流行りのテーマや定番人気の題材などがある一方で、好むのは少数派でニッチな切り口ながら常に一定の支持を集め、根強く続くカテゴリーも存在します。

見上げるほど巨大な姿でありながら、ビジュアルは愛らしい女性という絶妙なミスマッチ感がインパクト満点の「巨大娘」といったジャンルも、そのひとつといえるでしょう。


ゲーム史を振り返ると、2004年にリリースされた『THE 大美人』を筆頭に、まさしく「巨大娘」と呼べる作品がいくつもあります。そして直近でも、こうした「巨大娘」を扱うゲームがいくつも存在感を露わとしています。

「巨大娘」は、実在する長身の女性を指す場合もありますが、ゲームならではの数十メートクラスの「巨大娘」が活躍する近年の作品、あなたはいくつご存じでしょうか。今回、独断でピックアップした4作品を紹介します。

■『SAEKO:Giantess Dating Sim』(Steam、DLsite):発売中
直近の「巨大娘」といえば、PC向けADV『SAEKO:Giantess Dating Sim』が特に名を馳せています。プラットフォームは今のところPC(Steam、DLsite)なので、コンシューマー層が手を出せないのは残念ですが、美しくも恐ろしい巨大娘「冴子」の迫力は一部界隈に広く伝わっています。

プレイヤーの分身となる「リン」は、冴子に保護された小人。冴子と比べると手のひらに収まる程度のサイズに過ぎません。ゲーム画面の大半はリンの視点から描かれるため、巨大な冴子が近くにいるだけで、視覚的な圧迫感は相当なものです。

しかも本作の場合、質量的な意味以上に、冴子自身の恐ろしさが際立ちます。リンはいわば冴子に飼われているような状態で、可愛がられてはいるものの、彼女の機嫌を損ねると握りつぶされてしまいます。これは「反論を封じる」的な比喩の意味ではなく、文字通りの意味で“握りつぶされて”しまうのです。


ゲームとしての内容は、冴子との会話を円滑に進めるコミュニケーションゲーム。タイトルから引用すれば「デートシム」とも表現できますが、プレイヤー側の心境としてはサバイバルに近く、いかにして生き残るかが当面の主題となります。

生殺与奪の権利を握る「巨大娘」を前に、浅はかな反論は許されず、あからさまな媚びも機嫌を損なわせる中、どのような選択で会話を弾ませるのか。生死のかかった“非対称”かつ“非平等”なコミュニケーションが、本作でたっぷりと味わえます。

ただし本作は、冴子の“理不尽な暴力”だけが全てではありません。徐々に明らかになっていく彼女の内面に触れることで、その印象や関係性も変わっていくことでしょう。そのサイズ感に相応しい恐ろしさを間近に感じつつ、彼女の心に迫っていく『SAEKO:Giantess Dating Sim』で、湧き上がる感情の奔流に飲み込まれてみませんか?

■『最終回収SQUAD』(スイッチ/Steam):2025年発売予定
『SAEKO:Giantess Dating Sim』の冴子は、リンの視点から見た場合の「巨大娘」でしたが、『最終回収SQUAD』に登場する巨大ロボ娘(正確には、自立人型駆動体による群体兵器「コングラスユニット」)は、なんと全高12m。ビル群の中にいても隠し切れない存在感を放つ「巨大娘」です。

本作の舞台は、異星文明の戦闘兵器により、人類文明が滅んでしまった後の地球。都市部には人間の姿はもはやなく、戦闘兵器が闊歩するのみ。しかし、残された「コングラスユニット」が、人類から託された任務を果たすべく、戦闘兵器に戦闘を仕掛けます。

こちらは12mもの巨大ロボ娘ですが、敵の戦闘兵器は更に大きく、その攻撃も驚異的です。
そのためビルなどに身を隠しながら、有効打を与える特殊兵器を繰り出すしかありません。

ゲームのジャンルはFPSで、「コングラスユニット」はいわば自機。残機制なので1体やられたら即終わりではありませんが、特殊兵器の数は限られているため、撃破された「コングラスユニット」が持っていた特殊兵器を回収しなければ戦いもままなりません。

つまり、2機目以降に出撃する「コングラスユニット」の任務は、まず特殊兵器の回収が最優先となります。巨大ロボ娘が、いっそう大きな戦闘兵器から逃げながら特殊兵器を手に入れ、戦力差をものともせず反撃に挑む。ビジュアルもシチュエーションも満点な『最終回収SQUAD』で、自ら巨大ロボ娘となる興奮を存分に味わいましょう。

