「楽園」をテーマとした新作2タイトル『楽園の守護者』『マリーベルは死んだとパパに伝えて』を収録したPCソフト『アルカディアの灯火』が、2月27日よりDMM.comにてダウンロード販売を開始します。
『楽園の守護者』と『マリーベルは死んだとパパに伝えて』は、まったく内容の異なる作品となっており、「全年齢対象」で「やや大人向け」、そして「楽園」というテーマが共通しているのみです。
『楽園の守護者』の企画・シナリオを担当したのは、小説「六畳間の侵略者!?」などの代表作を持つ健速氏。ゲーム方面では『シークレットゲーム~Killer Queen~』などでも知られていますが、そんな健速氏が手がけた『楽園の守護者』では、戦争モノの映画のような作風とストーリーが展開します。
「萌えなし」の文句に偽りはなく、「オッサンキャラしか登場しません」とのこと。地球最強の男との戦いを描く、退廃感と悲壮感を伴う近未来SF戦争となる本作。親友であり相棒である男同士が殺し合う物語がどのような着地点へとたどり着くのか、好奇心が刺激されます。
『マリーベルは死んだとパパに伝えて』は、小説化も実現した『群青の空を越えて』を世に放った早狩武志氏。本作では、魔法が存在する中世西洋的なファンタジー世界に現代人が迷い込んだことを発端として、心の動きを重点的に描いたヒューマンドラマが綴られます。
それぞれ個性豊かな作品を収録する『アルカディアの灯火』は、Windows XP/Vista/7/8に対応予定です。ただしXPに関しては、「OS依存による不具合と確認された場合はサポート対応ができない場合がございます」とのことなので、ご注意ください。なお配信開始日は2月27日、価格は1,000円(税抜)です。プレイ意欲がかき立てられた方は、詳細をチェックして購入するかの判断材料にしてみてください。
◆『楽園の守護者
■ストーリー
そこは、20年も前に放棄された、廃墟の町。イース=カリィオード中佐率いる第12ASB大隊は、ボロボロで人気のないダウンタウンの中を進軍していた。彼らの敵は、たった1人。ただそれだけの相手を倒すため、イースは大勢の部下を引き連れて進む。
『センサーにSB粒子反応! 13時方向、距離800メートル!』
「おいおい、いきなりバニッシュブラストかよぉ!?」
「勘弁してくれぇ、ダンナァ………」
「総員っ、対ショック姿勢っ!!」
閃光と同時に、町を激震が襲う。
「勘弁してくれっ、俺はまだ死にたかねえぞぉっ!!」
周囲の建物が吹き飛ぶ中、兵達はただ祈りながら身を伏せていた。やがて、再び静寂を取り戻した闇の中で、彼らは口々に安堵の声を漏らした。
「は、はずれたっ!?」
「けどよ、無事には済んだが………生きた心地がしねえ………」
「まったくだ………まるで容赦なしだぜ………」
そこに、戦術支援コンピュータを通じて、オペレーターから通信が届く。
『中佐、目標を発見しました』
「よくやった」
画面に送られてきた男の姿を確かめる。その大柄な体は装甲服に包まれ、胸部装甲には15個の勲章が並ぶ。幾多の戦場において多くの武勲をあげた、歴戦の勇者である証だ。男は、小さなビルの屋上に立ち、静かに町を見下ろしていた。
「総員、戦闘態勢。ここからは一瞬も気を抜くな。敵は地球最強の男なんだからな」
■キャラクター紹介
●イース=カリィオード
主人公。日系人で42歳。国連直轄軍の中佐で、第12ASB大隊の指揮官。真面目で実直な性格の軍人。相手が上司であれ超人であれ、不条理な言葉には従わず、部下を大切にしている。おかげで上層部にはすこぶる受けが悪いが、部下が自然とまとまり、結果的にイースの大隊はトップの実績を誇っている。
兵士としては標準的な戦闘能力を持つが、その大半は頭の良さからくるものであり、身体的にはやや劣るところがある。現在、子供が出来たことをきっかけに禁煙している。
●ユリウス=フォン=クライスト
ドイツ系イタリア人。52歳。
