2025年5月17日(土)~18日(日)、神奈川県のぴあアリーナMMで2Daysのライブイベント「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE ~forever~ presented by TOKYO MX 30th」が開催されました。本稿では、千秋楽となるDay2公演のレポートをお届けします。


◆等身大(より少し大きい)朝日奈さんと古式さんがそこにいた
ライブ会場に足を踏み入れると、シリーズ30周年の歴史を感じさせるフラワースタンドがズラリ! どれも本当に愛情の深い力作ぞろいです。

そして、筆者が一番度胆を抜かれたのが以下のフラワースタンドでした。

スタンドの上部にキャラの上半身を描いた立て札をあしらい、下部にスカートを模したチュール(…というのでしょうか?)をあしらうことで、フラスタ展示スペースの一角に「ノースリーブの赤いドレスに身を包み、花束を手にした朝日奈さんと古式さん」がそこにいました。『ときメモ』を何百時間遊んだらこんなにすごいものを思い付けるのだろう……。

また、ゲームで主人公の親友兼悪友となる早乙女好雄を演じているうえだゆうじさんからのフラスタや、『ときメモ2』でメインヒロインの陽ノ下光を演じる野田順子さんら『ときメモ2』キャスト陣からのフラスタも目を引きました。

◆スイッチ版発売を受けての“新入生(新規ファン)”歓迎会!
ライブは、藤崎詩織役の金月 真美さん、如月未緒役の関根 明子さん、紐緒結奈役の中 友子さん、片桐彩子役の川口 雅代さん、虹野沙希役の菅原 祥子さん、古式ゆかり役の黒崎 彩子さん、清川望役の笹木 綾子さん、鏡魅羅役の五十嵐 麗さん、朝日奈夕子役の鉄炮塚 葉子さん、美樹原愛役の栗原 みきこさん、早乙女優美役のよしきくりんさん、館林見晴役の菊池 志穂さん、伊集院レイ役の津野田 なるみさんと、『ときメモ』のメインキャストが勢ぞろい。

セットリストはこの曲でなければ始まらない、ゲームのOPテーマである「もっと!モット!ときめき」の全員歌唱で幕を開けました。歴戦のメモラー(『ときメモ』ファンの通称)たちが「何百回聴いたか覚えていない」といわんばかりに息が合ったコールでガッツリと盛り上げます。

そのままオールキャストによるMCでは、金月さんが「今日は、同窓会(長年のシリーズファン)と新入生(スイッチ版からの新規ファン)歓迎会を兼ねた宴です」とあいさつ。津野田さんは伊集院レイの声で「やぁ、また会えたね。仕方ない……今日はこれから、ダイヤモンドの漬け物石の話でもしようか!」と観客たちに語りかけ、笑いを誘いました。

ソロ曲のトップバッターは、よしきくりんさん。
5月8日に発売されたばかりのキャラクターソングCD BOX「ときめきメモリアル The 30th Anniversary ~forever smile~」に収録されている新曲「元気満タン!恋模様」を明るくポップに歌い上げます。

その後、菅原さんによる新曲「エール!は君のために」、鉄炮塚さんによる「超(今世紀最大級)LOVE」が続くと、笹木さんがシルクハットを被ってステッキを手にさっそうと登場。春の訪れをみんなに知らせるマジシャンのようなコーデで「春にきがえて」を歌い、間奏で見事なタップダンスを披露してくれました。

ここまでのセットリストのコンセプトはさしづめ「元気印ヒロイン+『ドラマシリーズVol.1 虹色の青春』のヒロイン(虹野沙希)」というところでしょうか。

再びのMCを挟み、次は津野田さんが「透明な仮面」を歌唱。伊集院レイ本人が歌っているかのような歌声が会場の雰囲気を一転させ、クールな雰囲気をもたらします。そのままの空気感で五十嵐さんの「水の都へ…」、中さんの「手のひらの革命」が続くと、演奏が途切れることなく中さんが川口さんにバトンタッチ! 新曲の「オール in ワンダーランド」が披露されました。こうした演出ができるのも、生演奏ライブならではの強みです。

このブロックのコンセプトは「オトナ系ヒロイン+『ドラマシリーズVol.2 彩のラブソング』のヒロイン(片桐彩子)」というところでしょう。MCでは、五十嵐さんが「生演奏に守ってもらえている感じがして、気持ちよく歌えました」と語り、中さんは「今日のために練習をたくさんしてきましたが、今日が一番うまく歌えた気がする!」と喜びを見せました。

