※私個人が保有していないものも含まれています。実体験を含まない内容もありますのでご容赦ください。


※本記事の内容は、執筆時の情報です。最新の情報は公式サイトをご覧ください。

ゲームは誰でも作れるものだと思います。子供の頃、公園遊びで鬼ごっこをアレンジしたり、市販のボードゲームやトレーディングカードゲームに独自ルールを設けたりして遊んだことのある方は多いのではないでしょうか?

ただ、ゲームが誰にでも作れるということと、面白いゲームを作ることは別の話です。面白いゲームを作れるようになるために、スキルアップすることをお勧めしたいと思います。

私が資格取得を勧める理由は、主に2つです。

自分のスキルを棚卸しして、いまの立ち位置を確認する。
新しい知識を得て、できることを増やす。

1は、「自分はいま、なにができるか」を見える化するということです。ゲーム会社に就職するにせよ自分でゲームを制作するにせよ、この視点を持っていれば自分がプロジェクトにどのように貢献できるかを言語化することができます。

2は、自分の領域を広げるということです。例えば、イラストレーターの方が、Live2Dなどの2Dボーンアニメーションスキルを得たら「ぬるぬる動くイラストが書けて作れる人」になれます。
もし同じぐらいのイラストスキルを持つAさんとBさんが居て、Aさんはイラストだけ、Bさんはアニメまで作れる。となると、どちらが評価が高くなるか……もうお分かりですよね。

それでは、ゲーム制作に役立ちそうな資格を紹介していきたいと思います。

◆シナリオ系
意図的にそう作られたのでもない限り、ゲームにはシナリオがあるのが一般的です。テキストノベルのように文章を読み進めることがメインの遊びとなるジャンルもあります。今の時代、シナリオ執筆はゲーム制作において避けて通れない要素だと思って良いでしょう。この項目では、より良いシナリオ執筆に役立ちそうな資格を紹介します。

・日本語検定
日本語を第一言語として話せる・書けるということと、ユーザーを魅了するシナリオを書けるということは、違う意味を持ちます。日常的に使っている言語でも、例えば尊敬語と謙譲語と丁寧語の違いを論理的に説明するといったことは難しいのではないでしょうか。

日本語検定は敬語・文法・語彙・言葉の意味・表記・漢字の6項目を幅広く学べます。小学生を対象にした級もありますので、ご自身の日本語力に合わせて段階的に学習すると良いでしょう。日本語を深く理解することで言葉を自在に使いこなせるようになると、良いシナリオを書ける可能性が上がるのではないかと思います。


受験日:年2回開催

種類:1級~7級

検定料:2,200円~6,800円

公式サイト:日本語検定
・webライティング能力検定
日本で最も歴史が長いと言われているライティングの資格です。ライティングだけでなく広範囲の知識が求められます。基本的な国語はもちろん、SEOや倫理、炎上対策などの知識はゲームを作ったりSNSで配信をする時などに役立つでしょう。

また、この資格は検定試験の点数で級が決定される点が独特で、模擬試験をやりこまないと1級合格は難しいようです。検定料に公式テキストの代金が含まれているため効率良く学習できますが、それだけでは不安な方は追加で公式動画を購入したり、添削サービスや質問サービスを受けることもできます。

受験日:年4回開催

種類:1級~3級

検定料:(一般)17,600円、(学割)8,800円

公式サイト:日本webライティング協会
・TOEIC® Speaking & Writing Tests
なぜ英語? と思われるかもしれませんが、いまやゲームは国境を超えて楽しまれる娯楽となっています。英語を公用語とする国は世界で約40%と言われており、第二言語として使われている国も多いです。つまり、ユーザー数が世界的に多いのです。

あなたのゲームをより多くの人に遊んでもらうためにも、英語に翻訳して海外でリリースするという選択肢もあるのではないでしょうか。また、学習を通じて英語圏の文化を学ぶことで、英語圏ユーザーに刺さるシナリオを作れるようになるかもしれません。

400点満点のテストで320点を越えれば充分なスキルを持っていると評価されますので、ぜひ挑戦してみてください。

受験日:月1回開催

種類:点数評価式

検定料:10,450円

公式サイト:TOEIC® Speaking & Writing Tests
◆アート、映像系
いまや秀逸なアートや映像は、ゲーム制作では避けて通れない要素となりました。
皆さんも、アートの美しさで気になったゲームを買ったという経験はないでしょうか?

より素晴らしいユーザー体験を提供したり、魅せるアートや映像で表現をしたり、そのために役立ちそうな資格を紹介します。

・CGクリエイター検定
公益財団法人画像情報教育振興協会(CG-ARTS)が主催する、デジタルでの映像制作技術を総合的に評価する資格です。デジタルグラフィックを基本から学びますので、技術への理解を深めることができます。

3Dモデル・映像制作・アニメーションの技術を中心にCG制作全般の知識を得られますので、これから始める人にも良い資格かもしれません。

受験日:年2回開催

種類:ベーシック、エキスパート

検定料:ベーシック 5,600円、エキスパート 6,700円

公式サイト:CGクリエイター検定
・Adobe Certified Professional(アドビ認定プロフェッショナル)
グラフィック制作をするにあたって必須スキルと思われるAdobe社の公式資格です。Photoshop・Illustrator・Premiere Proの3種類のアプリケーションの習熟度を問われる試験で、実は国際資格なので留学を考えている方にもお勧めできる資格でしょう。

