少年漫画では、それまで主人公の敵役だったキャラが次のシーズンから一転して「心強い味方」になる展開がしばしばあります。
しかし、「スーパーマリオ」シリーズにおけるワリオの役回りは、それとは少し違います。
そんなワリオの特徴、性格、身体能力が十二分に発揮された作品が2004年5月（アメリカ・欧州では2023年6月）に登場しました。『ワリオワールド』です。
先日12月11日から『ニンテンドー ゲームキューブ Nintendo Classics』で『ワリオワールド』の配信が開始されたので、早速プレイしていきたいと思います。
◆『ファイナルファイト』を思わせる戦いっぷり
「マリオの戦い方」について、知らない人のほうが今や少数派ではないでしょうか。
マリオが繰り出す攻撃といえば、ジャンプして足の裏で踏む動作です。火の玉を投げたり、タヌキの尻尾でぶっ叩いたり、ヨッシーに敵を食べさせることもありますが、マリオの攻撃は基本的に高くジャンプして落下点にいる敵をペシャンコにする方法。このアクションは、コンピューターゲームの歴史そのものを大きく変革しました。
対して、ワリオが『ワリオワールド』で披露したアクションはどうでしょうか。迫り来る敵にパンチをかまし、掴んで投げて吹っ飛ばす。時にはジャイアントスイングやパイルドライバーといったプロレス技も駆使します。
そう、この『ワリオワールド』は3Dアクションゲームではありますが、実質的に2Dのベルトスクロールアクションゲームに近い内容になっています。
◆3Dアクションゲームは「取り残される人」を生んでしまった
『ワリオワールド』のステージは、基本的には一本道で（特別なアイテムを収集するためのルートはありますが）クリアだけならあまり難儀することはないはずです。
また、Rスティックを使った視界移動もできますが、大半の場面では視界が固定されています。つまり、現代のTPSのように目まぐるしくRスティックを動かす必要はないということでもあります。実はこのあたりに、『ワリオワールド』の社会的役割があるのではと筆者は考えています。
この作品が発売された2004年前後は、家庭用ハードのグラフィック性能向上と共に3Dアクションゲームが続々と登場した時代でもありました。90年代までは「最先端テクノロジーの象徴」とまで言われてきた3Dゲームですが、もはやそれが特段珍しくなくなってきました。ですが、大量に市場投入される3Dゲームはある種の「分断」をもたらしてしまいます。
3D世界のキャラを難なく操作できる人と、そうでない人を生み出したのです。
3Dアクションゲームをプレイするということは、絶え間ない視界移動を難なくこなせるという意味です。よく考えてみれば、これはかなりの高等テクニック。できない人が出てくるのは当然で、中には3D酔いを起こす人もいます。
では、そのような人に3Dゲームを遊んでもらうには、言い換えれば3Dゲームの面白さを伝えるには、どんな作品を開発すればいいのでしょうか？
◆3Dアクション初心者でも豪快アクションが可能！
現代の目から見れば、『ワリオワールド』は、「操作が省略され過ぎている3Dアクションゲーム」とも言えるかもしれません。
Rスティックによる視界操作ができない場面のほうが多く、そのため3Dゲーム巧者にとっては「もっと自由に視点を切り替えたい！」という感想になってしまうかもしれません。ですが、そうでない人にとってはこの上なく親切な設計と解釈することもできます。
ワリオが繰り出す攻撃も、複雑なコマンドは一切必要ありません。『ワリオワールド』は、3Dアクションゲームの敷居をぐっと低くしたと言えるのではないでしょうか。
この作品は、全体的なボリュームのなさと低過ぎる難易度が「玉にキズ」と指摘されてしまうこともあります。
しかし、その見方はあくまでも「3Dゲームを流暢にプレイできる人」のものであることをここで今一度認識する必要があります。20世紀までPCのキーボードを操作できること自体が特殊技能と見なされていたように、2004年当時に3Dアクションゲームをプレイできる人は子供も含めて今ほど多くなかったはずです。
◆20年越しの良作
ここで、『ワリオワールド』の弱点と言われているゲームのボリュームに関してさらに話を繰り広げてみると、筆者はこの点については言われているほど瑕疵はないのでは……と考えています。
てか、1ステージのボリュームが結構大きい！
各ステージには探索要素もあり、ワリオが縦横無尽に動き回ってもまだ「アイテムの見落とし」がある具合の広さなので、クリアした時の達成感はまさに「爽快」の一言。そして、このゲームのステージをいくつかクリアすれば、その人には間違いなく3Dゲームのスキルが身についています。長年いろんなゲームをやり込んでいるはずの筆者でも、何度かゲームオーバーになったりして……。
そんな『ワリオワールド』は、年の瀬の我が家で親と子が楽しめる「20年越しの良作」です。
しかし、「スーパーマリオ」シリーズにおけるワリオの役回りは、それとは少し違います。
