こうした今後登場するタイトルも気になりますが、今年の1月から8月までに登場した新作ソフトたちも、見逃すには惜しいものばかり。
ゲームライターである筆者は、プライベートで数多くのゲームを遊び、また仕事としても様々な作品に触れました。その中には、仕事なのに没頭して楽しんだ作品もあります。そうしたガチプレイの経験から、特にお勧めしたい2025年の新作(8月末まで)を厳選し、見逃すには惜しい作品を紹介します。
厳選しても、お勧めしたい作品はいくらでもあるため、本記事では“難易度が高めなアクション性のあるゲーム”をテーマにお届けします。手応えのあるアクションに飢えている人は、今後遊ぶタイトルの参考にどうぞ!
■『真・三國無双 ORIGINS』:PS5/Xbox Series X|S/Steam
一騎当千の爽快感を味わいながら、戦場を駆け抜ける『無双』シリーズ。25年を超える歴史を刻んでおり、遊んだことがない人でも名前は知っているほど広く親しまれています。
この『無双』シリーズの魅力を受け継ぎながらも、大胆な革新で多くのプレイヤーを驚かせたのが、2025年1月に発売した『真・三國無双 ORIGINS』です。武器の一振りで無数の兵士が吹き飛ぶ豪快さはそのままに、一方で緊張感溢れる戦いも取り入れ、アクションゲームとしての奥行きも広がりました。
これまでの『無双』シリーズでも手ごわい敵はいましたし、難易度を上げればゲーム全体の歯ごたえが上がります。しかし、『真・三國無双 ORIGINS』が遂げた革新はパラメータの調整といったものではなく、成功すれば敵を無防備にできる「弾き返し」といった、本格的なアクションシステムを多数導入している点にあります。
条件の整った強敵との戦いは、高難易度アクションの代名詞とも言える“死にゲー”さながらの緊張感があり、敵の猛攻に合わせた防御に回避などを意識しなければ、過酷な戦いを勝ち抜くことはできません。
特に、最強の武将として語られることも多い武将・呂布との戦いは、まさしく死闘と呼ぶにふさわしい戦いとなります。『無双』シリーズ全般でも強敵として描かれ続けてきましたが、本作で見せる強さは悪夢のごとく。何の勝算もなしに立ち向かうのは、まったくお勧めしません。
一方、こうした手応え満点の戦いを用意しつつも、戦局を有利に運べば敵武将の弱体化が可能。手間こそかかりますが、戦略的に戦いやすくできる余地が残されており、単に難しさを加味しただけではない点も『真・三國無双 ORIGINS』の魅力的なポイントのひとつです。
前述の呂布も、ストーリーのクリアを目指す上でなら対策はいくつもあるため、“歯ごたえのある難しさ”はあっても、決して“理不尽な強さ”ではありません。
シリーズ史上最高のグラフィックと臨場感で綴った『真・三國無双 ORIGINS』は、シリーズ未経験者はもちろん、過去の作品に触れている人にもお勧めしたい作品です。これまで抱いていたイメージが一気に変わってもおかしくないほど、刺激的な作品に仕上がっています。
■『AI LIMIT 無限機兵』:PS5/Steam/Epic Games
俗に“死にゲー”と呼ばれる高難易度アクションゲームは、広い意味では“死に覚えゲー”の範疇に入りますが、初見殺しだけでなく、通常の敵からボスまで手ごわい相手が多く、過酷な戦いにかすかな希望をいかに見出すか。そうしたゲームに向けて使われることが多いワードです。
フロム・ソフトウェアの『ソウル』シリーズをきっかけに、“死にゲー”というワードが広がり、ひとつのジャンルとして定着し、安定した人気を誇るようになりました。ここで取り上げる『AI LIMIT 無限機兵』も、いわゆる“死にゲー”のひとつです。
代名詞的な『ソウル』シリーズの特徴を取り入れたゲームは多く、そうした作品は「ソウルライク」と表現されることもあります。『AI LIMIT 無限機兵』もこのカテゴリーに該当しており、パリィや回避を駆使しながら強敵と戦う緊張感は、ソウルライクな“死にゲー”ならではの醍醐味を感じさせます。
ただし、他の作品では踏襲している場合が多いソウルライク要素の一部を、『AI LIMIT 無限機兵』では取り入れていないものもあります。ポピュラーなのは、ゲーム内貨幣と経験値が一体化したリソースを、死亡したらその場に全て落とすシステムです。
この死亡ペナルティは、一度の敗北で全てを失いつつも、次のプレイで回収できればペナルティをチャラにできるという、緊張感と保険を兼ね備えた絶妙なシステムです。しかし『AI LIMIT 無限機兵』では、死亡時に一定の割合でリソースを失いつつ、残りはそのまま所持して再スタート。確実なペナルティこそありますが全てを失わないため、プレイ意欲が途切れにくいという特徴をがあります。
また、特に大きな違いと言えば、「スタミナ」の概念がない点です。ソウルライク作品の多くは、攻撃や回避といったアクションを実行するにはスタミナが必要になります。スタミナは時間経過などで回復しますが、尽きると攻撃や回避が出来なくなるか大きく弱体化するため、スタミナの管理は戦闘の勝敗を大きく左右するほど重要です。
しかし『AI LIMIT 無限機兵』には、スタミナの概念がなく、攻撃も回避もし放題。もちろん、それぞれに隙や硬直があるため、無作為に繰り出しても不利になるだけですが、スタミナという制限のないソウルライクゲームのプレイ感は、慣れているほど新鮮に感じられることでしょう。
加えて、バトルシステムの全般が、攻めるほど有利なデザインになっています。そのデザインに、スタミナの制限がない自由さが加わることで、攻撃に重点を置く“攻めの死にゲー”という独自のプレイ感が生まれ、それが『AI LIMIT 無限機兵』の味になっています。
