2014年12月にXbox Oneで発売された、アドベンチャーゲーム『CHAOS;CHILD』のPS3/PS4/PS Vita版が6月25日に発売されます。本作は科学アドベンチャーシリーズ第4弾で、シリーズ第1作『CHAOS;HEAD NOAH』の6年後を描いた作品です。
既にプレイレポート記事には作品の概要や魅力については触れていますが、今回はPS版の発売を記念し、MAGES.の松原達也氏と若林漢二氏にインタビューを実施。改め本作の魅力や、エグさの秘密、そしてPS版の特典やアニメ化について語っていただきました。
◆このエグはどこから来るのか
――まずはお二人のご担当からお願いします。
若林:演出の若林と申します。ゲーム全般のグラフィック面の部分を主に担当しました。プレイ画面やイベント絵などの画面設計、画像の表示タイミングや消すタイミング、SEや音楽との連携といった、映像面での演出を見ております。
松原:僕はプロデューサーですので、メインの業務は企画と全体の統括、予算の管理やスタッフィングになります。ただし、このシリーズはほかのタイトルは少し違っていまして、原作は志倉が作りますのでそこから降りてきたネタをゲームとして落とし込むために設計するのが仕事の中心となります。それに手に入れる形で演出していくのが若林ですね。僕が総監督で、若林が舞台監督、みたいな感じですかね。
――志倉さんがアドベンチャーゲームは原作だとおっしゃられていましたが、Xbox Oneで出て、いよいよPSハード版も出るというこのタイミングで振り返ってみて、本作の完成度はいかがですか。
松原:Xbox One版を仕上げた時から「これは相当いいものを作ったぞ」という意識はありました。
若林:作りながら試行錯誤の連続で、最後までもっとできることがあるのではないなと思いながら作っていました。でも発売後の反響をみたらそれが皆さんに伝わったようで、報われたかなと。プレイしてくださった皆さんが『CHAOS;CHILD』の制作陣は頭がおかしいとか気が狂っているとか言ってくれたのが嬉しくて……(笑)。
――いやほんと、僭越ながら……狂っていると思いました。既に公開されているプレイレポートも私が書いたんですが、タイトルに「本作の作り手たちはどうかしている」って付けさせていただきました。冒頭の事件がもう印象的で、始めて10分くらいで「これ作っているやつ頭おかしいだろ」と(笑)。
若林:ありがとうございます(笑)。もし現実で似たような事件が起きてしまったりすると、シナリオがカットされる可能性もありましたので、運がいいといいますか、世の中が平和でよかったです。
――科学ADVシリーズって何かとエグい出来事が多いと思うんですが、今回は全体を通してかなりにエグいじゃないですか。この精神的に来るエグさはどこから来ているんでしょうか。
松原:まず猟奇殺人が起こって、それを解決しながら成長していく主人公が居て、そこに事件のエグさと主人公の立ち位置……例えば、自分で情強(情報強者の略)と言っていたり、渋谷やネットという主人公の周りを取り巻く環境などがありますが、その中である意味事件や人の死といったものをふざけた感じで軽く扱ってしまうような人たちがいるといった世界観なのですが…。このエグさはおそらくそこから来ていると思います。リアルでもそうですよね。殺人事件などが起きたとしても、それをあざ笑うような書き込みがあったり、SNSに写真を上げてしまったり。そういった現代の世相を反映したリアルな世界観なので、そこの振れ幅が大きければ大きいほど、ユーザーに伝わるものが印象に残るようになると思うんです。事件はよりヒドく。主人公たちの立ち位置はより軽く。そういったギャップは意識して作っています。
――今回の主人公は、これまでの作品に比べて一般受けしやすい性格になっていると思うのですが、その辺の狙いもお聞きしてよろしいですか。普通にいいヤツだなと思って。
松原:そうですね。今回の主人公はひと言でいうなら……。
若林:アクティブなオタク(笑)。
松原:『CHAOS;HEAD』は鬱々としたオタクだったので、そことの差別化という意味もありましたし、いまどきのユーザーさんにより近い主人公像にしたかったんです。今の子たちって、割とアクティブにいろいろんなところに行って遊んだりしているので。そういった主人公の方がより身近に感じてもらえるだろうと。
――確かに。僕も高校生ぐらいの時は、彼と似たことを考えていた気がするので、とても親しみやすかったです。そんな彼……いわば”未熟な探偵”を描くのってとても難しいと思うんですが、演出面で特に注意したポイントなどはありますか。
若林:まず性格設定として「オタク特有の好奇心」を持たせています。で、本人は情強って言っていますけど、それゆえに情報を人より得たいんです。そうすることで優越感を得たいという気持ちがアクティブさにつながって、探偵まがいのことをしてしまう。という一貫性を突き通すことですかね。普通の人はまぁ、そこまでしないでしょうけどね(笑)。
――でもこういうのって妄想したくなりますよね。
