前から始まりました。また、主人公である勇者のレベルは1。つまり、最序盤からのスタートです。装備品は一通り揃っているものの、最低限の状態で冒険に旅立ちます。
ファミコン版を遊んだ身からすれば、グラフィックの進化は驚くばかり。
こうしたグラフィック面の進化は、HD-2D版『DQIII』と同様と考えてもらって問題ないかと思います。また、バトルスピードの調整や会話の記憶、2種類のアクセサリー装備といった要素も順当に受け継がれており、HD-2D版『DQIII』と変わらぬプレイ感で遊べそうです。
一方、『DQI』として考えると、いくつもの新たな要素がありました。その中でも「とくぎ」と「複数のモンスターとバトル」が、特に大きな変化といえるでしょう。
『DQI』はオリジナル版を含めて何作かありますが、主人公の勇者が「とくぎ」を使えるようになったのは今回が初めて。シリーズで唯一、パーティを組まない“ひとり旅”なので、戦闘中の選択肢が少なめでしたが、「とくぎ」の導入で戦いに新たなメリハリが加わりました。
エンカウントするモンスターもこれまでは1体のみで、勇者は常に1対1で戦いを繰り広げてきました。しかしHD-2D版『DQI』では、複数のモンスターと遭遇する形に変化しており、手ごわさもパワーアップしています。
「とくぎ」はHD-2D版『DQIII』にも導入されていましたし、複数のモンスターが同時に出現するのは、『DQII』以降ではごく普通の話なので、シリーズの流れを見れば順当な変化とも言えるでしょう。ですが、こうした要素を『DQI』でも味わえるとなると、やはり感慨深いものを覚えます。
モンスターが群れをなし、勇者は特技を駆使して戦う。令和の『DQI』は、過去作では味わえない激戦が待ち受けている模様です。
■危険性が増した「ロトの洞窟」で、新イベントと遭遇
軽くシステム面やバトルに触れた後、冒険の目的地として「ロトの洞窟」を選びました。原作で多くのプレイヤーが最初に訪れたこのダンジョンも、いくつかの変化と出会います。
原作では「たいまつ」や(この時点ではまず覚えていませんが)明かりを灯す呪文「レミーラ」がないと、ほぼ自分のキャラしか見えず、ダンジョン探索は非常に困難でした。
しかしHD-2D版『DQI』に「たいまつ」というアイテムは存在せず、ダンジョンに入ると自動的に勇者がたいまつに火を点け、掲げてくれます。そのため、周囲の視界は良好。暗闇に悩まされることはありません。
ただし、油断は禁物です。過去作の「ロトの洞窟」ではモンスターとエンカウントせず、戦うことはありませんでしたが、HD-2D版『DQI』では普通にバトルが発生します。令和の「ロトの洞窟」は、迷子の恐れが低下した反面、死の危険が伴うダンジョンに生まれ変わりました。
もちろん、本作においても最初に向かうであろうダンジョンなので、危険度自体は高くありません。
さらに「ロトの洞窟」では、「ロトの石板」が実物化しているという既存要素とは別に、過去作になかった新イベントと遭遇します。詳細についてはまだ伏せさせていただきますが、「こういう出来事も確かにアリか」と思わず納得してしまいました。
ここで体験した新イベントはひとつだけでしたが、HD-2D版『DQIII』と同様に、物語上の情報量が全般的に増えているのではないかと期待が高まります。
前述したように約15分というプレイ時間だったため、HD-2D版『DQI』の試遊は「ロトの洞窟」をクリアしたあたりで終了。短いひとときではありますが、『DQI』がどのように進化したのか、その一端を味わうことができました。
■「マイペースプリンス」「うっかり王子」「亡国の王女」って!?
続いてHD-2D版『DQII』のプレイに移ります。こちらもプレイ時間約15分と短いため、要点を絞って挑みました。
さきほど触れたグラフィックの進化、バトルスピードの調整、会話の記憶、2種類のアクセサリー装備などの要素は、HD-2D版『DQII』にも引き継がれています。「とくぎ」も同様に実装されており、王子たちと王女の戦いも激しさを増すことでしょう。
今回の試遊では、序盤ではなく既に3人が揃っており、「風の塔」に挑む状態からスタート。レベルも11とある程度上がっているため、「とくぎ」や「じゅもん」も相応に覚えている状態です。
メニューの「つよさ」からステータスを確認すると「勇者の子孫」という文字が。これは、HD-2D版『DQIII』における「職業」に相当する表記でしょうか。従来の『DQII』には転職システムはないため、この肩書きは最初から最後まで変わらないのかもしれません。
一方で、ステータス画面には「マイペースプリンス」といった表記も。これはローレシアの王子のもので、サマルトリアの王子だと「うっかり王子」、ムーンブルク王女の場合は「亡国の王女」とありました。
「勇者の子孫」が職業だとすれば、「マイペースプリンス」などは「性格」を指すものと考えて良さそうです。もし性格だとすれば、成長に影響を及ぼす可能性もありますし、装備や冒険中の行動で性格が変わることも考えられます。
先ほどのHD-2D版『DQI』では確認し損ねていましたが、HD-2D版『DQI&II』に性格が導入されるのであれば、育成の幅が大いに広がりそうです。
■試遊版で「サマルトリアの王女」に会えるのか……!?
HD-2D版として生まれ変わった『DQII』における「風の塔」攻略も、難なく進行しました。
ここでは「おばけねずみ」や「キラービー」などと遭遇し、深刻なダメージを受ける場面もあったものの、「さくせん」で回復をAIに任せていたおかげでピンチを凌ぎ、15分の間に「風の塔」の頂上に到着。バトルスピードの調整も、快適なプレイを後押ししてくれました。
予想よりも早く到達できたため、残り時間を使ってサマルトリアの城へ移動。
この城に来た目的は、サマルトリアの王女に会うこと。今年の3月に公開された最新映像では、サマルトリアの王女らしきキャラクターが登場し、ローレシアの王子と出会う場面が収録されていました。このことから、インターネット上では「もしかして仲間になるのでは?」といった噂が広がり、話題となっています。
王女に関する噂の真偽は未だ不明ですが、今回の試遊プレイで足を運んだところ、城内に彼女の姿を発見しました。その装いは、映像で披露されたカジュアルなものではなく、王女らしいドレスに身を包んでいます。
果たしてサマルトリアの王女は、ユーザーの期待に応えて冒険に出かけるのか。それとも、今回お目にかかったように、ドレスに身を包んで兄の帰りを待つのか。この点については、引き続き続報を待ちましょう。
なお王女に会うためにサマルトリアの城を訪れた際、ここでも新イベントに遭遇しました。短いながらもドラマ性を感じられるやりとりだったので、その内容は製品版で直接お確かめください。
限られた時間での試遊プレイでしたが、HD-2D版『DQI&II』の魅力を一端なりとも感じられる体験となりました。
気になる点はまだまだ多いものの、HD-2D版『DQIII』から引き継がれた数々の要素や、その恩恵を受けた快適なゲーム進行が味わえたのは、収穫のひとつと言えるしょう。
今回のプレイをきっかけに、更なる新情報の到着により大きな期待が高まります。次はどんな発表で驚かせてくれるのか、実に楽しみです。
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