一般的なアクションゲームと比べると難易度は高めなので、万人にお勧めとは言えませんが、発売後の定期的なアップデートで完成度自体も上がっているため、“死にゲー”に挑戦したい初心者から、ソウルライクに慣れた上級者まで、広くお勧めしたい作品です。
■『エンダーマグノリア: ブルームインザミスト』:スイッチ/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam
広大なマップを冒険しながら、アイテムの入手やスキルの習得で新たなアクションを獲得し、探索範囲を広げていくメトロイドヴァニア。世界中で愛されるジャンルのひとつとして成長し、今も様々な作品が国内外から飛び出しています。
2025年1月にリリースされた『エンダーマグノリア: ブルームインザミスト』も、正統派のメトロイドヴァニアです。冒険の進行に合わせて増えていくアクションは、探索先を増やすのはもちろん、戦闘に役立つものも多く、バトルの楽しさも広がっていきます。
本作の舞台は、穢れた煙の影響を受け、ホムンクルスが暴走してしまった「煙の国」。崩壊が進み、終末の足音が聞こえる世界では、退廃的な絶望感と、それでも抗う人間の息吹が交錯し、物悲しくも力強い物語を展開します。
また、儚げな世界観を雄弁に描写する繊細なビジュアルや、没入感を大きく促す臨場感満点の楽曲の素晴らしさも、本作を語る上で外せない要素と言えます。
もちろんゲーム性も良質で、ベースとなるアクションのテンポ感は心地よく、バトルにおけるカスタマイズ性の高さは攻略の楽しさを押し上げます。世界観よし、見た目よし、音楽よし、ゲーム性よしと、全面的に高いレベルでまとまっており、メトロイドヴァニアファンならば是非遊んで欲しい一作です。
ただし、理不尽さこそないものの、メトロイドヴァニアとしては難易度は比較的高い部類に入ります。いわゆる“死にゲー”的な厳しさではありませんが、手ごわいボスとの戦いはトライ&エラーになることもしばしば。また、中ボスとの連戦で苦戦を強いられる可能性もあります。
こうした難敵も自力で対処可能ですが、アクションが得意でない人や、物語の先が気になる人は、救済措置とも思える便利なスキルがあるのでそちらを活用するのも手です。基本の難易度はやや高めながら対応策も用意されており、『エンダーマグノリア: ブルームインザミスト』は幅広いゲームファンにお勧めできます。
余談ですが、本作のマップは細かいところまで行き届いており、探索を楽しむ上でこれ以上ないほど細やかで便利な作りになっています。徹頭徹尾丁寧に作られている作品なので、バトルの手ごわさ以外はノンストレスで楽しめます。
■『Dolls Nest』:Steam
ここまでは、戦闘そのものの難易度が高めなゲームを紹介しましたが、今回の締めを飾る『Dolls Nest』は、戦闘自体はそれほど難しくはありません。ただし、見た目から受ける印象と実際のゲーム性に違いが出やすく、またゲーム全般も戦闘とは別種の難しさがいくつか存在します。
本作は、少女型機械「鎧化兵」が鎧殻に身を包み、巨大な人工建造物「ホド」に挑むアクションゲームです。RPG的な成長要素はなく、頭や体、両手両足のパーツを自由に組み替えることで、機動性や装甲などが大きく変化。出力や重量のバランスも一考する必要があり、武装も多彩に揃っています。
パーツと武装の換装で自分好みの鎧殻を作り上げる工程は、カスタマイズ性のあるロボット系アクションゲームのような手触りです。種類も相応に揃っているため、鎧殻の構築(パーツのアセンブル)が好きな人にはうってつけ。また、パイロット的な鎧化兵の見た目もカスタマイズできるため、プレイ意欲の向上にも繋がります。
ただし、カスタマイズできるロボ系ACTは、(構成次第ですが)圧倒的な加速力で敵弾を回避するなど、ハイスピードで縦横無尽なバトルが楽しめることが多く、そうしたゲーム性をつい期待しがちです。
しかし、『Dolls Nest』のアクション性は真逆……とまではいきませんが、方向性はかなり異なります。スピード頼りのブーストで振り切ろうと思っても、敵からの偏差射撃によってダメージを食らうため、華麗な回避よりも地味で細かな挙動の方が効果的です。
また、ロボットACTなのでミサイルやレーザーなどを一気き叩き込むパワフルなバトルを望む人もいるはず。『Dolls Nest』でも火力の一極集中は可能ですが、強力な火器ほどリソースの消費が激しく、後先考えずに使うとあっという間に弾切れに陥ります。
『Dolls Nest』におけるプレイ時間の大半は、「ホド」の探索です。補給を受けられる中継地点は随所にありますが、頻繁とまでは言えません。そのため、“火力の総攻撃”でリソースが尽きては話にならず、出来る限り消費を抑える堅実な(そして地味寄りの)戦い方が求められます。
道中の敵は、1体1体はそれほど手ごわくありません。
いかにリソースの消費を抑えながら、先の見えない探索を長く続けられるか。油断しない緊張感の維持と、状況に応じた的確な判断力、そして立ち回りに合わせた鎧殻の構築と、『Dolls Nest』の攻略にはその全てが必要です。
バトルそのものではなく、ゲームデザインとしての難しさやプレイヤーの向き不向きが問われやすい『Dolls Nest』。しかし、その壁を乗り越えれば、“ソウルライク風なマップ攻略を、豊かなアセンブルによるロボットアクションで立ち向かう”という、唯一無二のゲーム体験を満喫できます。個性派な作品を遊びたい人は、『Dolls Nest』も候補に加えておきましょう。