若林:そうなんですよね。こうしたらどうなってしまうんだろう? というのは結構想像しちゃいますよね。特に厨二の子たちとかは……(笑)。
――そこを描くのが毎回とてもうまいなと思っていました。今回も印象深かったです。
若林:ありがとうございます。きっと自分の厨二マインドが……(笑)。
◆アドベンチャーゲームというメディア
――若林さんはアニメ畑の方だと伺っています。その辺のお話もお聞きしてよろしいでしょうか。これまではゲーム制作はされていなかったのでしょうか。
若林:アニメ業界に入って、初めてやった仕事はゲームのアニメーションだったんです。
――松原さんは若林さんと一緒にお仕事をされていかがでしたか。
松原:映像制作から入られている方ですので一緒に仕事をしてみてすごく勉強になりました。ゲーム業界……特にアドベンチャーゲームって、絵はありますけど基本的に静止画ですので、アニメや映画のような映像面にはあまり踏み込めていない人たちが多かったんです。『CHAOS;CHILD』は若林さんからの要望もあって、最初から「ちゃんとカメラで撮っているような」演出をやりたいと。絵作りがそこからスタートしているので、今作も基本静止画中心ではあるのですが、それでも今までとは全然違っていて。若林さんの要求に応えるのは大変なのですが、やった甲斐はあったと思っています。アドベンチャーゲームの演出方法として一段進化したかなとは思っています。
――アドベンチャーゲームの新しい手法が今回見つかった、という感じでしょうか。
若林:そうなっていればいいと思います。
松原:まだ探り探りな面もありますので、発展途上ではあるのですが。
――他に今回取り組んだ新しい試みなどあれば教えていただきたいのですが。
松原:ユーザーインターフェースを含めて、なるべくゲームがシームレスに連なっていくように設計しました。わかりやすい所でいうとメニュー画面に行くのにも、画面を切り替えずにカメラが引くような動きをしたりとか。そうすることで、ユーザーの立ち位置とゲームの世界観に壁を隔てずに地続きにできるかなと考えていて。そういった細かい要素の積み重ねが、没入感を増すのではないかなと。
――没入感にもこだわっていると。
若林:作品世界にのめり込み続けてもらうため「素に戻っちゃうような要素は外す」という仕掛けをしていくということですね。
――では、ボタンを押さないと話が進まないけれど、押したらエグい展開が待っている、でも押したい……みたいなテンポ感はどのように設計されたのでしょうか。
若林:アニメに近い方法でやっています。アニメにはボタンでの入力はないので、誰でも一定の速度で時間が流れていきます。視聴者の意思が介在しないわけですよね。ですので、アニメでは「自分がこの状況を生み出してしまっているのだ」と思わせることはできないのですが、「物語を自分でコントロール」できるのがゲームなので、そのタイミングをいかに自然に見せるか。人間の生理的な部分に訴えて、感覚として自然に見えるもの、入ってきやすいものを作ろうと。そうした土壌はアニメ制作で培われた技術だと思ってます。「ここで人はカットを切り替えたくなる」というような。
――本作はまず一本道のノーマルルートをプレイして、以降の周回から各ルートに分岐して……という構造がこれまたエグいんですが、ルート分けについてもお聞きしてよろしいですか。
松原:本作の分岐構造としてまずノーマルルートがあって個別ルートがありますが、まず、そのノーマルルートを踏まえないと個別ルートが成り立たないストーリーになっています。そして、さらにノーマルルートのエピソードや個別ルートのエピソードを拓留が全部背負っうえでないと、トゥルーに行く感情や情熱を持ち合わす事ができないのではないかという話をライター陣と話あって、このような構造になっています。
――その部分はゲーム特有の要素ですよね。主人公とユーザーの経験がシンクロするというか。特に今回は、エンディングを知った上でもう一度最初から見せられるのが苦行でした…あ、いい意味で。
松原:その部分は面倒といえば面倒なんですが、その分クライマックスのカタルシスは存分に感じられる作りになっているのではないかと思います。
若林:ひと昔前のアドベンチャーゲームは、ボタンを押すことが作業的で、ある意味苦行じみたものもあったりしましたが、それとは違う心の中の部分での苦行といいますか(笑)。
松原:ドラマとしての苦行ですよね。感情的にこれ以上見ていられない、救いがほしい、と。そう感じていただけるよう作りこんでいます。
――この苦行の部分って実際にプレイしないと終わらないですよね。きっとプレイ動画とかじゃダメなんだと思います。
若林:ありがとうございます。まったくそのとおりだと思います。
――力士シールもそうなんですが、猟奇殺人の殺し方の手口や、科学部分の難しい話というのはどういう風に作られているのですか。
