12会場に分かれて数多くの講演者が登壇し、さまざまな講演を行なっていきました。
ゲーム『学園アイドルマスター』は、2024年5月16日にスタートしたアイドル育成シミュレーションゲームです。ゲーム内でのストーリーパートはコミュと呼ばれ、縦画面のコミュと横画面のコミュに分けられています。
横画面コミュは主に初星コミュ、花海咲季、月村手毬、藤田ことねがユニットを組んでアイドルとして成長していくシナリオで使われており、それ以外のコミュは縦画面コミュとして実装されています。
縦画面コミュは、普段の育成で主に見られている親愛度コミュと呼ばれるものがメインとなり、多くのプロデューサーが見ているので馴染み深いかと思います。
じつはこの縦画面コミュと横画面コミュでは、それぞれに合ったスケジュール・体制で対応するために、制作ラインを分けているといいます。縦画面コミュは、テンポ感やカジュアルさを重視してより多くの物語を届ける方向性となっており、横画面コミュは、角度を作り込んでアニメを見るかのような重厚な読後感を感じさせることをに重きが置かれています。
本作でのコミュの制作には、すべてUguissと呼ばれるQualiArts制作陣内製のツールが用いられており、独自色のつよいコンテンツへと昇華されています。
ここからは縦画面コミュと横画面コミュ、それぞれの制作について話が進んでいきました。
現在(2025年7月現在)縦画面コミュは2000話以上が公開されており、リリース時点ではおよそ800話の縦画面コミュが実装されていました。ゲームスタートから約1年ほどなので、1月につき約100話以上の縦画面コミュが実装・公開されていたことになります。
毎月のように新しい育成アイドルやサポートアイドルが登場していることも影響していますが、制作スタッフ側にたってみると、制作スピードはなるべく速く、高品質なものが求められることは想像しやすいです。
そのため縦画面コミュでは、コンテの切り方やテンポ感を駆使した画作りをしているといいます。引きと寄りを意識してカメラの切り替えを使い分け、緩急を出し、モーション・登場人物の人数・アイドルの立ち位置も計算して制作されています。
こうした制作をしつつも、あくまで重視しているのはアイドルと物語を引き立たせることです。一目でアイドル本人の人となりや性格が伝わるようなカット作りを考えていると、かさねて説明されました。
例えば、プレイヤーであるプロデューサーの視点で「膝枕されている」という状況をうみだし、年下でありながら「お姉さん」という姫崎の性格が表現されています。十王の場合は「見た相手のアイドルパワーが分かる」という特技を演出するため、専用のエフェクトが作成・実装されており、目元に手を動かすというモーションは、実は十王のこの動きを表現するための専用モーションとして実装されました。
他にも既存のエフェクトやモーションをうまく工夫していくことで、物語とアイドル本人の機微やメッセージ性が視覚的に表現されています。
つづいて横画面コミュについて。
横画面コミュは花海咲季、月村手毬、藤田ことねを中心にした物語であり、ユーザーであるプロデューサーに向けて『学園アイドルマスター』との世界観・舞台設定・登場人物らを知ってもらう、入口のコンテンツとして実装されています。
そのため、横画面コミュである初星コミュは、どのようなプレイヤーでも触れやすくて楽しめるように、シナリオの魅力を可能な限り映像化することが重要視されています。
ですが、画面内で同時に表示できるのがメインキャラが3人だったり、プロデューサーの姿を直接描写しないなど、制作のなかで制約があります。レイアウト上ではプロデューサーの立ち位置を決めているが、画面では映さない・意識させないといったようなアングルと見せ方が求められるのです。
またスケジュール進行と制作工数の影響もあり、シーンごとの演技収録はできず、喜怒哀楽にあわせた短めの汎用モーションを繋ぎ合わせることで制作されています。目線・首の動き・別の表情を合わせるなどをして動きに幅をもたせ、その速度やタイミングも微調整しています。体の一部に別の汎用モーションを上書きすることもできるので、注意しつつ制作しているといいます。