20年以上のキャリアで、多くの人々を救ってきた世界的英雄。救世主として尊敬を集めると同時に、周囲に希望を与える性格から、世界中の人々に愛されてもいる。
●イースとユリウス
2人が出会ったのは、20年近く前になる。新任の少尉として第12ASB大隊に配属されたイースは、既に10年近いキャリアを持っていたユリウスのお目付け役に任命される。当初は互いに反発し合い、連携もとれなかったが、ある事件を機に一転。超人の中でも破格の能力を誇るユリウスは、その反面考えが浅く、そこを冷静な判断力を持つイースが補うことで、多大な成果を上げていく。
今では救世主「守護者クライスト」とその頭脳「12番目の使徒イース」として世界中から親しまれており、名実ともに2人は無二の親友にしてパートナーとなっている。
■世界観・用語案内
●超人・超獣(SB)
21世紀に入ってから出現し始めた、特殊な能力を備えた生物。総じて「Super-natural Being」、SBと呼ばれる。
●世界大戦
SBの力を利用しようとする諸国やテロ組織、反政府ゲリラの争いによって起こった、SBの獲得合戦とも呼べる世界規模の戦争。世界人口の14%を死に至らしめたこの大戦争は、SB発生から50年の歳月を経てようやく終結する。激しい戦争は地球を荒廃させ、50年の間に文明は半世紀ほども後退。結果的に人類は、実に100年分もの時間を無駄にしてしまった。
●SB制限条約
世界大戦後、国連が制定した国際条約。終戦後、SBは個々の国家や組織の手には余ると結論され、制定された。これによりSBはすべて国連の管理下に置かれ、拡散やあらゆる紛争への投入が禁止された。その後間もなく、イースたちが所属するASB連隊が組織されることとなる。
●ASB連隊
史上初めて、国連が直接組織した軍隊。
◆『マリーベルは死んだとパパに伝えて』
■ストーリー
「バカな……嘘だろ」
それは突然の出来事だった。ある日、着の身着のまま、見知らぬ異世界に放りこまれる。一生のうちにたった一度でも、そんな体験をした人間はおそらくごく僅かだろう。そして、結果訪れた世界では、人型をした怪物(モンスター)が我が物顔で山野を跳梁し、中世のような城壁都市では魔法使いが手もふれずに病を癒す、となれば、心身ともに衝撃を感じるのはあたりまえだ。
正直、それは中学生が作文に描く安易な物語的世界のようで、語る自分でさえ気恥ずかしさを覚える。僕、草薙悠也はそれまで、れっきとした理系の学生であるだけでなく、自他共に認める重度のサイエンスフリークだった。だからもし他人からそんな話を聞かされたら、大笑いしつつ内心でそいつを愚かな妄想家と軽蔑したに違いない。
けれどそんな異常現象がいざわが身に降りかかってみると、これは一種異様なインパクトがある。
だから、こうしていまになってみれば理解できる。翠や子供たちの存在に、あの頃の僕は間違いなく救われていたのだと。予告もなしに、この世界へと落ちてきたその日から、僕は翠と二人、幼い子供たちをかかえ、ただひたすらに必死だった。
■キャラクター紹介
●草薙悠也(くさなぎ ゆうや) 21歳/183cm/67kg/11月18日生まれ
農業大学酪農学科在学。植物ウイルスの遺伝子組み換えが専門だが、高校までは理系全般なんでも来いの雑学系。危険物取扱者主任(乙3~6類)、毒物劇物取扱者、公害防止管理者(水質2種)、アマチュア無線3級、2級小型船舶等の資格を所持している資格マニアでもある。
メカミリから技術史まで、幅の広い理系オタクだった事が幸いして、異世界での新生活をどうにか豊富な知識で乗り切る。もっとも、性格的には地味で堅実(悪く言えばビビリ)なので、新たな環境に馴染むには苦労の連続だった。翠や子供たちと一緒でなければ、無事では済まなかったかもしれない。
子供達との新家庭では、メカミリの知識と剣道二段の腕を生かし、狩人(ハンター)として一家の生計を支える。年少の子供たちからは父親役を求められているのも承知しているが、まだその境地には至っていない。