若林:ストーリーの根幹の部分は志倉が作るのですが、僕も最初は現実とのリンクといったギミックが掴めていなくて、よく調べたり詳しい人に聞いたりしていました。僕が最初に参加したのは2年くらい前ですが、力士シールのネタはちょっと遅いというか、コンテンツとしては古いんじゃないか?とも思ったんですよ。別の作品で似たようなのが使われたりもしていたので、なぜここで力士シールなんだろうとは思ったりしていて。
松原:もともと流行ったのが2005年ぐらいなので、確かに古いといえば古いのですが、探せばあるところには残っているんですよ。ロケハンの時などに渋谷でも探してみたのですが残念ながら1枚も見つけられませんでしたが、秋葉原や銀座では何枚か見つけられました。もしユーザーの方が力士シールが気になったとしてネットで調べてみると、実際に出てくる。多少過去のものでも本当にあったものなんだということが分かると、そこでもリアリティが一段増すかなと考えています。
若林:今ってちょうど残存率がいい感じで、「注意して探せば見つかる」くらいの感じなんですよね。
松原:しかもいい具合に朽ち果てているのが多い(笑)。
――今リアリティという単語が出てきましたが、某動画サイトのようなシーンも意識されているということですか。
松原:自分もそうなんですが、今ってネットと生活が切り離せないって人が多いと思うんです。最初の事件の動画サイト風の演出を始めとして、他にもさまざまなSNSやメッセンジャーなど、今のユーザーさん達が普通に使っているツールやサイトはなるべくリアルになるように演出しています。普段見慣れた画面が作品内に出てくることによってより身近にリアリティをもって受け入れてもらえると。
――また科学ADVシリーズといえば、パッと見は凄くカジュアルなんですけど、いつも中身は濃いじゃないですか。その品といいますか、エロではない違うものに拘るポイントなどもお伺いできればと。今回もパンツみたいなお色気要素は全然ないですよね。
松原:今作では最初から「パンツを見せない」というルールで行こうと決めていました。お色気要素がぜんぜん無いわけではなくて、絵で見せるような直接的な描写は極力さけて、ユーザーの妄想力を存分に発揮してもらうようなシチュエーションに拘っています。カメラからは見切れているけどその先は明らかに見えているという風に作った方が妄想力を発揮しますよね。そこも「妄想」をテーマにしている本作のこだわりです。
――「妄想科学ADV」の「妄想」にはいろいろな意味があるんですね(笑)。あと、今回は他のシリーズ作品よりスケールが小さめですよね。300人委員会が暗躍して……とか色々あった気がします。それに対して、今回は最小のスケールで最大を描いているように感じました。
若林:科学ADVって舞台となる場所からあまり出ないシリーズですし、渋谷を描くとこうなるかなと。現実としての空間よりも、ネット上での広がりとか、情報が拡散していく様とか、人間の脳内での情報や感覚の変容とかそういうことの方をテーマにしていて、それが今の現実に即していると考えました。熱心なファンの方は聖地巡礼をしたりもしますけれど、現在はまずネットで情報を得る方のほうがメインだと思いますし。そういう意味では、現実での広がり方より、ネットでの広がり方の方がテーマとしてはリアリティがあるのかなと。
――キャラクターデザインも科学ADVシリーズの魅力の一つですが、毎回それぞれの作品にこのうえなくマッチしている印象を受けます。その辺も意識されているんですか。
松原:そうですね、ささきさんの描く女の子はホントにかわいくて、そのかわいいキャラクター達が巻き込まれる残酷な事件とのギャップが作品として面白いかなと。これが例えば劇画調だったりすると作品の雰囲気が全然違ってきますよね。僕らが作る作品は毎回なんらかのギャップをデザインに込めています。
そこが作品の内容とある意味マッチしているのではないかなと思います。
――実際にそのキャラクターを使って演出をされてみていかがでしたか。
若林:確かに……かわいい絵柄でエグいことをするのは楽しかったです(笑)。エグさもかわいらしさもより強調されましたからね。それが「気が狂っている」と言われる由縁でもあるのでしょうが……(笑)。
松原:まぁやっていて楽しかったですよね(笑)。
――少し話はそれますが、アドベンチャーゲームを手がけられている方から「最近の若者は字を読まない」と話を聞いたりするのですが、その辺はどう感じられていますか。
若林:むしろ、よく読んでくれますよね。
松原:ホント、このボリュームですからね(笑)。
――全部やったら50時間くらいですかね。
若林:ストレートにいけばそのくらいだと思います。デバッグしながらだともっとかかるのですが(笑)。
――少し前、志倉さんが「アドベンチャーゲームにゲーム性は必要ない」という感じのことをおしゃっていましたが、みなさんは実際にどのようにお考えですか。
松原:アドベンチャーゲームはよく紙芝居でゲームじゃないと揶揄されますが、それは当然その通りだと思います。他のアクションゲームとかと比べると、ユーザーが介入する余地が確実に少ないですし、画面に動きも少ない。ただ、圧倒的なテキスト量やグラフィック、音声での演出によって映画よりも深く、小説より動的に物語を綴れると考えています。そういった面からアドベンチャーゲームは深く物語を語るメディアとして優れていると考えています。