ちなみに本作を開発しているのは、個人ゲーム開発者のサンフィッシュくまの氏です。この『最終回収SQUAD』は、同氏がtri-monojam向けに開発した『Hand Me Down』をベースにアップグレードされる作品となります。

元となった『Hand Me Down』は現在も公開中(記事執筆時点)なので、興味がある人はまずこちらを遊んでみてはいかがでしょうか。ただし、プレイ環境はPCとなります。

■『屋根より高い君が好き』:未発売
硬派な2Dアクションから、眼力で女生徒を昇天させるガンSTGまで、幅広いゲーム展開でユーザーを驚かせるインティ・クリエイツは、「巨大娘」というジャンルにも踏み込んでいます。その名は、ずばり『屋根より高い君が好き』。
まさしく、名が体を表すタイトルと言えるでしょう。

『屋根より高い君が好き』は、10m以上もの人型宇宙船ロボットであるヒロインと、人間の高校生「立端存人(たっぱあると)」との恋愛を描くSF恋愛ADVゲームです。ヒロインである彼女たちは、他の人から愛を受け、それをエネルギーに変換しないと生きていけない身ですが、その適正を持つ地球人は存人のみ。

ヒロインは宇宙船なので、その中には10万人もの異星人がそれぞれ乗っています。しかしヒロインが愛を受けられるのは──そして助かる異星人は──存人に選ばれた者のみ。過酷な恋愛サバイバルを生き残るのは、果たして……。

……という設定に基づく『屋根より高い君が好き』は、残念ながら実在するゲームではありません。インティ・クリエイツがリリースしたカードゲーム『カルドアンシェル』に登場する“架空のゲーム作品”のひとつとして、この『屋根より高い君が好き』が設定されました。

しかし、ゲーム内の設定に過ぎないとしても、「ユラ」をはじめ6人ものヒロインや存人にはCVが用意され、カードゲームの中にもしっかりと登場。単なる設定に収まらない実在感に、「本当はゲームが出てるのでは……?」と思わず錯覚するほどです。

また、「『屋根より高い君が好き』は、成人男性向けPCゲーム『屋根より高い君が好き ~小さい僕が大好きな彼女を宇宙(そら)に戻すために愛しちゃう!?~』の家庭用移植版」「バカゲーだと思われていたが、蓋を開けると鬱ゲーで、当時のネットは荒れに荒れた」など、ディテールまで生々しいばかり。

ゲームとしては実在しないものの、『カルドアンシェル』の中でヒロインや存人と出会えるので、「巨大娘」ゲームの一端に触れることは可能です。
また、今回のような機会で盛り上がりを見せれば、『屋根より高い君が好き』が本当にゲーム化される可能性も0ではないでしょう。そう、インティ・クリエイツなら……!

実は主題歌も作られている『屋根より高い君が好き』。皆さんもぜひ、ゲーム化の要望を送りましょう!

■『巨大娘抵抗軍』(DLsite R18):発売中
「巨大娘」とのデートシム、「巨大娘」を操作して戦うFPS、「巨大娘」との恋愛ADV(という体)など、ニッチながら多彩なジャンルに展開する作品を紹介しました。そうした作品に続いて紹介する最後の作品は、多数の「巨大娘」と戦うTPSアクション『巨大娘抵抗軍』です。

「巨大娘」たちに蹂躙される都市部を舞台に、ひとりのレジスタンスとして立ち上がった主人公は、見上げるほど巨大な彼女たちに銃器で立ち向かいます。ビル群を破壊するほど大きな彼女たちが質量に見合った攻撃を放つ中、過酷な戦いを生き残ることができるのか。それはプレイヤーの腕前次第です。

本作は「巨大娘」というモチーフへのこだわりが色濃く、攻撃方法は「足による踏みつけ」「お尻によるプレス、からの拘束」「全身キス攻撃」「おっぱい拘束」「唾責め」「太もも拘束潰し」など、巨大さを活かしたものばかり。サイズの違いがそのまま、恐るべき攻撃へと変じています。

主人公の造形やビルの作り込みなどに粗さはあるものの、「巨大娘」たちの造形は格段に力が入っており、限られたリソースの配分が的確かつ魅力的な部分に注力されていることが分かります。

「巨大娘」に食べられたり、ビル群を薙ぎ払いながら迫る太ももに挟まれるアクションゲームは、非常に稀な存在です。稀有な体験を味わわせてくれる『巨大娘抵抗軍』で、「巨大娘」との攻防を楽しんでみてはいかがですか。


ただし、本作自体の年齢指定は「R-15」ですが、販売サイトはR-18となるため、リンクのクリックや購入の際はご注意ください。(『巨大娘抵抗軍』販売ページ)
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