カメラワークに関しては、3DCGソフトウェアのように自由にキーフレームをうてるわけではなく、あくまで開始点・終了点のあいだを走る直線的なアニメーションで動かしています。
こういった制作上の制約と内容を踏まえ、つづいては制作フローについて話が移りました。
シナリオ内容が決まったあと、Uguiss上でラフ映像を制作し、そのラフ映像を用いて声優陣のアフレコ作業へうつり、最終調整としてモーションやフェイシャルの調整、カメラ・ライティング・映像演出に関して細やかな変更を加え、完成へと向かっていきます。じつはこれは現在の制作フローとなっており、当初の制作フローからだいぶ変化したことを、杉村さんは明かしています。
当初は絵コンテをしっかりと制作し、Vコン(ラフ映像)を制作し、そのVコンを目視しながらUguiss上で同じものを作っていくという形を取っていましたが、よりシンプルかつ工数の少ない制作フローへと変化したとのことでした。
横画面コミュの開発は、本作リリースまであと1年を切ったというタイミングでスタートし、リリースに間に合わせるために当初から制作フローが変わっていったといいます。つまりリリース期間もふまえれば、この2年のあいだでこのような変化を遂げたことがわかります。
横画面コミュは、『学園アイドルマスター』の入口として一発で伝えられる明快さを心がけており、お話の上で強調すべきポイントをみつけ、テンポよく説明が進んでいくような映像を意識しているとのこと。このテンポの良さは、本作の特徴ともいえるドタバタコメディ感を表現することにもつながっており、面白い瞬間を初見で見逃さないようになっているか?と何度も確認と調整を重ねていくようです。
芝居で使用できるのが汎用モーションが多いため、演技で見せられる表現がパターン化しそうになりますが、カットの変化やカメラワークを積極的に盛り込んで、感情表現・キャラクター性、テンポ感や勢いを生み出していこうと狙っています。
ここで杉村さんは、実際のシーンを元にして解説をすすめていきました。
まずは花海佑芽のシーン。別々の視点から佑芽を捉えたカットをつなぎあわせ、顔のアップも含めて映像を制作しました。佑芽の熱量・パッションをうまく演出しています。
つづいて咲季とことねのシーン。ここは初星コミュでも序盤にあたるシーンで、2人のライバル関係がうかびあがるシーンです。このシーンではダンスの腕前が咲季よりもことねのほうが上手であることを伝えるシーンなのですが、制作の都合上、2人はまったく同じダンスループモーションを使用しています。
ことねのダンスシーンでは、ダンスの躍動感や自信に満ちたムードを生み出すために生き生きとした表情やカットを多用することで、2人の実力差を感じさせることに成功しています。ここでは写真を使用していますが、実際のシーンをみていると、2人のダンスシーンで演出にまったくの違いがあることがわかるはずです。
つづいてコメディシーン。最初のシーンでは左右にいる2人を交互に映していますが、変更後は手毬が咲季のボイスにすこし重なるように食い気味に話し出したり、カメラワークの視点移動やカットの切り出し方を変えることで、白熱した2人を演出しています。
手毬が佑芽に歌唱指導をしているシーンでは、手毬自身が歌を歌うモーションを差し込むことで、「自身が歌唱しているときは?」と考えている手毬の逡巡を、プレイヤー側によりよく伝える演出になっています。
つづいて、咲季の料理について文句をいう手毬。単に文句を言うのではなく、咲季が作ったであろう食事を3Dモデルとして作成、回想シーンのなかにを差し込み、思い出しながらイヤがる手毬の表情をすこし近い距離かつ斜めから撮影することで、嫌悪感をより視覚的に表現できています。
話題は、その他の演出強化の事例の紹介へ。咲季と佑芽の対決シーンの演出をとりあげました。
物語の文脈では、妹の佑芽は、姉である咲季とこれまでさまざまな勝負に挑み、勝てないまま過ごしていました。対して咲季は、徐々に成長している妹のポテンシャルを内心では恐れつつ、姉として強者の姿を見せようと努めていました。
このシーンでは、重要な局面において妹・佑芽が姉・咲季にようやく勝利しました。念願の勝利に胸いっぱいの、咲は姉らしく振る舞い、逆に妹を労っています。佑芽の純粋さ、咲季の複雑な心境が交差するシーンですが、演出上の調整をいくつも加えています。