そこにゲーム性というものを介在させるなら、分岐やその他の手法によって「物語をコントロールしている気分になれる」部分だけでいいのかなと思っています。
◆例の箱やドラマCDに迫る
――PSプラットフォームで出すタイミングは図られていたのでしょうか。
松原:Xbox One版の発売日に、渋谷で力士シールを貼りながら練り歩くイベントをやっていたのですが、あの時に何人かのユーザーさんから「Xbox Oneを持っていないけどソフト買っちゃいました」と話しかけて頂きまして。そのきっかけもあって、PSハード版も作ろうと決めました。その時点から最速で開発できたのが今回のタイミングとなります。
――プレイしていると気がつくと思うのですが、本作って様々なところにネタバレがあったじゃないですか。パッケージ、公式サイト、テーマ曲の歌詞などなど……。そのネタバレの線引きはどう考えておられますか。
若林:作っているときはあまり気にしていなかったですね。これは言っちゃいけないだろうという線引きはありますけど、歌詞やキービジュアルを見てというものは「言われてみれば確かに」と我々ですら思っているくらいなので、プレイしなければ分からないというものだと思っています。歌詞は志倉がいつも書いていますが、我々も後から気がついたりするくらいで……。「あ、ネタバレだこれ」って(笑)。
――ビジュアルでは皆がディソードを持っていますが、実際に遊んでみるとそこもネタバレになっていなくて。そのさじ加減がすごくうまいなと。PS版でもたくさん仕込んでいるんですか。
若林:新たに遊んでくれる人たちは、同じ気持ちを味わってくれるのではないかなと。今回は広告とかでも、事件に関しては割と明かしちゃっていますしね。「あれ、これ言っちゃいけないんじゃないの?」とか思いながら見ていたりするんですけれども(笑)。でも、「ここをバラしても、物語の根幹の楽しさにはかかわることではないのかな」とも思ったり。個々の事件の猟奇性というものは、この作品の一部の要素でしかなかったりします。本作はあくまで人間の心を描いている作品ですので。
――今後PSハード版が出るわけですが、既存のユーザーからしたらドラマCDが気になるところかと思います。ドラマCDについてお伺いできますか。
若林:僕、まだ聞けてないんですよね……。
松原:僕も完成版は聞けてない(笑)。収録には立ち会っていますし、台本も見ていますので内容は知っていますが…。Xbox ONE版の作成時にボリュームの問題から泣く泣くカットした澪の物語があって、それをベースにドラマCDにしています。澪の研究所時代のエピソードが収録されています。
若林:ネットを見ていると澪ファンって結構多かったので……それならばドラマCDで描こうかと。
――あとはPS版といえば、あの箱ですよね。新規の方は分からないと思うんですけど、あの箱もよく作ったなぁと。これを思いついた人も頭おかしいと思うんですが、誰が思いついたんですか。
松原:僕です(笑)。まあ、あんまり煽るのもアレなんですが、まだプレイしていない人は当然意味が分からないわけですよね。それがプレイしたことある人は意味が分かる仕掛けになっている。そこが面白いかなと思って特典の一つにしました。
――PSユーザーがプレイして気づくのが怖いですよね。いや、反応を見るのは楽しみなんですが。
若林:後から知ったら立ち直れないかもしれませんね(笑)。
◆このエグさ、アニメではどうする?
――あとは、早くもアニメ化が告知されていますが、進展とか出せる情報がありましたら。
松原:進展とか時期など正直、話せることはまだなにもありません。ただ、僕の個人的な希望としては、妄想がテーマの作品なので、ゲーム同様直接描くのではなく視聴者に妄想させるような描き方をして欲しいなと考えています。たぶんその方がエグくなる作品だと思いますので。
――制作には若林さんも参加されるんですか。
若林:恐らく……!でも、僕がやると相当エグいものになるのではないかと(笑)。直接描写せずに想像させて、みなさんを立ち直れなくさせるヤツを作ろうと思います(笑)。
――それエグさ増していますよ(笑)。
若林:またなんか非難を受けるような感じが予想されますね……(笑)。
――もし科学ADVシリーズを未プレイの方がこれから入るとしたら、最初の作品としてオススメはありますか。
松原:『CHAOS;HEAD NOAH』と『CHAOS;CHILD』はサイコサスペンス。『ROBOTICS;NOTES』は青春群像劇、『STEINS;GATE』はタイムトラベルものとそれぞれ解りやすいテーマがありますので趣味に合いそうなものを手に取っていただければと思います。僕らとしては「これから遊ぶといい」というような順番などはつけていないつもりです。
若林:『CHAOS;CHILD』も言ってみれば青春群像劇かも……(笑)。
松原:サワヤカだなー!