●片瀬翠(かたせ みどり) 20歳/168cm/52kg/2月21日生まれ
理科大学数学科在学。コンピュータ(主にソフトウェア。得意言語はC、プロログ、デルファイ)に詳しい。数学基礎論・純粋数学が本業。専門バカなので関心のない分野についてはまったく無知で素人。家事は、ちょっとだけできる。
性格は、基本的に気が強いのだが、それは内面の脆さの裏返しでもある。なかなか懐かないが、信頼すると弱い部分を晒してしまうタイプの女性。しかし芯はやっぱり強い。異世界に赴いた際は、混乱するみなをまとめ、精神面でのリーダーシップを発揮する。もっとも、本人はかなり悠也に頼り切っているけれど。
新生活では、家を守りながら、同時に夜は都市の酒場で働き家計を助ける。子供たちにとっては頼れるお姉さんでありお母さん。その重荷を悠也と分け合うことを、案外気に入っている自分に驚いてもいる。
●橘由希子(たちばな ゆきこ) 17歳/157cm/48kg/6月17日生まれ
私立一貫校の女子高校在学。来年は学外の外語大を受験予定だった。詩や小説の好きな文系少女。好きな作家は堀田あけみ、佐々木丸美、眉村卓、ロジャー・ゼラズニィ。自分も将来はお嫁さんになって、趣味で文章を書いてみたいと思っていた。
異世界に来てからは、くじけそうになる心をじっとこらえて、家族のためにけなげに振る舞う。悠也や翠が不在な時には、お姉さんとして下三人の面倒をみている。家事は全般に得意で、特に料理は翠よりずっと手慣れている。ただし異世界の見知らぬ食材には手こずらされている。
●後藤田隆明(ごとうだ たかあき) 14歳/162cm/56kg/8月7日生まれ
公立中学校在学。元気のいい骨太な男の子。バスケットボール部所属。運動はなんでも大好き、勉強は文系理系を問わずに嫌いな肉体系。もっとも、機械いじりには興味がある。
あまり家庭環境に恵まれていなかったため、誰よりも先に異世界に馴染むことに。異世界からの落下者は魔法的素養に恵まれている場合が多いが、隆明はその才能に特に恵まれており、自ら弟子入りして魔法使いとしての修行をはじめる。過去の世界への未練をきっぱりと裁ち切り、自らの足で歩みだすのは六人の中で一番早い。
●小此木美香(おこのぎ みか) 12歳/147cm/37kg/9月11日生まれ
公立小学校在学。小学六年生にしてはとてもおませな女の子。また植物に詳しい。花が好き(両親が好きだったから)で、フラワーデザインのまねごとも出来る。異世界へ来てしまったのはショックだったが、それを隠して振る舞うくらいの分別はある。
隆明とは良いコンビで、互いに刺激し合いながら魔法使いを目指すことに。まだまだ幼いが、将来的には美人になりそうな美少女。
●利根冬樹(とね ふゆき) 9歳/130cm/28kg/12月18日生まれ
私立小学校在学の小学四年生。礼儀ただしい、口数の少ない少年。父親は自衛隊の士官で、祖父は第二次大戦の陸軍軍人の生き残り。幕末までたどれば華族の、由緒正しい家柄の生まれ。
異世界に来た、という現実をまだはっきりと受けとめきれずにいるが、口数が少ないため周囲には気がつかれない。心を開くのはわずかに由紀子だけで、その関係もまた周囲の知るところではない。人見知りだが、本当は、とても優しくて人懐こいところのある少年。
■世界観・用語案内
●サジェール大陸
異世界の大陸。地球世界のパンゲアに相当する存在。赤道直下から極地まで広がっており、大半は怪物(モンスター)の勢力圏。人類の生息域は2%ほどで、主に海岸と河川沿いに都市国家を形成している。怪物の領域に分断されているため、国家間の戦争はほとんど発生しない。
●ティレンダイン
サジェール大陸の西南部、梓川沿いに位置する都市国家。人口約二万五千、温帯夏雨気候に属し、主な産業は農業。城塞都市の中では怪物に襲われる危険がほぼ無いため、市民になるには登録料が必要である。悠也たちは落下者として、特例制度を用いてティレンダイン市民となる。