ワリオはワリオのまま、つまりマリオにやっつけられたからといって改心することは一切せず、悪役キャラのまま主役に昇格してしまったという珍しい経歴を持っています。
そんなワリオの特徴、性格、身体能力が十二分に発揮された作品が2004年5月（アメリカ・欧州では2023年6月）に登場しました。『ワリオワールド』です。
先日12月11日から『ニンテンドー ゲームキューブ Nintendo Classics』で『ワリオワールド』の配信が開始されたので、早速プレイしていきたいと思います。
◆『ファイナルファイト』を思わせる戦いっぷり
「マリオの戦い方」について、知らない人のほうが今や少数派ではないでしょうか。
マリオが繰り出す攻撃といえば、ジャンプして足の裏で踏む動作です。火の玉を投げたり、タヌキの尻尾でぶっ叩いたり、ヨッシーに敵を食べさせることもありますが、マリオの攻撃は基本的に高くジャンプして落下点にいる敵をペシャンコにする方法。このアクションは、コンピューターゲームの歴史そのものを大きく変革しました。
対して、ワリオが『ワリオワールド』で披露したアクションはどうでしょうか。迫り来る敵にパンチをかまし、掴んで投げて吹っ飛ばす。時にはジャイアントスイングやパイルドライバーといったプロレス技も駆使します。
そう、この『ワリオワールド』は3Dアクションゲームではありますが、実質的に2Dのベルトスクロールアクションゲームに近い内容になっています。
どこか『ファイナルファイト』を思わせる場面も見受けられます。
◆3Dアクションゲームは「取り残される人」を生んでしまった
『ワリオワールド』のステージは、基本的には一本道で（特別なアイテムを収集するためのルートはありますが）クリアだけならあまり難儀することはないはずです。
また、Rスティックを使った視界移動もできますが、大半の場面では視界が固定されています。つまり、現代のTPSのように目まぐるしくRスティックを動かす必要はないということでもあります。実はこのあたりに、『ワリオワールド』の社会的役割があるのではと筆者は考えています。
この作品が発売された2004年前後は、家庭用ハードのグラフィック性能向上と共に3Dアクションゲームが続々と登場した時代でもありました。90年代までは「最先端テクノロジーの象徴」とまで言われてきた3Dゲームですが、もはやそれが特段珍しくなくなってきました。ですが、大量に市場投入される3Dゲームはある種の「分断」をもたらしてしまいます。
3D世界のキャラを難なく操作できる人と、そうでない人を生み出したのです。
3Dアクションゲームをプレイするということは、絶え間ない視界移動を難なくこなせるという意味です。よく考えてみれば、これはかなりの高等テクニック。できない人が出てくるのは当然で、中には3D酔いを起こす人もいます。
では、そのような人に3Dゲームを遊んでもらうには、言い換えれば3Dゲームの面白さを伝えるには、どんな作品を開発すればいいのでしょうか？
◆3Dアクション初心者でも豪快アクションが可能！
現代の目から見れば、『ワリオワールド』は、「操作が省略され過ぎている3Dアクションゲーム」とも言えるかもしれません。
Rスティックによる視界操作ができない場面のほうが多く、そのため3Dゲーム巧者にとっては「もっと自由に視点を切り替えたい！」という感想になってしまうかもしれません。ですが、そうでない人にとってはこの上なく親切な設計と解釈することもできます。
ワリオが繰り出す攻撃も、複雑なコマンドは一切必要ありません。『ワリオワールド』は、3Dアクションゲームの敷居をぐっと低くしたと言えるのではないでしょうか。
この作品は、全体的なボリュームのなさと低過ぎる難易度が「玉にキズ」と指摘されてしまうこともあります。
しかし、その見方はあくまでも「3Dゲームを流暢にプレイできる人」のものであることをここで今一度認識する必要があります。20世紀までPCのキーボードを操作できること自体が特殊技能と見なされていたように、2004年当時に3Dアクションゲームをプレイできる人は子供も含めて今ほど多くなかったはずです。
◆20年越しの良作
ここで、『ワリオワールド』の弱点と言われているゲームのボリュームに関してさらに話を繰り広げてみると、筆者はこの点については言われているほど瑕疵はないのでは……と考えています。
てか、1ステージのボリュームが結構大きい！
各ステージには探索要素もあり、ワリオが縦横無尽に動き回ってもまだ「アイテムの見落とし」がある具合の広さなので、クリアした時の達成感はまさに「爽快」の一言。そして、このゲームのステージをいくつかクリアすれば、その人には間違いなく3Dゲームのスキルが身についています。長年いろんなゲームをやり込んでいるはずの筆者でも、何度かゲームオーバーになったりして……。
そんな『ワリオワールド』は、年の瀬の我が家で親と子が楽しめる「20年越しの良作」です。
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