――最後に楽しみにしているユーザーさんにメッセージをお願いします。
松原:おかげさまで高い評価をして頂いていまして嬉しいかぎりです。まだ遊んでいない方も体験版が配信されていますので、ぜひダウンロードして発売日まで遊んで頂けると嬉しいです。また、各地でコラボカフェや配付会などやっていますのでお近くの方は是非遊びに来てください。情報は随時公式サイトやツイッターなどに上がっていますのでチェックしてみてくださいね。
若林:……みなさんあまり責めないでください。あとはそうですね……ひと言で言えば「プレイすれば分かる!」ということなのですが、拓留は“ヒーロー度”が高いんですよ。科学ADVシリーズの主人公はみんなかっこいいですけど、彼はその中でも一番かもしれない。最後まで遊んでいただければそれが分かると思います。そういうところも見てほしいです。狂っているだけじゃないんだよ!!と(笑)。
――ありがとうございました。
既にプレイレポート記事には作品の概要や魅力については触れていますが、今回はPS版の発売を記念し、MAGES.の松原達也氏と若林漢二氏にインタビューを実施。改め本作の魅力や、エグさの秘密、そしてPS版の特典やアニメ化について語っていただきました。
◆このエグはどこから来るのか
――まずはお二人のご担当からお願いします。
若林:演出の若林と申します。ゲーム全般のグラフィック面の部分を主に担当しました。プレイ画面やイベント絵などの画面設計、画像の表示タイミングや消すタイミング、SEや音楽との連携といった、映像面での演出を見ております。
松原:僕はプロデューサーですので、メインの業務は企画と全体の統括、予算の管理やスタッフィングになります。ただし、このシリーズはほかのタイトルは少し違っていまして、原作は志倉が作りますのでそこから降りてきたネタをゲームとして落とし込むために設計するのが仕事の中心となります。それに手に入れる形で演出していくのが若林ですね。僕が総監督で、若林が舞台監督、みたいな感じですかね。
――志倉さんがアドベンチャーゲームは原作だとおっしゃられていましたが、Xbox Oneで出て、いよいよPSハード版も出るというこのタイミングで振り返ってみて、本作の完成度はいかがですか。
松原:Xbox One版を仕上げた時から「これは相当いいものを作ったぞ」という意識はありました。
『STEINS;GATE』もすごく評価していただけたのですが、それとは違う切り口の作品で、それと並ぶくらいのものにできたという自信はありました。それがちゃんとXbox Oneのユーザーさんに評価されたとうのはすごく嬉しいです。
若林:作りながら試行錯誤の連続で、最後までもっとできることがあるのではないなと思いながら作っていました。でも発売後の反響をみたらそれが皆さんに伝わったようで、報われたかなと。プレイしてくださった皆さんが『CHAOS;CHILD』の制作陣は頭がおかしいとか気が狂っているとか言ってくれたのが嬉しくて……(笑)。
――いやほんと、僭越ながら……狂っていると思いました。既に公開されているプレイレポートも私が書いたんですが、タイトルに「本作の作り手たちはどうかしている」って付けさせていただきました。冒頭の事件がもう印象的で、始めて10分くらいで「これ作っているやつ頭おかしいだろ」と(笑)。
若林:ありがとうございます(笑)。もし現実で似たような事件が起きてしまったりすると、シナリオがカットされる可能性もありましたので、運がいいといいますか、世の中が平和でよかったです。
――科学ADVシリーズって何かとエグい出来事が多いと思うんですが、今回は全体を通してかなりにエグいじゃないですか。この精神的に来るエグさはどこから来ているんでしょうか。
松原:まず猟奇殺人が起こって、それを解決しながら成長していく主人公が居て、そこに事件のエグさと主人公の立ち位置……例えば、自分で情強(情報強者の略)と言っていたり、渋谷やネットという主人公の周りを取り巻く環境などがありますが、その中である意味事件や人の死といったものをふざけた感じで軽く扱ってしまうような人たちがいるといった世界観なのですが…。このエグさはおそらくそこから来ていると思います。リアルでもそうですよね。殺人事件などが起きたとしても、それをあざ笑うような書き込みがあったり、SNSに写真を上げてしまったり。そういった現代の世相を反映したリアルな世界観なので、そこの振れ幅が大きければ大きいほど、ユーザーに伝わるものが印象に残るようになると思うんです。事件はよりヒドく。主人公たちの立ち位置はより軽く。そういったギャップは意識して作っています。
――今回の主人公は、これまでの作品に比べて一般受けしやすい性格になっていると思うのですが、その辺の狙いもお聞きしてよろしいですか。普通にいいヤツだなと思って。
松原:そうですね。今回の主人公はひと言でいうなら……。
若林:アクティブなオタク(笑)。
松原:『CHAOS;HEAD』は鬱々としたオタクだったので、そことの差別化という意味もありましたし、いまどきのユーザーさんにより近い主人公像にしたかったんです。今の子たちって、割とアクティブにいろいろんなところに行って遊んだりしているので。そういった主人公の方がより身近に感じてもらえるだろうと。
――確かに。僕も高校生ぐらいの時は、彼と似たことを考えていた気がするので、とても親しみやすかったです。そんな彼……いわば”未熟な探偵”を描くのってとても難しいと思うんですが、演出面で特に注意したポイントなどはありますか。