そして、栗原さんが新曲の「Sweet Heart」をしっとりと歌唱。菊池さんの新曲「メビウスのループ」、黒崎さんの「THANKS SONG」と続き、関根さんと金月さんがそれぞれ新曲の「空いっぱいの気持ち」と「オレンジの空」を披露してくれました。
このあたりは言うなれば「正統派ヒロイン+『ドラマシリーズVol.3 旅立ちの詩』のヒロイン(藤崎詩織&館林見晴)」のターンですね。

「オレンジの空」は『ときメモ』シリーズ30周年に向けて作られた最近の曲であるからか、詩織がかつてを懐かしむかのような歌詞の曲になっています。メロディ、歌詞、金月さんの歌声全般からただよう“EDテーマ感”がすばらしいナンバーで、筆者は『ときめきメモリアル4』をプレイし直したくなりました。(注:『ときメモ4』に藤崎詩織本人は登場しないが、ヒロインの1人である皐月優が年上の親戚である詩織に憧れていることが明言されている)

MCでは、栗原さんが「昨日(Day1公演)は大丈夫だったのですが、思いがあふれてしまって今日はうまく歌えなくて……」と目に涙を光らせながら語り、観客がすかさず温かい声援と拍手を贈ります。すると菊池さんは「立ち位置が練習の時から2歩分ズレてしまい、自分のすぐ横に綺麗な照明が落ちていました。照明さん、ごめんなさい!」とコメント。観客はしんみりしたり、笑ったりと大忙しです!

そして出演者によるグッズ紹介を終えると、ここでいったん休憩時間に。本ライブの公演時間は事前に「約3~4時間」になるとアナウンスされていたため、ここまで堪能してやっと折り返しです!

◆キャストの金月さんも認めた詩織の“難攻不落”っぷり
ライブ後半戦最初の曲は、金月さん、菅原さん、菊池さんによる「Go! Go! パラメータ ~Shiori・Saki・Miharu~」。「Go! Go! パラメータ」はいずれかのヒロイン名を冠する複数のバージョンがあり、各キャストが自身の演じるヒロインから主人公への思いを作詞しています。パラメータという単語からもうかがえるように、バージョンによってはその歌詞がメタ的な(『ときメモ』を遊ぶ際の)攻略のヒントにもなるという、ユニークな曲となっています。

歌唱前に、本日のライブの生演奏を担当するバンド「きらめき高校軽音楽部」によるお手本を見ながらの「Go! Go! Go パラメータ!」というコーラスの練習が行われ、1階観客席はオールスタンディング状態に。軽快なメロディとコーラスで後半戦の幕が上がりました。


さらに鉄炮塚さんの「Ring Ring Train」、中さんの「幾何学リズムのプライド」を経ると、川口さんが「好きなままで好きでいい」を熱唱。仲がよかった男の子に彼女ができたと聞いて、初めて自分が抱いていた本心に気が付いた……という、ビターな失恋ソングが響きわたります。

MCによると、「好きなままで好きでいい」は川口さんたってのリクエストであったとのこと。川口さんは「自分でリクエストした曲ですが、難しい曲でもあったので毎日練習してきました!」と笑顔を見せ、「今、高校に入ってがんばっている(=Switch版をプレイしている)」という金月さんは「詩織に本当に腹が立つのよ! 一緒に帰ろうと誘っても断ってくるのに、デートのお誘いはなぜかOKだったりするんだよね!? 私はつくづく「Go! Go! パラメータ」で天才的な歌詞を書けたなと思います(笑)」と語り、大きな笑いを誘いました。

ここまでで公演時間は優に2時間を超えており、ライブもいよいよ佳境へ。よしきさんの「スプリングフロート」、黒崎さんの「あなたとメリーゴーランド」、栗原さんの「UnSelfish」、五十嵐さんの「たとえば」、関根さんの「風よ」と、新曲をまじえながらも落ち着いたテンポ、メロディの曲が続きます。

MCで印象に残ったのは、五十嵐さんの新曲「たとえば」のレコーディング秘話。楽曲のコンセプトは“昭和の歌謡曲”で、五十嵐さんはレコーディングの際、参考として1980年代を代表するアイドル歌手の1人・中森明菜の曲を聴かされたというのです。その話を聞いた中さんは「道理で崖(の情景)が見える感じがすると思った(笑)」と破顔一笑。補足しますと、中森明菜の曲が往年のテレビドラマ2時間スペシャルのEDを飾ることが多かったことからの発言です。