●落下者(フォーラー)
地球世界から異世界に来た者の総称。落下(フォール)は三次元をコピーするように発生するため、99%は物質的に元の世界と重なり合い、ほぼ即死する。悠也たちは残りの1%に属する例外。栄養状態のよい環境で高等教育を受けている場合が多いので、人材として重用されている。魔法的資質を有している場合も多い。落下(フォール)は物質全てに発生するため、地球世界の技術で作られた各種道具は貴重品として高値で売買されている。
●怪物(モンスター)
この世界の本来は主役であった動物の総称。異世界の生命相は白亜紀からジュラ紀に近く、多くは大変力強い。地球と異なりD型のアミノ酸によって構成される怪物が存在しているため、食用可能な物とそうでない物に分けられる。
●狩人(ハンター)
耕地面積の限られた都市国家では畜産が容易ではないため、動物性タンパクの多くは都市外で狩人たちが捕らえた怪物によってまかなわれている。高収入だが危険の多い仕事であり、社会的地位はあまり高くない。悠也はこの仕事について、都市登録料の借金を返済しようとする。
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
『アルカディアの灯火』は2月27日配信予定で、価格は1,000円(税抜)。DMM.com専売です。
(C)NostalgicChord
『楽園の守護者』と『マリーベルは死んだとパパに伝えて』は、まったく内容の異なる作品となっており、「全年齢対象」で「やや大人向け」、そして「楽園」というテーマが共通しているのみです。
また、ヒロインの攻略要素も萌えもなく、シナリオ最重視という構成も、お互いが持つ特徴のひとつです。
『楽園の守護者』の企画・シナリオを担当したのは、小説「六畳間の侵略者!?」などの代表作を持つ健速氏。ゲーム方面では『シークレットゲーム~Killer Queen~』などでも知られていますが、そんな健速氏が手がけた『楽園の守護者』では、戦争モノの映画のような作風とストーリーが展開します。
「萌えなし」の文句に偽りはなく、「オッサンキャラしか登場しません」とのこと。地球最強の男との戦いを描く、退廃感と悲壮感を伴う近未来SF戦争となる本作。親友であり相棒である男同士が殺し合う物語がどのような着地点へとたどり着くのか、好奇心が刺激されます。
『マリーベルは死んだとパパに伝えて』は、小説化も実現した『群青の空を越えて』を世に放った早狩武志氏。本作では、魔法が存在する中世西洋的なファンタジー世界に現代人が迷い込んだことを発端として、心の動きを重点的に描いたヒューマンドラマが綴られます。
それぞれ個性豊かな作品を収録する『アルカディアの灯火』は、Windows XP/Vista/7/8に対応予定です。ただしXPに関しては、「OS依存による不具合と確認された場合はサポート対応ができない場合がございます」とのことなので、ご注意ください。なお配信開始日は2月27日、価格は1,000円(税抜)です。プレイ意欲がかき立てられた方は、詳細をチェックして購入するかの判断材料にしてみてください。
◆『楽園の守護者
■ストーリー
そこは、20年も前に放棄された、廃墟の町。イース=カリィオード中佐率いる第12ASB大隊は、ボロボロで人気のないダウンタウンの中を進軍していた。彼らの敵は、たった1人。ただそれだけの相手を倒すため、イースは大勢の部下を引き連れて進む。
『センサーにSB粒子反応! 13時方向、距離800メートル!』
「おいおい、いきなりバニッシュブラストかよぉ!?」
「勘弁してくれぇ、ダンナァ………」
「総員っ、対ショック姿勢っ!!」
閃光と同時に、町を激震が襲う。
「勘弁してくれっ、俺はまだ死にたかねえぞぉっ!!」
周囲の建物が吹き飛ぶ中、兵達はただ祈りながら身を伏せていた。やがて、再び静寂を取り戻した闇の中で、彼らは口々に安堵の声を漏らした。