若林:まず性格設定として「オタク特有の好奇心」を持たせています。で、本人は情強って言っていますけど、それゆえに情報を人より得たいんです。そうすることで優越感を得たいという気持ちがアクティブさにつながって、探偵まがいのことをしてしまう。という一貫性を突き通すことですかね。普通の人はまぁ、そこまでしないでしょうけどね(笑)。
――でもこういうのって妄想したくなりますよね。
若林:そうなんですよね。こうしたらどうなってしまうんだろう? というのは結構想像しちゃいますよね。特に厨二の子たちとかは……(笑)。
――そこを描くのが毎回とてもうまいなと思っていました。今回も印象深かったです。
若林:ありがとうございます。きっと自分の厨二マインドが……(笑)。
◆アドベンチャーゲームというメディア
――若林さんはアニメ畑の方だと伺っています。その辺のお話もお聞きしてよろしいでしょうか。これまではゲーム制作はされていなかったのでしょうか。
若林:アニメ業界に入って、初めてやった仕事はゲームのアニメーションだったんです。
初代プレイステーションの『やるドラ』という作品に携わったのが最初かな。アニメを作りつつ、ちょっと離れたところからゲーム全体も見つつ……というような感じでやっていました。
――松原さんは若林さんと一緒にお仕事をされていかがでしたか。
松原:映像制作から入られている方ですので一緒に仕事をしてみてすごく勉強になりました。ゲーム業界……特にアドベンチャーゲームって、絵はありますけど基本的に静止画ですので、アニメや映画のような映像面にはあまり踏み込めていない人たちが多かったんです。『CHAOS;CHILD』は若林さんからの要望もあって、最初から「ちゃんとカメラで撮っているような」演出をやりたいと。絵作りがそこからスタートしているので、今作も基本静止画中心ではあるのですが、それでも今までとは全然違っていて。若林さんの要求に応えるのは大変なのですが、やった甲斐はあったと思っています。アドベンチャーゲームの演出方法として一段進化したかなとは思っています。
――アドベンチャーゲームの新しい手法が今回見つかった、という感じでしょうか。
若林:そうなっていればいいと思います。
松原:まだ探り探りな面もありますので、発展途上ではあるのですが。
次作とかその次にも、どんどん活かしていければいいなと。
――他に今回取り組んだ新しい試みなどあれば教えていただきたいのですが。
松原:ユーザーインターフェースを含めて、なるべくゲームがシームレスに連なっていくように設計しました。わかりやすい所でいうとメニュー画面に行くのにも、画面を切り替えずにカメラが引くような動きをしたりとか。そうすることで、ユーザーの立ち位置とゲームの世界観に壁を隔てずに地続きにできるかなと考えていて。そういった細かい要素の積み重ねが、没入感を増すのではないかなと。
――没入感にもこだわっていると。
若林:作品世界にのめり込み続けてもらうため「素に戻っちゃうような要素は外す」という仕掛けをしていくということですね。
――では、ボタンを押さないと話が進まないけれど、押したらエグい展開が待っている、でも押したい……みたいなテンポ感はどのように設計されたのでしょうか。
若林:アニメに近い方法でやっています。アニメにはボタンでの入力はないので、誰でも一定の速度で時間が流れていきます。視聴者の意思が介在しないわけですよね。ですので、アニメでは「自分がこの状況を生み出してしまっているのだ」と思わせることはできないのですが、「物語を自分でコントロール」できるのがゲームなので、そのタイミングをいかに自然に見せるか。人間の生理的な部分に訴えて、感覚として自然に見えるもの、入ってきやすいものを作ろうと。そうした土壌はアニメ制作で培われた技術だと思ってます。「ここで人はカットを切り替えたくなる」というような。
――本作はまず一本道のノーマルルートをプレイして、以降の周回から各ルートに分岐して……という構造がこれまたエグいんですが、ルート分けについてもお聞きしてよろしいですか。
松原:本作の分岐構造としてまずノーマルルートがあって個別ルートがありますが、まず、そのノーマルルートを踏まえないと個別ルートが成り立たないストーリーになっています。そして、さらにノーマルルートのエピソードや個別ルートのエピソードを拓留が全部背負っうえでないと、トゥルーに行く感情や情熱を持ち合わす事ができないのではないかという話をライター陣と話あって、このような構造になっています。
――その部分はゲーム特有の要素ですよね。主人公とユーザーの経験がシンクロするというか。特に今回は、エンディングを知った上でもう一度最初から見せられるのが苦行でした…あ、いい意味で。
松原:その部分は面倒といえば面倒なんですが、その分クライマックスのカタルシスは存分に感じられる作りになっているのではないかと思います。
若林:ひと昔前のアドベンチャーゲームは、ボタンを押すことが作業的で、ある意味苦行じみたものもあったりしましたが、それとは違う心の中の部分での苦行といいますか(笑)。
松原:ドラマとしての苦行ですよね。感情的にこれ以上見ていられない、救いがほしい、と。そう感じていただけるよう作りこんでいます。
――この苦行の部分って実際にプレイしないと終わらないですよね。きっとプレイ動画とかじゃダメなんだと思います。
若林:ありがとうございます。まったくそのとおりだと思います。
――力士シールもそうなんですが、猟奇殺人の殺し方の手口や、科学部分の難しい話というのはどういう風に作られているのですか。