そして笹木さんのアカペラから「フォトグラフ」が始まると、菅原さんの「出会えて良かった」、菊池さんの「フィフネルの宇宙服」、津野田さんの「あなたと紡ぐアルバム」、金月さんの「告白」と、新曲をまじえた“泣かせ曲”ラッシュ!「出会えて良かった」は『ときめきメモリアル ドラマシリーズ Vol.1 虹色の青春』のEDテーマ。筆者はこのゲームのど真ん中ストレート青春ストーリーに脳を焼かれた1人なので、すでに涙腺が怪しくなりました。


続く「フィフネルの宇宙服」は、1995年の発表当時から大きな人気を持ち続けている『ときメモ』鉄板ナンバーのひとつ。浮遊感があり、かつポップなメロディ、宇宙規模であることは分かるものの、それ以上の解釈が難しい不思議な歌詞、菊池さんの愛らしい歌声などが相まって、発表から30年が経った今もSNSやYoutubeなどでこの曲に言及している人の姿を見る名曲です。

「告白」は『ときメモ』ゲーム中の告白シーンで流れる曲に金月さんが歌を乗せたこれまた人気のナンバー。「さぁみなさん、むせび泣いてください」と言わんばかりの選曲です。金月さんご自身もこの曲には思うところがあるようで、MCでは「こんなに綺麗な歌を歌わせてもらえて、なんて幸せなんだろう……と思いながら歌わせていただきました」と語りました。

そして『ときメモ』シリーズ30周年を祝う豪華な2Daysライブも、ついにお別れの時が。出演者全員による「ハートのスタートライン~with you~」でいったんの幕を下ろすと、盛大なアンコールに応える形で「10th SMILE(=じゅうねんスマイル)」「サプライズは微笑みのあとで ~forever Smile~」「二人の時~forever~」「もっと!モット!ときめき」が熱唱され、約4時間に及ぶライブは終演となりました。

『ときめきメモリアル』は約1年前となる2024年5月18日・19日にもシリーズ30周年を祝うライブ「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE エモーショナル presented by TOKYO MX」が開催されましたが、今回のライブはその時のファンたちの熱量に背を押される形で、開催が急遽決定したのだそうです。「ファンコミュニティの熱量があったからこそなせる業」だったわけですね。

ファンの熱量は『ときメモ』シリーズにさらなる展開をもたらすでしょうか? その答えは分かりませんが、筆者はとりあえずスイッチで『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』のデラックス版を遊びながら思いを馳せることにします!

ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE
~forever~ presented by TOKYO MX 30th
出演者:金月 真美(藤崎詩織役)、関根 明子(如月未緒役)、中 友子(紐緒結奈役)、川口 雅代(片桐彩子役)、菅原 祥子(虹野沙希役)、黒崎 彩子(古式ゆかり役)、笹木 綾子(清川望役)、五十嵐 麗(鏡魅羅役)、鉄炮塚 葉子(朝日奈夕子役)、栗原 みきこ(美樹原愛役)、よしきくりん(早乙女優美役)、菊池 志穂(館林見晴役)、津野田 なるみ(伊集院レイ役)
主催: TOKYO MX
協力:株式会社コナミデジタルエンタテインメント
「ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE ~forever~
presented by TOKYO MX 30th」Day2 セットリスト
M01もっと!モット!ときめき全員M02元気満タン!恋模様よしきくりんM03エール!は君のために菅原 祥子M04超(今世紀最大級)LOVE鉄炮塚 葉子M05春にきがえて笹木 綾子M06透明な仮面津野田 なるみM07水の都へ…五十嵐 麗M08手のひらの革命中 友子M09オール in ワンダーランド川口 雅代M10Sweet Heart栗原 みきこM11メビウスのループ菊池 志穂M12THANKS SONG黒崎 彩子M13空いっぱいの気持ち関根 明子M14オレンジの空金月 真美M15Go! Go! パラメータ ~Shiori・Saki・Miharu~金月 真美、菅原 祥子、菊池 志穂M16Ring Ring Train鉄炮塚 葉子M17幾何学リズムのプライド中 友子M18好きなままで好きでいい川口 雅代M19スプリングフロートよしきくりんM20あなたとメリーゴーランド黒崎 彩子M21UnSelfish栗原 みきこM22たとえば五十嵐 麗M23風よ関根 明子M24フォトグラフ笹木 綾子M25出会えて良かった菅原 祥子M26フィフネルの宇宙服菊池 志穂M27あなたと紡ぐアルバム津野田 なるみM28告白金月 真美M29ハートのスタートライン~with you~全員En0110th SMILE(=じゅうねんスマイル)全員En02サプライズは微笑みのあとで ~forever Smile~全員En03二人の時~forever~全員En04もっと!モット!ときめき全員
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