そこで暑い日が続くことをプラスに捉え、この記事では、夏が終わる前に遊んでおきたいテキストアドベンチャーを5本紹介していきます。ぜひ最後までご覧いただき、気になった作品がありましたら手に取ってみてください。
◆『記憶の鍵盤』(ニンテンドースイッチ/Steam)
『記憶の鍵盤』は、切なくて儚いひと夏の青春を描くビジュアルノベルです。
神奈川県鎌倉市某所で暮らす高校3年生「茂住 歩人(もずみ あると)」は、いつからか幼少期の記憶とピアノの音を失ってしまいます。しかし、擦れずに育った歩人は、亡き父の才を受け継いでピアニストとして活躍する弟「トキオ」の将来のため、バイト漬けの日々を送っていました。家族仲は良好で、また、強豪女子空手部を率いる「橘 絵莉(たちばな えり)」に密かに思いを寄せるなど、充実した高校生活を送る歩人。
しかし、“未来の記憶を持つ”と告げる目つきの悪い不思議な少女「天音 沙里(あまね さり)」と出会ったことで歯車は大きく動き始めます。未来と過去が絡み合う3人の関係のゆくえは――。真夏の青春が描かれます。
今回紹介するタイトルの中で最も直近にリリースされている本作は、夏の青春はもちろん、物静かな雰囲気のノベルゲームを探している方にもおすすめしたい作品です。5時間ほどでクリアできるので、サクッと楽しみたい場合にも良いですね。
また、新潮文庫nextより2025年6月に刊行されている同名の小説を読んだ後でプレイすれば、ゲームならではの要素でより楽しめるので、余裕があればこの順番をおすすめします。
◆『GINKA』(ニンテンドースイッチ/Steam)
『GINKA』は、美少女ゲームメーカーであるフロントウイングが開発したビジュアルノベルゲームです。
ある日、高校生の「青羽 流星(あおば りゅうせい)」は、故郷である「ひめ島」を再び訪れました。その目的は、5年前の夏祭りの夜に“神隠し”にあい消えてしまった幼馴染「銀花」のその後を知るため。淡い期待を胸に島を訪れた流星を待っていたのは、あの夜からずっと彼女は行方知らずのままだという事実でした。
失意から再び島を離れようする流星。しかし、そんな彼の目の前に、5年前の姿形のままの少女・ギンカが突如現れます。自分の名前さえ忘れてしまったギンカ。覚えているのは“リュウセイ”の名前と、彼を好きだという恋心だけ。不思議な少女とのおとぎ話のような夏休みが描かれます。
開発には、シナリオライターに紺野アスタ氏、イラストにゆさの氏が起用され、ヒット作である『ATRI My Dear Moments』と同様の開発陣が参加している本作。夏と和風伝奇の組み合わせが琴線に触れた方は手に取ってみてはいかがでしょうか。
◆『かまいたちの夜×3』(ニンテンドースイッチ/PS4/Steam)
『かまいたちの夜×3』は、2006年にPS2向けに発売されたシリーズ完結編『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』のシリーズ30周年を記念した移植作で、初代『かまいたちの夜』と2作目『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄(以下、かまいたちの夜2)』のメインストーリーが合わせて収録されており、今回これらの作品の中からピックアップするのは“かまいたちの夜2”です。
『かまいたちの夜2』は、大学生の主人公「矢島 透」と「小林 真理」が夏の休暇中に『かまいたちの夜』の作者である「我孫子武丸」を名乗る人物から招待を受け、「三日月島」ツアーに行くところから始まります。
1年半ぶりの真理との旅行に期待を膨らませていた透でしたが、島で待っていたのは元監獄を改修した館や、静かに存在する神社や廃村でした。その光景を不気味に思いつつも美味しい料理に舌鼓を打ち、すっかりと心を許し楽しく過ごしていた透たち。しかし、地元民から「監獄島」と別称される曰くつきの島を舞台にした惨劇の嵐に巻き込まれてしまうのです。
夏の無人島を舞台にした、ヒリヒリするミステリーをサウンドノベルで楽しみたい方には最もおすすめしたい作品です。
PS2のゲームであるため今から遊ぶにはハードルが高いことが難点ですが、この同梱版であれば現代機でも遊ぶことができるので取り上げました。また、シリーズ作品だけあり初代『かまいたちの夜』をプレイしていないと話についていけないこともあるので、「かまいたちの夜」入門者には3部作がセットになった本作がおすすめですよ。
◆『シャンハイ サマー』(ニンテンドースイッチ/PS5/PS4/Steam)
『シャンハイ サマー』は、上海の街を舞台に、フラッシュバックするようになった過去の記憶を頼りに隠された真実を探るノベルゲームです。
ある日、主人公「屠 百川(と びゃくせん)」は、意識の境目である「境界」にて不思議な黒猫と出会います。言葉を話す不思議な黒猫が言うには、手がかりを集めて“最後の質問”に答えなければ現実世界に戻れないとのこと。しかし、そのために必要な記憶は何者かの干渉によって思い出せない状態になっていました。現実にしか見えない上海の街を舞台に、失われた記憶を探し、最後の答えを見つけましょう。
本作では、上海の街でまるで明晰夢のような夏の12日間を過ごすことになります。まずは入院中の父親を案じる大学生「蘇 静嫺(そ せいかん)」や、音楽での成功を夢見る友人「若 奉一(じゃく ほういつ)」など、悩みを抱えながらも日々懸命に生きている仲間たちとの日常を楽しみましょう。
ゲームを進めていると、時折選択肢が表れることがあります。正しい選択肢が常に選べれば良いのですが、二度寝をして女性との約束の時間をすっぽかしてしまうなど、百川の意志が弱いことでバットエンドを迎えてしまうことも。そんな時は、フローチャートを開いて好きなタイミングのイベントからやり直しましょう。
バットエンドを迎えていなくても、あの時のあの選択は間違えていたんじゃないかと思ったらいつでも好きなタイミングでやり直すことができます。そうして百川は、少しずつ最後の答えに近づいていくのです。
ノスタルジックで優しい作品をお探しの方は、手に取ってみてはいかがでしょうか。5時間あればクリアできるので、サクッと遊べるタイトルをお探しの方にもおすすめです。
◆『ナツノカナタ beyond』(ニンテンドースイッチ/Steam)
『ナツノカナタ beyond』は、2021年に早期アクセスで配信が開始され2022年に正式リリースされた『ナツノカナタ』をベースに、新たなコンテンツの追加などを行った完全版です。
プレイヤーは、古いPCから偶然繋がった「パンデミックによって崩壊した世界」を生きる少女「ナツノ」と通話しながら、終末を迎えた世界の謎に迫っていきます。
ゲームでは、廃墟や放置されたキャンプ地を探索して、食料や道具、あるいは武器を見つけるといった今日を生きるために必要なことを繰り返していきましょう。
また探索では持ち運べる荷物の量に制限があるため、出発前に荷物整理をすることが求められます。荷物を少なくしておけば探索で持ち帰ることのできる数は増えますが、危険度が増すため、入念なチェックが必要になりますね。
ノベルゲームにローグライト的な周回プレイ要素を加えることで、一風変わったテキストアドベンチャーに仕上がっている本作。気になった方はぜひプレイしてみては。
以上、夏が終わる前に遊んでおきたいテキストアドベンチャー5選でした。気になった作品がありましたらぜひ遊んでみてください。