まず「そうだよね!お姉ちゃん」のセリフはひと続きだったところを、カットを切り分け、強気な表情を大きく見せつけています。しかも、調整前はガッツポーズで勝利宣言をするところを、咲季が行なう指差しのキメポーズに変更。
またこのシーンのあと、佑芽に敗れてしまったショックで咲季が泣いてしまうというシーンへと移ります。
当初はここでは、泣き顔をプレイヤー側へと見せる演出が当初組まれていましたが、咲季の感情の振れ幅や苦しさだけじゃなく、収録したボイスなどを総合的に考え、心のなかにある苦痛は声の演技にまかせ、後ろ姿をゆっくり長く捉えるという角度で撮影。
咲季が抱えている苦しみや追い込まれた心境を、プレイヤーに想像させるように当初の演出から変更されたと杉村さんは言います。
次のケースは、コメディシーンの"オチ"を想定以上に効果を高めるように狙った演出です。
このシーンは、ユニット結成したばかりの3人が、お互いが同じ方向を向いているのだということを確認しますが、その次の瞬間にはとあるテーマを巡って意見がバラバラになってしまう、というシーンです。
一致した目標をもった3人が、じつは内心ではバラバラの意見を持っていることがハッキリするシーンで、そのギャップがギャグとなって描かれています。逆に言えば、"オチ"である3人の分裂を面白く打ち出すために、最初に描かれる一体感をなるべく強調する必要があります。
そのため、3人の立ち位置をキレイな三角形にして、3人がそれぞれ相手に目線を配ってトライアングルを結ぶように動かすように演出。こうすることで、3人の立ち位置・考えが立体的に浮かび上がり、仲間感をより強く演出できるという狙いがあります。
また縦画面・横画面のコミュだけでなく、PVやCMなどのPV製作からケースが紹介されました。じつはCM内で使用されているモーションは汎用モーションしか使っておらず、MAYAを使ったかなり自由度の高いカメラワークをはじめとし、レイアウト・カラー・コンポジットまですべてUguiss上で制作されており、学園生徒による手作り撮影っぽさと各アイドルの個性もしっかりと詰め込んだ内容になっています。
つづいてスピーカーが山城さんへとうつり、制作を支えたシステムそのものの紹介へと移りました。
本作のストーリーパートは大きく分けて2種類の再生方法があり、縦画面コミュを再生するインタラクション方式と、横画面コミュを再生する映像再生方式の2種類に分かれています。
横画面コミュで使用されている映像再生方式は自動進行していく方式になっています。設定されたインスタントハンドルにリンクしており、リアルタイムでレンダリング、カメラワークやキャラクターのモーションなどがリアルタイム実行・進行していく仕組みになっています。
つぎに縦画面コミュを再生するインタラクション方式は、画面タップすることで進行することが基本となっています。逆タップしなければ次に進まないという待機状態にし、連続タップするとで演出がスキップされていくというのが基本的な挙動になります。
もちろんプレイヤー側が選んだ選択肢によって内容そのものが変化していく場合があるので、演出時間が動的に変化していくのが特徴になっています。
映像再生方式とインタラクティブ方式、QualiArtsでは2つのシステムで開発・制作実績があったため、それらを流用することで開発の見通しが立てやすいのですが、一方で、両者の方式は相性が良くないという一面もありました。シークバーに対応して時間を管理している映像再生方式と、プレイヤーの画面タップで意のままに進行・変化するインタラクティブ方式では、たしかに食い合わせが悪そうです。
この2つのシステムを同時実装するとなると、そもそも映像制作者側の負担・運用コストが大きく・高くなりますし、開発効率も良いとは言えないのではないか?と当初は考えられていたそうです。ですがこの問題を、制作環境を統一化し、映像再生方式とインタラクティブ方式を一つのシステムで実現するという方向性で制作システムを一元化したといいます。
結果的に、映像制作に利点の多いタイムライン方式をベースにしたシステム環境に、分岐などのインタラクティブな挙動を実現する方法を模索したのです。
つぎに実際の制作画面へと移りました。
