「ギラティナ」と一言添えられて投稿された作品には、ポケモン世界の“裏側”を表現したかのような独特な空気感が漂い、多くのファンから称賛の声が寄せられた。
「以前、レジギガスのシャドーボックスを作りまして、その際にシンオウ神話に関連するポケモンを作れたなぁと思い着手しました」
今回の制作は、シンオウ地方に伝わる伝説のポケモンたち――ディアルガ、パルキア、ギラティナをテーマに据えた連作の一部として構想されたものだった。使用したカードは8枚。制作時間はおよそ4時間で、他の2体と並べた際に全体が美しく調和するような設計になっている。
シャドーボックスは、カードの絵柄を細かく切り抜き、重ねることで立体感を出すアートだ。ギラティナのように複雑なフォルムを持つポケモンは、制作の難易度も高い。しかし天狐SAN値さんが最も苦労したのは、単体の造形ではなかった。
「本体よりも、先に作ったディアルガ、パルキアのシャドーボックスと横並びにした際に互いのパーツが干渉しない様にする工程が大変でした」
3体それぞれが独立して完成していながら、横に並べたときにはシンオウ神話の一大ヴィジュアルが完成するように設計された、まさに「連作」ならではの難しさである。
◆異世界感をどう表現するか――枠を超えて“やぶれた世界”を再構築
今回の作品の肝となるのが、ギラティナが登場する異次元空間「やぶれた世界」の再現だ。
「カードイラストの枠組みを超えたシャドーボックスを作る際、世界観を大事にする様にしてます。ポケモンカードに関しては、現実世界でポケモンに自分が出会ったら、どんな印象をうけるかを基軸に制作しています」
ギラティナにおいては、“やぶれた世界”をテーマに、空間全体を構成。
特にお気に入りのポイントとして、天狐SAN値さんはこう語る。
「やぶれたの文字が入った別のカードからV STARのテキストが見える様にしたり、空中に浮遊してるカードテキストは、やぶれた世界の無秩序に浮いている大地と流れる滝をイメージしたりと拘りがあったりします」
このほか、ディアルガ、パルキア、ギラティナ3体のシャドーボックスを並べた際に物理的な干渉が起きないよう、各パーツの厚みや位置をミリ単位で調整している点も「個人的に見てほしい」と話す。
◆立体にすることで「存在感が増す」シャドーボックスの魅力
シャドーボックスを始めたきっかけについては、「もともとフィギュアを作ろうと思い、いろいろと調べていたら偶然シャドーボックスが検索に引っかかり、“カードでやったら面白いなぁ”と思ったのが始まりです」と明かす。
「元絵のイラストをそのまま使いながら、立体化によって視覚的な奥行きや重みを加える」そこにこそ、このアートの醍醐味があるという。
SNSでは「考察の深さがすごい」「ギラティナの世界観がそのまま出ている」といった声が多く見られた。中でも、制作者の意図を正確に汲み取ったコメントが特に嬉しかったそう。「シャドーボックスの考察混じりのコメントが特に嬉しかったです! その考察がドンピシャで正解していた時は、自分のイメージが上手く伝わったんだなぁと思いました」
今後については、さらにスケールを広げた構想もあるのだとか。
「ポケモン映画をイメージしたシャドーボックスや、複数人トレーナーが写っているカードでシャドーボックスを作りたいなと思っています」


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