「は、はずれたっ!?」
「けどよ、無事には済んだが………生きた心地がしねえ………」
「まったくだ………まるで容赦なしだぜ………」
そこに、戦術支援コンピュータを通じて、オペレーターから通信が届く。
『中佐、目標を発見しました』
「よくやった」
画面に送られてきた男の姿を確かめる。その大柄な体は装甲服に包まれ、胸部装甲には15個の勲章が並ぶ。幾多の戦場において多くの武勲をあげた、歴戦の勇者である証だ。男は、小さなビルの屋上に立ち、静かに町を見下ろしていた。
「総員、戦闘態勢。ここからは一瞬も気を抜くな。敵は地球最強の男なんだからな」
■キャラクター紹介
●イース=カリィオード
主人公。日系人で42歳。国連直轄軍の中佐で、第12ASB大隊の指揮官。真面目で実直な性格の軍人。相手が上司であれ超人であれ、不条理な言葉には従わず、部下を大切にしている。おかげで上層部にはすこぶる受けが悪いが、部下が自然とまとまり、結果的にイースの大隊はトップの実績を誇っている。
兵士としては標準的な戦闘能力を持つが、その大半は頭の良さからくるものであり、身体的にはやや劣るところがある。現在、子供が出来たことをきっかけに禁煙している。
●ユリウス=フォン=クライスト
ドイツ系イタリア人。52歳。
国連直轄軍の中佐で、第12ASB大隊に所属する超人。豪快で力強く、常に前向きな性格。身体能力強化S、固有能力SSSのグレードを誇っており、その肉体は銃弾を跳ね返し、毒も病気も受け付けない。
20年以上のキャリアで、多くの人々を救ってきた世界的英雄。救世主として尊敬を集めると同時に、周囲に希望を与える性格から、世界中の人々に愛されてもいる。
●イースとユリウス
2人が出会ったのは、20年近く前になる。新任の少尉として第12ASB大隊に配属されたイースは、既に10年近いキャリアを持っていたユリウスのお目付け役に任命される。当初は互いに反発し合い、連携もとれなかったが、ある事件を機に一転。超人の中でも破格の能力を誇るユリウスは、その反面考えが浅く、そこを冷静な判断力を持つイースが補うことで、多大な成果を上げていく。
今では救世主「守護者クライスト」とその頭脳「12番目の使徒イース」として世界中から親しまれており、名実ともに2人は無二の親友にしてパートナーとなっている。
■世界観・用語案内
●超人・超獣(SB)
21世紀に入ってから出現し始めた、特殊な能力を備えた生物。総じて「Super-natural Being」、SBと呼ばれる。
彼らは極めて強靭な肉体を持ち、様々な特殊能力をその身に宿している。その力の大小には個体差があるが、強いものなら一軍に匹敵するほどの戦闘能力を持つ者もいる。身体能力強化と固有能力の2点にグレード付けされており、超人の平均はグレードC。
●世界大戦
SBの力を利用しようとする諸国やテロ組織、反政府ゲリラの争いによって起こった、SBの獲得合戦とも呼べる世界規模の戦争。世界人口の14%を死に至らしめたこの大戦争は、SB発生から50年の歳月を経てようやく終結する。激しい戦争は地球を荒廃させ、50年の間に文明は半世紀ほども後退。結果的に人類は、実に100年分もの時間を無駄にしてしまった。
●SB制限条約
世界大戦後、国連が制定した国際条約。終戦後、SBは個々の国家や組織の手には余ると結論され、制定された。これによりSBはすべて国連の管理下に置かれ、拡散やあらゆる紛争への投入が禁止された。その後間もなく、イースたちが所属するASB連隊が組織されることとなる。
●ASB連隊
史上初めて、国連が直接組織した軍隊。
世界的な脅威となった、SBにより引き起こされる事件の解決を目的としている。イースの所属する第12ASB大隊もその中の一つ。ASBの大隊にはそれぞれ1人ずつ超人が配属されており、大隊は超人と共闘して任務にあたる。尚、ASBとは「Anti Super-natural Being」の略。