制作は基本的にUnity Editor上で行なわれており、スクリプト制作のメインとなるスクリプトエディター、主に演出の時間調整を行うタイムラインエディター、各演出のパラメーター調整を行うインスペクター、これらを組み合わせて制作を行うのが基本となっています。
編集した内容は、即時にゲーム画面に反映されるリアルタイム編集に対応し、カメラやモデルの配置を調整する仕組みを用意しています。3つのエディターをうまく活用し、映像制作を直感的に行なっているのです。
制作エディター上で動画を再生すると、設定されたコマンドの情報をもとにプレイアブルグラフが構築され、再生中の進行はプレイアブルグラフを制御することで行なわれています。ここでのリアルタイム編集は、コマンドが編集されたときにプレイアブルグラフを再構築することで実現しています。
演出が増えてスクリプトが大きくなると当然処理が重くなってしまうので、必要な部分だけを書き換えて処理し、編集作業が滞らないように配慮されています。
また画面上にグリッド表示ツールを搭載しており、さまざまな端末でプレイされることを考慮し、別々のアスペクト比で対応できるように表示されています。くわえてゲーム画面上でカメラを調整するツールも入っており、カメラコマンドの座標の調整をGameView上で行うことができる機能で、画面を見ながらカメラを動かすことができるので、直感的な操作が可能となっています。
セリフの表示や暗転などのUIを一時的に非表示ができ、カメラをピボットするように回転、回転カメラの上下左右への移動、カメラが向いている方向に沿っての前後移動、カメラの見回しやキーボードでの前後移動など、かなり自由度高くカメラを動かすことができます。
ここまでの編集作業は、先程述べたように横画面コミュで使用されている映像再生方式に合わせていますが、つづいてはインタラクティブな挙動を生み出す仕組みへ話が変わっていきました。
インタラクティブな挙動は主に2つのパターン、タップ待機と分岐があります。
タップ待機は、タップしたタイミングで次の演出に進む動きをします。結果、もともと設定されていた演出の時間よりも長くなる場合、または短くなる場合があります。結果、待機する対象となる演出の終了時間を基準に、時間を無限に引き延ばしつづけて待機するという状況を生み出しています。基準の時間をまたぐ演出は長さが無限になり、基準の時間以降の演出は開始時間が無限になります。
待機の開始後、現在時間が基準時間を超えた後にタップされるか、超える前にタップされるかによって挙動が変わります。基準時間を超えた状態でタップされた場合、無限状態が解除され、差分の時間がオフセットして各クリップの時間に加算されます。
基準時間を超える前にタップされた場合、無限状態の解除のみを行ない、現在時間を次の演出の開始時間に移動させ、次の処理に移ります。
より砕いて説明すると、主にメッセージ表示と選択肢表示のタイミングで、タップをしないままで時が止まっているという状況が、いわゆるタップ待機になっています。
画面で挙動しているそれぞれのキャラクターや画面表示は、メッセージ表示・ボイス再生・モーション再生の3つで動いているのですが、そのうちメッセージ表示とモーション再生に関しては、基準となる時間までは動き続けたあとにいちど停止します。
連続で画面タップが行なわれた場合(プレイヤーが画面を読み飛ばすために連打しているなど)、現在行なわれている挙動・演出から一気に次の挙動・演出へと移動し、演出がスタートしているという流れになっているわけです。
つづいて分岐について。ゲーマーの皆さんならシナリオの分岐を並列に並んだ中から1つを選ぶというのを想像されますが、今作のゲームシステム上、時間(タイムライン)上で明確に設定するため、分岐の演出は直列に並べる仕様になっています。
複数の選択肢から1つを選んだ場合、選ばれなかった分岐の演出は実行されないように無効化・オフセット(演出の飛ばし)し、選択した分岐の挙動・演出がスタートするという流れになっているのです。
こういった仕組みを踏まえて、初星コミュ(横画面コミュ)におけるシークと分岐を両立させる仕組みについて解説が進みます。
