いやいや、「『ファイアーエムブレム』×人狼ゲームってどういうことよ?」と当然筆者も思いつつ、腰を抜かしながらプレイを開始。最初はいまいち理解できなかった対戦の駆け引きですが、試合数を重ねているうちにだんだんと理解できるようになってきました。
いきなり配信されたこのゲームがどういうものなのかよくわからないという人も多いと思いますので、筆者がここで「推理」してその正体をあばいてしまいましょう。
◆『ファイアーエムブレム』と“人狼”の駆け引きがなぜかバッチリ融合した異色の対戦ゲーム
本作は、「光陣営」二人と「闇陣営」一人に分かれて戦う非対称PvPゲームです。対戦は、騙し騙されをしつつザコ敵を倒す「前半戦」。前半戦の出来事を元に闇陣営をあぶり出す「投票」。そして闇陣営と光陣営が戦って勝敗を決する「後半戦」。以上3つのフェーズに分かれています。
まずは後半戦の有利不利を左右する前半戦について。光陣営プレイヤーの前半戦での体力は後半戦に引き継がれるので、光陣営はなるべく体力を温存しながら敵を倒すことを目指します。その中で、ほかプレイヤーの行動もしっかり見ておき、闇陣営は誰なのかということも推理しておきます。
闇陣営は、後半戦を有利に進めるため、なるべく光陣営の体力を削ることを目指します。
闇陣営に投票し、正解した光陣営プレイヤーは“2回分の復活”を入手できます。闇陣営に投票できず、不正解となった光陣営プレイヤーは“1回分の復活”を入手します。復活を持っていれば、後半戦でHPが0になっても次のターンに復活することができます。
たとえば、前半戦で生き残った状態でかつ闇陣営を当てて正解したプレイヤーは、その残HPを後半戦に引き継ぎつつ、2回の復活を持った状態になります。前半戦でHPが0になり倒れてしまったけれど正解したプレイヤーは、そのHPを全回復し、1回分の復活をもった状態で後半戦に臨むことになります。
前半戦で生き残ったけれど不正解となったプレイヤーは、その残HPを引き継ぎつつ1回の復活を持った状態で後半戦に臨みます。前半戦で倒れてしまった上、不正解となったプレイヤーは、HPが全回復したうえで復活を持たない状態で後半戦に臨むことになります。
闇陣営は後半戦のためにバレないように光陣営のHPを削ることを狙います。光陣営は後半戦のためにHPを温存しながら闇陣営が誰なのかを推測。そして、欺くにせよ欺かれるにせよ、後半戦ですべての勝敗が決します。
後半戦は獣の姿に変身し強化された闇陣営と、光陣営との対戦です。
と、ここまで本作の基本的な仕様をお話してきましたが、ぶっちゃけイメージが湧きにくいと思うので、実際に起こりうる試合展開を例示してみようと思います。
たとえば、闇陣営のスキルでプレイヤーの一人が攻撃され、倒されたとしましょう。状況からすれば、攻撃されたプレイヤーが闇陣営という線は薄くなります。しかし、まだ候補は二人残っている状況。
その時、闇陣営がもう一人の光陣営を攻撃したら、闇陣営が誰なのかはほとんど確定してしまいます。そのため、闇陣営のプレイヤーは光陣営のフリをしてCPUの敵の攻撃に専念するかもしれません。いずれにせよCPUの敵は光陣営を攻撃してくれるので、敵に最高効率の攻撃をせず、敵を少し残すことでバレずに残りの光陣営のHPを削ることができるかも。
次の投票フェーズで、光陣営プレイヤーのうち闇陣営の攻撃で倒されたほうは、どちらが犯人なのかという二者択一を迫られます。
逆に、その二者択一で光陣営がふたりとも闇陣営を投票すると、光陣営は二人とも復活を有した状態で後半戦に臨むことになるので、光陣営のほうが有利かも。とはいえ、前半戦で倒されなかったほうのプレイヤーがCPUの敵によってHPが大きく削れている状況なら、復活をすぐに消費させることができるので五分五分といえるかもしれません。
当然、闇陣営は時に自分で自分を攻撃するなどのブラフをしてきますし、光陣営は回復のスキルを上手く使って、推理が外れても後半戦に有利な状態を作り出そうとすることもあります。人狼力にSTG力、キャラ育成など様々な要素が重要になる対戦ゲームなのです。
キャラ育成に関しては、事前にレベルを上げたり装備を変えたり、スキルを付け替えたりといったことを行っていきます。このゲームの対戦はレート制でマッチングするようになっていますが、レートはキャラごとになっています。一人のキャラクターを育成し極めるもよし、たまにはほかキャラを育成して低レートからまた上を目指すもよしという形です。
◆すべてのキャラが闇落ち&ケモ化するおいしい設定
『ファイアーエムブレム シャドウズ』に登場するキャラクターは、基本的には過去作とは関係のないオリジナルのもの。裏切りによって国を追われた王子「クルト」を中心に、その家臣や旅の中で出会う人々、その敵など、独自のキャラと世界を持っています。
面白いのは、すべてのキャラクターが闇の神「フェンリル」にそそのかされて闇落ちする可能性を秘めているということ。それは主人公クルトも例外ではなく、物語の冒頭では闇落ちしたクルトや家臣の姿をみることができます。
しかもこの闇落ち、ほとんどのキャラクターが「ケモ化」します。もともと犬耳を持つデザインながら、ほとんどは人間といえる姿だった主人公クルトも、闇の陣営へと下るとケモ足ケモ鼻で青い肌を持つ獣へと変貌。家臣のカリーナもいかつい角を持つ牛モチーフの半獣人になるし、傭兵のザシャはくちばしを持つカラスのような姿に、フェンリルの眷属であるハティはノズルの長い狼になります。
問題はこれだけでは終わりません。やはり『ファイアーエムブレム』シリーズのスマホゲームとなれば過去作のキャラクターもいるのでは?と思うかもしれませんが、現状確認できる範囲では「リンディス」と「ディミトリ」が“ケモ耳姿で”参戦しています。
当然ですが、闇陣営になった時、彼らは変身します。ディミトリはいかつい獅子になりますし、リンディスは下半身が馬のケンタウロスのような姿になります。
ということは、今後さらに『ファイアーエムブレム』キャラが増えたとして、彼らも全員否応なくケモ化させられるということなのでしょう。可能性の塊すぎでは?このゲーム。
FE×人狼で生まれる独自の駆け引き。そして性癖詰合セットなキャラクター。本作でしか味わえない魅力がバッチリあるゲームなのですが、せっかく魅力的な闇落ちキャラの立ち絵が拡大できなかったり、チュートリアルがわかりにくく対戦ゲームとしての本質が伝わりにくかったりと気になる点も多いように思います。
特に対戦ゲームとしての駆け引きについては、記事にしてちゃんと伝えたいと思ったので今回筆を執った次第です。ぜひみなさんもダウンロードして遊んでみてください。