◆『マリーベルは死んだとパパに伝えて』
■ストーリー
「バカな……嘘だろ」
それは突然の出来事だった。ある日、着の身着のまま、見知らぬ異世界に放りこまれる。一生のうちにたった一度でも、そんな体験をした人間はおそらくごく僅かだろう。そして、結果訪れた世界では、人型をした怪物(モンスター)が我が物顔で山野を跳梁し、中世のような城壁都市では魔法使いが手もふれずに病を癒す、となれば、心身ともに衝撃を感じるのはあたりまえだ。
正直、それは中学生が作文に描く安易な物語的世界のようで、語る自分でさえ気恥ずかしさを覚える。僕、草薙悠也はそれまで、れっきとした理系の学生であるだけでなく、自他共に認める重度のサイエンスフリークだった。だからもし他人からそんな話を聞かされたら、大笑いしつつ内心でそいつを愚かな妄想家と軽蔑したに違いない。
けれどそんな異常現象がいざわが身に降りかかってみると、これは一種異様なインパクトがある。
そして、僕はそういった、常識から外れた出来事には激しく動揺するタイプだった。なまじ科学を信奉しているぶん、とにかく理屈ぬきにダメなのだ。弱いのだ。
だから、こうしていまになってみれば理解できる。翠や子供たちの存在に、あの頃の僕は間違いなく救われていたのだと。予告もなしに、この世界へと落ちてきたその日から、僕は翠と二人、幼い子供たちをかかえ、ただひたすらに必死だった。
■キャラクター紹介
●草薙悠也(くさなぎ ゆうや) 21歳/183cm/67kg/11月18日生まれ
農業大学酪農学科在学。植物ウイルスの遺伝子組み換えが専門だが、高校までは理系全般なんでも来いの雑学系。危険物取扱者主任(乙3~6類)、毒物劇物取扱者、公害防止管理者(水質2種)、アマチュア無線3級、2級小型船舶等の資格を所持している資格マニアでもある。
メカミリから技術史まで、幅の広い理系オタクだった事が幸いして、異世界での新生活をどうにか豊富な知識で乗り切る。もっとも、性格的には地味で堅実(悪く言えばビビリ)なので、新たな環境に馴染むには苦労の連続だった。翠や子供たちと一緒でなければ、無事では済まなかったかもしれない。
子供達との新家庭では、メカミリの知識と剣道二段の腕を生かし、狩人(ハンター)として一家の生計を支える。年少の子供たちからは父親役を求められているのも承知しているが、まだその境地には至っていない。
●片瀬翠(かたせ みどり) 20歳/168cm/52kg/2月21日生まれ
理科大学数学科在学。コンピュータ(主にソフトウェア。得意言語はC、プロログ、デルファイ)に詳しい。数学基礎論・純粋数学が本業。専門バカなので関心のない分野についてはまったく無知で素人。家事は、ちょっとだけできる。
性格は、基本的に気が強いのだが、それは内面の脆さの裏返しでもある。なかなか懐かないが、信頼すると弱い部分を晒してしまうタイプの女性。しかし芯はやっぱり強い。異世界に赴いた際は、混乱するみなをまとめ、精神面でのリーダーシップを発揮する。もっとも、本人はかなり悠也に頼り切っているけれど。
新生活では、家を守りながら、同時に夜は都市の酒場で働き家計を助ける。子供たちにとっては頼れるお姉さんでありお母さん。その重荷を悠也と分け合うことを、案外気に入っている自分に驚いてもいる。
●橘由希子(たちばな ゆきこ) 17歳/157cm/48kg/6月17日生まれ
私立一貫校の女子高校在学。来年は学外の外語大を受験予定だった。詩や小説の好きな文系少女。好きな作家は堀田あけみ、佐々木丸美、眉村卓、ロジャー・ゼラズニィ。自分も将来はお嫁さんになって、趣味で文章を書いてみたいと思っていた。
異世界に来てからは、くじけそうになる心をじっとこらえて、家族のためにけなげに振る舞う。悠也や翠が不在な時には、お姉さんとして下三人の面倒をみている。家事は全般に得意で、特に料理は翠よりずっと手慣れている。ただし異世界の見知らぬ食材には手こずらされている。