2つ以上の試験に合格すると、その種類によって認定内容が変わります。例えば、私はPhotoshopとIllustratorに合格しているので「Adobe Certified Professional in Visual Design」と認定されています。

試験は非常に実務的で、実際にアプリケーションを使って問題で指示された画像を作るものがほとんどです。普段から業務で使用されている方であれば公式テキストで勉強すれば合格できる難易度だと思いますので、Adobe系アプリケーションを使用している方にはぜひ挑戦して欲しいと思います。

受験日:随時開催

種類:Photoshop、Illustrator、Premiere Pro

検定料:一般12,980円、学割9,680円

公式サイト:アドビ認定プロフェッショナル
・色彩検定
文部科学省が後援する色彩の専門知識です。ゲーム業界以外でも、アパレルや化粧品からインテリアデザイナーまで、デザイン系職種では幅広く重宝されている資格です。
光と色、色彩心理、色彩の組み合わせ、ファッションからインテリアまで、色彩について深く学べます。

色は人の気持を動かす効果があります。例えば、熱血キャラクターやリーダーは赤色で、ライバルや知的なキャラは青色というようなイメージはないでしょうか。そうです、色にはそれぞれの意味があり、多くの情報量を持っています。色彩を的確に扱うことで、あなたのゲームを鮮やかに彩ってくれるでしょう。

また、2018年からUC(色のユニバーサルデザイン)級が創設され、色覚の多様性に配慮した色使いについて学ぶこともできます。

受験日:年2回開催

種類:3級・2級・1級・ UC級

検定料:6,000円~15,000円

公式サイト:色彩検定協会
◆著作権・IP系
ゲームを作るということは、知的財産(IP)を制作し、販売し、管理することです。そのため、著作権についての知識を持っていることで見方や考え方に新しい視点を与えてくれるでしょう。

・弁理士
職務上請求権が認められた専門職業で、いわゆる8士業のひとつです。知的財産に関する資格としては非常に有名な資格であり、権威ある国家資格です。特許や意匠、商標などの産業財産権に関する専門家で、その知識は制作タイトルのIP展開に役立つでしょう。また、弁理士は年収が平均より高めだと言われており、平日は働いて週末はゲームを作るというような週末起業にも向いていると言えます。


ただ非常に難易度が高く、合格が難しい資格でもあります。一般的に3000時間の学習が必要と言われ、かつ、2024年度の合格率はたった6%だそうです。確実に合格するためには、予備校や通信講座など学びの環境を活用したり、理工学系や法律系に進学したりして学ぶのも良いでしょう。

受験日:年1回開催

検定料:12,000円

公式サイト:日本弁理士会
・知的財産管理技能検定
知財マネジメントスキルを学習する国家資格です。ゲームを作る時や広く展開する時、著作権についての知識があると、展開の検討やトラブルの回避に役立ちます。

また、近しい資格に「ビジネス著作権検定」というものもありますが、こちらの方が難易度はやや控えめのようですので先に受験するのもいいかもしれません。知的財産管理技能検定2級の受験資格のひとつに「ビジネス著作権検定上級合格」とありますので、両方とも勉強しておくと良いでしょう。

受験日:年3回開催

種類:3級・2級・1級

検定料:(学科)6,100円~8,900円 (実技)6,100円~23,000円

公式サイト:国家試験知的財産管理技能検定
◆その他
ここでは、上記のカテゴリ以外でゲーム制作に役立ちそうな資格を紹介します。

・マルチメディア検定
デジタルコンテンツを幅広く習う資格です。ユーザーインターフェースはもちろん、音声やアニメーション、はてはコンピューターの仕組みからインターネットサービスについて広く学べることが特徴です。

コンテンツを作るということについて幅広く学べますので、ディレクターやマネージャーなど管理者を目指すのであれば学んでいた方が良いでしょう。

受験日:年2回開催

種類:ベーシック、エキスパート

検定料:ベーシック 5,600円、エキスパート 6,700円

公式サイト:マルチメディア検定
・カッパ捕獲許可証
岩手県の遠野市観光協会が発行している資格です。
この許可証を持っており、カッパを保護して観光協会に連れていくと1000万円もらえます。ただ、条件は結構厳しく、傷つけないのは当たり前で、場所はカッパ淵限定、餌の指定までされています。

この資格が何に使えるかと言いますと……ええと、「モンスターハンター」をプレイする時に「河童蛙・ヨツミワドウ」の攻略に役立つかもしれません……使えないかもしれません……。

試験などはなく申請したら取れるのと、話のネタにしやすいのが一番のメリットです。

受験日:随時

検定料:220円

公式サイト:カッパ捕獲許可証
◆おわりに
ゲーム制作に活用できそうな資格をまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

私自身も現場で長らく制作に携わってきましたが、昔は所持スキルを把握できていませんでした。「やったことがある、できる」という程度の認識だけで自分のスキルを把握・客観視していなかったのです。その点に気づいて反省してからは資格取得を続けており、今後も続けていくと思います。

クリエイティブは新しい技術や時代の流れに常に適応し続ける必要があります。自分の立ち位置を確かめるため、そして新しい知識を得るため、資格取得を進めてみてはいかがでしょうか。時代を担う素晴らしいクリエイターさんがこれからも生まれ続けると思いますが、より素晴らしいゲームを作るために、そしてユーザーを楽しませるために、学習を続けてくれると嬉しく思っています。

それでは皆さん、良いクリエイティブライフを!
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