ゲーム市場の大きな転換期となった初代「PlayStation」から始まり、世界累計販売台数が1億6,000万台を突破した「PlayStation 2」、Blu-rayの再生も可能な「PlayStation 3」、PS2に次ぐ1億1,000万台の記録を持つ「PlayStation 4」と、歴代のシリーズも華々しい活躍を遂げており、PS5には後継機として大きな注目と期待が寄せられていました。
しかし、PS5がこれまでに歩んだ5年間の歴史は、華々しい活躍だけでなく、苦難に満ちた一面が色濃かったのも事実です。果たしてPS5は、どのような逆風に翻弄されたのでしょうか。
■「予約困難」から始まったPS5
PS5は発売前から、多くのユーザーから関心を集めていました。その理由はいくつかありますが、高いスペックを要求するAAAクラスの大作を受け止めるような、高性能機を求める需要があったことも大きな要因と言えます。
また、PS4ソフトとの互換性があり、前世代機のゲームも継続して遊べる利便性も、購買意欲を促す一因でした。もちろん、PSシリーズへの信頼が広く根付いていた点も外せません。
発売前からPS5の需要は相当高まっていましたが、最初の問題として立ちはだかったのが、予約の困難さでした。当時の予約受付は、各販売店も含めてほぼオンラインのみ。また、需要と供給のバランスが釣り合わないほどの人気ぶりだったため、予約開始直後に定員数を満たし、大半の希望者が予約できない事態に陥ります。
しかも、大勢の希望者が詰めかけたため、サイトではエラーが出たり、サーバーが一時的にダウンするといったアクシデントもありました。そのため、カートまでは入れられたのに、決済できずにやり直し……といった悲劇も生まれます。
単純に間に合わなかっただけなら諦めもつきやすいのですが、何度もアクセスを繰り返し、3歩進んでは3歩下がるといった空回りを味わった上で予約できないとなると、徒労感もひとしおです。
■発売日以降も入手難が続く
ただし予約がオンラインのみだったのは、PS5の販売方式自体に問題があったわけではなく、コロナの影響によるものでした。
PS5が発売される2020年11月から遡ること約1年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2019年末に確認され、その感染はまたたくまに世界規模で広がりました。国内でも感染例が多発し、「こまめな手洗い・うがい」「マスクの着用」「密を避ける」といった対策も徹底されるようになります。
この「密を避ける」の一環として店頭受付が見送られ、予約受付がオンラインのみとなりました。これはPS5に限らず他の業種でも見られた措置だったため、一企業では手の打ちようがない逆風に他なりません。
しかも発売前の予約だけでなく、発売日以降の入荷についても、受付は長らくオンライン限定でした。また、先着方式から抽選販売形式に切り替えた店舗も多く、集中的なアクセスによる混雑は緩和されたものの、今度は“運がなければ手に入らない”という新たな壁が立ちはだかりました。
■供給不足の原因は世界的な情勢にあり
ゲーム機が発売日やその直後に品切れとなり、しばらく手に入らないという事態は、さほど珍しいものではありません。ゲーム史を振り返るまでもなく、そうした例は枚挙にいとまがないほどです。
しかしPS5の場合、入手しにくい期間の長さが異例とも言えるほどで、多くの店舗が、2年以上にわたって抽選販売を続けていました。それだけPS5の人気が高く、そして長く要望されていた──というのも間違いありませんが、供給が十分ではなかったとも言えます。
PS5の供給不足も、時代に翻弄された一面があります。コロナ禍の影響は生産にも及んでおり、流行に伴う工場の一時的な閉鎖や稼働率の低下などが看過できないレベルに達していました。これもPS5に限った話ではないものの、発売前から直接的・間接的な影響下にあったため、全般的に生産台数が伸び悩む要因となります。
ライバルとして語られることも多いニンテンドースイッチ(以下、スイッチ)も、同時期に供給が不足したこともありました。ただしスイッチは2017年に発売されたため、コロナが流行するよりも前に相当数の台数が普及しており、あらかじめ欲しかったユーザーの手元には一定量行き渡っています。
コロナ禍の時期にスイッチが供給不足に陥ったのは、家で過ごす時間が増えたことによる「巣ごもり需要」によるもの。自宅や自室での時間を活用したいと考え、新規層や2台目の購入を検討していたユーザーが関心を示した結果です。
巣ごもり需要で再点火したスイッチと、発売以降ずっと供給不足が続くPS5。どちらもコロナ禍の影響によって入手難となったものの、その明暗は分かれる結果となりました。
■値上げという異例の事態
PS5が時代の逆風を受けたのは、供給不足だけではありません。PSシリーズはこれまで、一定期間後にモデルチェンジを行い、当初よりも低価格な新バージョンを展開することで普及を後押ししました。
そうした戦略がPS5でも行われるだろうと期待していた人も多かったことでしょう。
例えば、ディスクドライブ版は最初期54,978円でしたが、ここから60,478円、66,980円、79,980円と段階的に価格が上がっていきます(いずれも税込価格)。最初期と比べると、現時点では約25,000円もの値上がりとなりました。
ゲーム史を紐解くと、ゲーム機の価格はほぼ変わらずに横ばいか、モデルチェンジや廉価版の登場で手が出しやすくなるのが一般的です。そのため、PS5がここまで値上げしたのは文字通り異例の事態と言えるほどです。
このPS5の値上げにも、世界的な情勢が大きく影響しています。急速に進んだ円安や物価高騰による製造コストの急増など、当初の予想を超える事態が重くのしかかったため、値上げに踏み切らざるを得ませんでした。
■6桁の大台に突入したPS5 Pro
PS5の値上げは、上位機種となるPS5 Proの価格にも影響しました。PS5 ProはPS5よりも性能が良いため、価格が上回るのも当然の話ですが、それを踏まえた上でも119,980円(税込)という価格は衝撃的でした。
ゲーム機の価格は、時代の流れに合わせて右肩上がりになっています。任天堂であっても、スイッチ2は国内専用版でも49,980円(税込)と、歴代の価格帯を大きく超える展開を行いました。高性能を目指したPS5 Proの価格も、その性能を踏まえれば納得の範囲ではあります。
しかし、こうした理解とは別に、ゲーム機が約12万円という状況には驚きが隠せません。一般層ではなく一部のゲーマー層を狙った高性能機とはいえ、家庭用ゲーム機の標準的な範疇を大きく超えています。もう少し足せば、ゲーミングPCにも手が届くほどの価格帯です。
■逆風に抗ったPS5、待望の値下げも発表
オンライン縛りとも言える予約に抽選販売、コロナ禍の影響で伸び悩む生産台数、円安と物価高による異例の値上げ、その流れを受けたPS5 Proの価格など、時代の逆風に晒されたPS5。この5年間は、翻弄され続けた歩みでもありました。
しかし、そうした苦難に屈すことはなく、今現在もPS5は活躍を続けています。複数の事情により普及への足かせを受けながらも、2025年9月30日時点における世界累計販売台数は8,400万台を超えており、逆風を跳ねのける結果を叩き出しました。
また、国内専用モデルの「PS5 デジタル・エディション 日本語専用」が本日(2025年11月12日)発表されましたが、その価格はなんと55,000円(税込)。現在販売中のデジタル・エディション(72,980円)と比べると、約18,000円もの価格差です。しかも、別売りのドライブ(11,980円 税込)の装着が可能なので、実質的な値下げと言ってもいいでしょう。
逆境を乗り越えつつあるPS5は、ここからさらなる飛躍を見せるのかもしれません。6年目に突入したPS5の動向から、今後も目が離せません。


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