●後藤田隆明(ごとうだ たかあき) 14歳/162cm/56kg/8月7日生まれ
公立中学校在学。元気のいい骨太な男の子。バスケットボール部所属。運動はなんでも大好き、勉強は文系理系を問わずに嫌いな肉体系。もっとも、機械いじりには興味がある。
あまり家庭環境に恵まれていなかったため、誰よりも先に異世界に馴染むことに。異世界からの落下者は魔法的素養に恵まれている場合が多いが、隆明はその才能に特に恵まれており、自ら弟子入りして魔法使いとしての修行をはじめる。過去の世界への未練をきっぱりと裁ち切り、自らの足で歩みだすのは六人の中で一番早い。
●小此木美香(おこのぎ みか) 12歳/147cm/37kg/9月11日生まれ
公立小学校在学。小学六年生にしてはとてもおませな女の子。また植物に詳しい。花が好き(両親が好きだったから)で、フラワーデザインのまねごとも出来る。異世界へ来てしまったのはショックだったが、それを隠して振る舞うくらいの分別はある。
隆明とは良いコンビで、互いに刺激し合いながら魔法使いを目指すことに。まだまだ幼いが、将来的には美人になりそうな美少女。
●利根冬樹(とね ふゆき) 9歳/130cm/28kg/12月18日生まれ
私立小学校在学の小学四年生。礼儀ただしい、口数の少ない少年。父親は自衛隊の士官で、祖父は第二次大戦の陸軍軍人の生き残り。幕末までたどれば華族の、由緒正しい家柄の生まれ。
異世界に来た、という現実をまだはっきりと受けとめきれずにいるが、口数が少ないため周囲には気がつかれない。心を開くのはわずかに由紀子だけで、その関係もまた周囲の知るところではない。人見知りだが、本当は、とても優しくて人懐こいところのある少年。
■世界観・用語案内
●サジェール大陸
異世界の大陸。地球世界のパンゲアに相当する存在。赤道直下から極地まで広がっており、大半は怪物(モンスター)の勢力圏。人類の生息域は2%ほどで、主に海岸と河川沿いに都市国家を形成している。怪物の領域に分断されているため、国家間の戦争はほとんど発生しない。
●ティレンダイン
サジェール大陸の西南部、梓川沿いに位置する都市国家。人口約二万五千、温帯夏雨気候に属し、主な産業は農業。城塞都市の中では怪物に襲われる危険がほぼ無いため、市民になるには登録料が必要である。悠也たちは落下者として、特例制度を用いてティレンダイン市民となる。
●落下者(フォーラー)
地球世界から異世界に来た者の総称。落下(フォール)は三次元をコピーするように発生するため、99%は物質的に元の世界と重なり合い、ほぼ即死する。悠也たちは残りの1%に属する例外。栄養状態のよい環境で高等教育を受けている場合が多いので、人材として重用されている。魔法的資質を有している場合も多い。落下(フォール)は物質全てに発生するため、地球世界の技術で作られた各種道具は貴重品として高値で売買されている。
●怪物(モンスター)
この世界の本来は主役であった動物の総称。異世界の生命相は白亜紀からジュラ紀に近く、多くは大変力強い。地球と異なりD型のアミノ酸によって構成される怪物が存在しているため、食用可能な物とそうでない物に分けられる。
●狩人(ハンター)
耕地面積の限られた都市国家では畜産が容易ではないため、動物性タンパクの多くは都市外で狩人たちが捕らえた怪物によってまかなわれている。高収入だが危険の多い仕事であり、社会的地位はあまり高くない。悠也はこの仕事について、都市登録料の借金を返済しようとする。
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『アルカディアの灯火』は2月27日配信予定で、価格は1,000円(税抜)。DMM.com専売です。
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