若林:ストーリーの根幹の部分は志倉が作るのですが、僕も最初は現実とのリンクといったギミックが掴めていなくて、よく調べたり詳しい人に聞いたりしていました。僕が最初に参加したのは2年くらい前ですが、力士シールのネタはちょっと遅いというか、コンテンツとしては古いんじゃないか?とも思ったんですよ。別の作品で似たようなのが使われたりもしていたので、なぜここで力士シールなんだろうとは思ったりしていて。
松原:もともと流行ったのが2005年ぐらいなので、確かに古いといえば古いのですが、探せばあるところには残っているんですよ。ロケハンの時などに渋谷でも探してみたのですが残念ながら1枚も見つけられませんでしたが、秋葉原や銀座では何枚か見つけられました。もしユーザーの方が力士シールが気になったとしてネットで調べてみると、実際に出てくる。多少過去のものでも本当にあったものなんだということが分かると、そこでもリアリティが一段増すかなと考えています。
若林:今ってちょうど残存率がいい感じで、「注意して探せば見つかる」くらいの感じなんですよね。
松原:しかもいい具合に朽ち果てているのが多い(笑)。
――今リアリティという単語が出てきましたが、某動画サイトのようなシーンも意識されているということですか。
松原:自分もそうなんですが、今ってネットと生活が切り離せないって人が多いと思うんです。最初の事件の動画サイト風の演出を始めとして、他にもさまざまなSNSやメッセンジャーなど、今のユーザーさん達が普通に使っているツールやサイトはなるべくリアルになるように演出しています。普段見慣れた画面が作品内に出てくることによってより身近にリアリティをもって受け入れてもらえると。
――また科学ADVシリーズといえば、パッと見は凄くカジュアルなんですけど、いつも中身は濃いじゃないですか。その品といいますか、エロではない違うものに拘るポイントなどもお伺いできればと。今回もパンツみたいなお色気要素は全然ないですよね。
松原:今作では最初から「パンツを見せない」というルールで行こうと決めていました。お色気要素がぜんぜん無いわけではなくて、絵で見せるような直接的な描写は極力さけて、ユーザーの妄想力を存分に発揮してもらうようなシチュエーションに拘っています。カメラからは見切れているけどその先は明らかに見えているという風に作った方が妄想力を発揮しますよね。そこも「妄想」をテーマにしている本作のこだわりです。
――「妄想科学ADV」の「妄想」にはいろいろな意味があるんですね(笑)。あと、今回は他のシリーズ作品よりスケールが小さめですよね。300人委員会が暗躍して……とか色々あった気がします。それに対して、今回は最小のスケールで最大を描いているように感じました。
若林:科学ADVって舞台となる場所からあまり出ないシリーズですし、渋谷を描くとこうなるかなと。現実としての空間よりも、ネット上での広がりとか、情報が拡散していく様とか、人間の脳内での情報や感覚の変容とかそういうことの方をテーマにしていて、それが今の現実に即していると考えました。熱心なファンの方は聖地巡礼をしたりもしますけれど、現在はまずネットで情報を得る方のほうがメインだと思いますし。そういう意味では、現実での広がり方より、ネットでの広がり方の方がテーマとしてはリアリティがあるのかなと。
――キャラクターデザインも科学ADVシリーズの魅力の一つですが、毎回それぞれの作品にこのうえなくマッチしている印象を受けます。その辺も意識されているんですか。
松原:そうですね、ささきさんの描く女の子はホントにかわいくて、そのかわいいキャラクター達が巻き込まれる残酷な事件とのギャップが作品として面白いかなと。これが例えば劇画調だったりすると作品の雰囲気が全然違ってきますよね。僕らが作る作品は毎回なんらかのギャップをデザインに込めています。
そこが作品の内容とある意味マッチしているのではないかなと思います。
――実際にそのキャラクターを使って演出をされてみていかがでしたか。
若林:確かに……かわいい絵柄でエグいことをするのは楽しかったです(笑)。エグさもかわいらしさもより強調されましたからね。それが「気が狂っている」と言われる由縁でもあるのでしょうが……(笑)。
松原:まぁやっていて楽しかったですよね(笑)。
――少し話はそれますが、アドベンチャーゲームを手がけられている方から「最近の若者は字を読まない」と話を聞いたりするのですが、その辺はどう感じられていますか。
若林:むしろ、よく読んでくれますよね。
松原:ホント、このボリュームですからね(笑)。
――全部やったら50時間くらいですかね。
若林:ストレートにいけばそのくらいだと思います。デバッグしながらだともっとかかるのですが(笑)。
――少し前、志倉さんが「アドベンチャーゲームにゲーム性は必要ない」という感じのことをおしゃっていましたが、みなさんは実際にどのようにお考えですか。
松原:アドベンチャーゲームはよく紙芝居でゲームじゃないと揶揄されますが、それは当然その通りだと思います。他のアクションゲームとかと比べると、ユーザーが介入する余地が確実に少ないですし、画面に動きも少ない。ただ、圧倒的なテキスト量やグラフィック、音声での演出によって映画よりも深く、小説より動的に物語を綴れると考えています。そういった面からアドベンチャーゲームは深く物語を語るメディアとして優れていると考えています。
そこにゲーム性というものを介在させるなら、分岐やその他の手法によって「物語をコントロールしている気分になれる」部分だけでいいのかなと思っています。
◆例の箱やドラマCDに迫る
