これまで、主人公ゼロをはじめ、ウタウタイ姉妹たちの短編小説が発表されてきましたが(ワンを除く)、このたびウタウタイに仕える使徒の一人「ディト」の物語が公開となりました。
そしてその観察力は、このたび公開された短編小説「ディト 醜悪なるこの世界」において存分に発揮されています。ただしその聡明さは、相手の心の深淵に土足で踏み込むかの如き分析としてですが。もとより「非常に残忍な性格の持ち主」との設定が明かされているディトなので、その意味では彼のキャラクターを正しく表現している小説とも言えます。
しかもこのたび公開された小説は、先に発表された「ファイブ My Favorite Things」と同一となる場面を切り取っており、同じ場面をディト視点で語っています。サディスティックなはずのディトが「ファイブ My Favorite Things」では従順で素朴な少年のように振る舞っていた謎が、「ディト 醜悪なるこの世界」を読むことで解明されます。
同時間上にある2本の小説を読み比べると、彼ら個々人の関係だけでなく、ウタウタイと使徒の関係性も垣間見え、その背景への関心がいっそう増したと思う方も多いことでしょう。また、他の姉妹に仕える使徒も、ディトのような境遇に置かれているのか、それともまったく別の心境を抱いているのか、興味の尽きないところです。
「ファイブ My Favorite Things」の裏側を克明に描く、「ディト 醜悪なるこの世界」。2人の関係を映し出す光と影が露わとなったこの短編小説は、本作の持つ歪みのようなものが少しずつ浮き彫りになり始める、その最初の一歩なのかもしれません。新たなる短編公開にも大きな期待が寄せられます。
『ドラッグ オン ドラグーン3』は、12月19日発売予定。
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Character Design : Kimihiko Fujisaka.