初星コミュでは、選択肢を選ぶまでは、次の選択肢までの時間が再生範囲となっていて、この状態であれば、シークで選択肢の表示前に戻ることができます。選択肢を選んだあとは分岐の内容に応じて再生時間が追加されますが、一度この状態になると、シークで戻っても選択肢が表示されず、「初めからそういう映像であった」かのように再生されます。
現在時間が選択肢表示コマンドの開始時間に達した時に、終了時間を基準に時間を無限に引き伸ばします。タイムラインの長さは無限の状態になっていますが、UI上は選択肢の開始時間を長さとして表示します。
選択肢が選ばれると無限状態が解除され、分岐の内容が反映されます。その後、シークバーから戻っても選択肢が表示されないようにコマンドを無効化します。この一連の流れの中で、不自然な間が発生しているのでオフセット(演出の飛ばし)が必要になりますが、演出がスキップされたような流れに違和感を覚えるので、タイムライン上では間が存在したままで再生を継続しているとのこと。
むしろシークバーから選択肢前の時間に戻った際、不自然な間が発生した状況から再生されるようになっているため、このタイミングで時間をオフセットしています。パッと見では不自然なままでも、キャラクターの挙動がスキップするようにオフセットしてしまうほうが、この初星コミュ(横画面コミュ)では不自然。一連の流れや物語感を大事にしていることが伝わってきます。
こういった制作を支えているのは、じつはスプレッドシートだといいます。
本作のシナリオはスプレッドシートで管理されており、それをエディターにインポートし、ベースとなるスクリプトを自動生成することで、演出を作り込む作業に集中できる環境を作り上げているのです。
「どのキャラクターの何番目のセリフか?」という情報からボイス情報に紐づいてアセットIDが決まり、ボイスの長さも加味してスクリプトが自動生成、演出時間や間の長さも自動で決まるそう。
ほかにもスプレッドシート上に情報を加えることで、カメラの設定やモデルの配置などがある程度決まった状態を作り出し、エディターでの作業がしやすくなるような仕組みも用意しているともいいます。
インポートから自動生成されたスクリプトは、スクリプトエディタ上で開かれるようになっており、セルフ単位で演出を求められるように、各セリフをグループ化した状態で出力しています。下の写真にあるように、セリフの長さや山が自動で設定された状態で出力されるとのこと。ここまでキッチリと自動生成がなされているというと、驚きです。
また、こういった自動生成されたスクリプトをテンプレートとして保存し、すぐに呼び出すことも可能。あるセリフを元に自動生成された演出スクリプトに違和感を覚えたら、すぐに調整しやすいようになっているわけです。
複雑なシステムの元で制作し、さらに自動生成でのスクリプトなども使っているため、システム上不具合につながる設定やレギュレーションに合わない設定など、事前に禁止している事項やエラーを検知・チェックするためのバリデーター機能と呼ばれるものも搭載しています。
主に、存在しないアセットを指定していないか、再生時の不具合を起こさないかといった項目だけではなく、同じモーションが連続で使われていないかなどの演出面での品質担保・向上を目的にした項目も含んでいます。日々の運用で何か問題が発生した場合に再発防止として、項目の追加も逐一おこなっているとのこと。
またシナリオ上と演出スクリプトで違いがないを自動チェックする機能も搭載しており、誤字脱字の修正・漢字の閉じ開き・ボイスと表示テキストの不一致など、目視確認では見落としてしまいがちなミスも少なくし、修正されるようにされています。
このように、『学園アイドルマスター』の制作にはさまざまなアイディアと工夫、ユーザーからは想像できないほどの効率化が図られていることがわかりました。セリフや画面カットの一つ一つに意図・メッセージ性をもたせようとアイディアを加えていることがわかっただけでなく、セリフや演出に対する指示がすべてスプレッドシート上で管理されており、それらをシステムに取り入れるとある程度までは自動生成されるというくだりには驚かされました。
これまでも「株式会社QualiArtsのクオリティがヤバイ」という称賛の声が数々上がっていましたが、『学園アイドルマスター』の制作環境を通じて、同社のシステム構築・運用・制作がより一層成長したことが、こちらにも伝わってきました。