――PSプラットフォームで出すタイミングは図られていたのでしょうか。
松原:Xbox One版の発売日に、渋谷で力士シールを貼りながら練り歩くイベントをやっていたのですが、あの時に何人かのユーザーさんから「Xbox Oneを持っていないけどソフト買っちゃいました」と話しかけて頂きまして。そのきっかけもあって、PSハード版も作ろうと決めました。その時点から最速で開発できたのが今回のタイミングとなります。
――プレイしていると気がつくと思うのですが、本作って様々なところにネタバレがあったじゃないですか。パッケージ、公式サイト、テーマ曲の歌詞などなど……。そのネタバレの線引きはどう考えておられますか。
若林:作っているときはあまり気にしていなかったですね。これは言っちゃいけないだろうという線引きはありますけど、歌詞やキービジュアルを見てというものは「言われてみれば確かに」と我々ですら思っているくらいなので、プレイしなければ分からないというものだと思っています。歌詞は志倉がいつも書いていますが、我々も後から気がついたりするくらいで……。「あ、ネタバレだこれ」って(笑)。
――ビジュアルでは皆がディソードを持っていますが、実際に遊んでみるとそこもネタバレになっていなくて。そのさじ加減がすごくうまいなと。PS版でもたくさん仕込んでいるんですか。
若林:新たに遊んでくれる人たちは、同じ気持ちを味わってくれるのではないかなと。今回は広告とかでも、事件に関しては割と明かしちゃっていますしね。「あれ、これ言っちゃいけないんじゃないの?」とか思いながら見ていたりするんですけれども(笑)。でも、「ここをバラしても、物語の根幹の楽しさにはかかわることではないのかな」とも思ったり。個々の事件の猟奇性というものは、この作品の一部の要素でしかなかったりします。本作はあくまで人間の心を描いている作品ですので。
――今後PSハード版が出るわけですが、既存のユーザーからしたらドラマCDが気になるところかと思います。ドラマCDについてお伺いできますか。
若林:僕、まだ聞けてないんですよね……。
松原:僕も完成版は聞けてない(笑)。収録には立ち会っていますし、台本も見ていますので内容は知っていますが…。Xbox ONE版の作成時にボリュームの問題から泣く泣くカットした澪の物語があって、それをベースにドラマCDにしています。澪の研究所時代のエピソードが収録されています。
若林:ネットを見ていると澪ファンって結構多かったので……それならばドラマCDで描こうかと。
――あとはPS版といえば、あの箱ですよね。新規の方は分からないと思うんですけど、あの箱もよく作ったなぁと。これを思いついた人も頭おかしいと思うんですが、誰が思いついたんですか。
松原:僕です(笑)。まあ、あんまり煽るのもアレなんですが、まだプレイしていない人は当然意味が分からないわけですよね。それがプレイしたことある人は意味が分かる仕掛けになっている。そこが面白いかなと思って特典の一つにしました。
――PSユーザーがプレイして気づくのが怖いですよね。いや、反応を見るのは楽しみなんですが。
若林:後から知ったら立ち直れないかもしれませんね(笑)。
◆このエグさ、アニメではどうする?
――あとは、早くもアニメ化が告知されていますが、進展とか出せる情報がありましたら。
松原:進展とか時期など正直、話せることはまだなにもありません。ただ、僕の個人的な希望としては、妄想がテーマの作品なので、ゲーム同様直接描くのではなく視聴者に妄想させるような描き方をして欲しいなと考えています。たぶんその方がエグくなる作品だと思いますので。
――制作には若林さんも参加されるんですか。
若林:恐らく……!でも、僕がやると相当エグいものになるのではないかと(笑)。直接描写せずに想像させて、みなさんを立ち直れなくさせるヤツを作ろうと思います(笑)。
――それエグさ増していますよ(笑)。
若林:またなんか非難を受けるような感じが予想されますね……(笑)。
――もし科学ADVシリーズを未プレイの方がこれから入るとしたら、最初の作品としてオススメはありますか。
松原:『CHAOS;HEAD NOAH』と『CHAOS;CHILD』はサイコサスペンス。『ROBOTICS;NOTES』は青春群像劇、『STEINS;GATE』はタイムトラベルものとそれぞれ解りやすいテーマがありますので趣味に合いそうなものを手に取っていただければと思います。僕らとしては「これから遊ぶといい」というような順番などはつけていないつもりです。
若林:『CHAOS;CHILD』も言ってみれば青春群像劇かも……(笑)。
松原:サワヤカだなー!
――最後に楽しみにしているユーザーさんにメッセージをお願いします。
松原:おかげさまで高い評価をして頂いていまして嬉しいかぎりです。まだ遊んでいない方も体験版が配信されていますので、ぜひダウンロードして発売日まで遊んで頂けると嬉しいです。また、各地でコラボカフェや配付会などやっていますのでお近くの方は是非遊びに来てください。情報は随時公式サイトやツイッターなどに上がっていますのでチェックしてみてくださいね。
若林:……みなさんあまり責めないでください。あとはそうですね……ひと言で言えば「プレイすれば分かる!」ということなのですが、拓留は“ヒーロー度”が高いんですよ。科学ADVシリーズの主人公はみんなかっこいいですけど、彼はその中でも一番かもしれない。最後まで遊んでいただければそれが分かると思います。そういうところも見てほしいです。狂っているだけじゃないんだよ!!と(笑)。
――ありがとうございました。
編集部おすすめ