二万年に渡る人と竜の戦いを描く『セブンスドラゴン』シリーズは、ニンテンドーDSから始まり、PSPへと受け継がれ、そして最新作となるニンテンドー3DSソフト『セブンスドラゴン3 code:VFD』にて、いよいよ最終決戦が展開します。

3つのプラットフォームに跨って綴られた壮大な物語の集大成となる『セブンスドラゴン3』。
もちろん見どころはストーリー面だけでなく、3人パーティを最大で3ユニット結成してダンジョン攻略に臨んだり、豊富なキャラメイクの更なるパワーアップなど、その魅力は多岐に渡ります。

そんな新要素の数々をはじめ、長きに渡る物語が本当に決着を迎えるのか、未だ姿を見せていない真竜は出現するのか、などなど気になる点も多々ある本作。また、結末を迎えることでシリーズそのものもフィナーレとなるのか。これらのポイントを、本作のディレクターを務める川端真之氏に直接伺ってきました。

◆物語はフィナーレを迎え、しかし『セブンスドラゴン』は終わらない

──お忙しいところすみません、よろしくお願いします。まずは、どのような立場で本作や本シリーズに関わっているのか、教えてください。

川端氏:前作『セブンスドラゴン 2020-II』から、セガの制作サイドのディレクションを担当しています。『セブンスドラゴン3』には立ち上げから携わっていますが、途中から開発のディレクションを担当することになりました。ゲームの内容に対する責任者ですね。

──長く続いた本シリーズが最終決戦を迎えるだけに、物語面の展開も気になるばかり。これまでは1作品で1つの世界を描いてきましたが、本作では3つの時代が舞台となります。この形を導入した経緯を訊かせていただけますか?

川端氏:今回で4作目となりますが、まず「物語をどうするか」と考えました。
これまでの話の中で、“東京”“アトランティス”“エデン”といった時代が(物語の中なども含め)出てきましたが、素直に続編を作ることを考えると「では、次はどの世界を舞台にしようか」となると思います。

──確かに。

川端氏:これまでの流れ通りならおそらく“東京”の物語になっていたと思います。でも、それでは前作とあまり変わらない印象になってしまうなと。『セブンスドラゴン』シリーズはもっと多くの人に楽しんでもらえる作品に育てていきたいので、もっと新しく、より広い世界を描いていくために、現在・過去・未来という既存の全ての世界を扱う物語にすることを決めました。

あと、『セブンスドラゴン』というタイトルからも分かる通り、7体の真竜を倒す物語になっているんですが、まだ4体しか出てきていないんです。これ以上、あまりお待たせするわけにもいかないなと(笑)。

──そこも、シリーズファンが関心を寄せる部分だと思います(笑)。

川端氏:最近のユーザーのプレイ感覚を踏まえると、のんびりし過ぎても良くないと思って。なので、ここで一度、隠していたものを全て出してしまおうと決めました。7体の真竜も全て出して、これまでの物語に区切りをつける。次があるならそこからはまた新しい『セブンスドラゴン』シリーズの展開を進めていこうと考えています。


あ、ちなみに真竜を全て出すというのは、シリーズを通した上でのことです。フォーマルハウトのように前作で完全に殲滅した真竜もいますので、真竜7体全てと戦闘があるということではありません。7体全ての名前が明らかになり真竜という存在について語られる、という意味です。

──7竜も物語も今回で全部出して、そして新たな『セブンスドラゴン』を始めたいと。

川端氏:はい。そのためにもこの世界の物語をまずは全てお見せします。どーんと(笑)

──なるほど。これまでの物語的には、本作でしっかりフィナーレを迎える。そして『セブンスドラゴン』シリーズ自体は、終わらないわけですね。

川端氏:お話としても、また決着という意味でも、今回が集大成なのは間違いありません。ちゃんと終わらせた上で、例えばこれまで語られなかった部分にフォーカスしたり、舞台となる世界・登場人物などを完全に一新させて、全く新たな7竜と人類の戦いを描いたり、そんな展開に繋げていきたいですね。

──新たな展開に踏み出すためにも、これまでの物語がしっかりと終わるわけなんですね。
大きな物語が終わると伺いましたが、この戦いに長く関わってきたエメルやアイテルも、ひとつの結末を迎えると思っていいのでしょうか。

川端氏:もちろんです。彼女たちの物語はエデンで語られていくことになります。エメルとアイテルはこのシリーズにとって非常に重要なキャラクターなので、ぜひ彼女たちの旅の結末を見届けてほしいと思っています。

──おお・・・! これまで辛い戦い続けてきただけに、エメルたちもちゃんと「終わり」を迎えられるというのは、なんだかホッとしますね。あとはできるだけ良い結末になっていることを祈るばかりです。

川端氏:良い結末かどうかはそれを受け取る側の捉え方にもよるのですが…なにしろ2万年も地球を見守ってきた二人なので(笑)。その想いを想像することは難しいですよね。

──終わってるけど終わってないというか、終われないというか、そんな人たちですよね。

川端氏:そうですね。これまでは「竜への憎しみ」と「人への愛情」という二つの強い想いを体現し、人類に知恵を授けてくれる役回りでしたが、今作ではそんな彼女たち自身にもフォーカスしていきます。ある意味エデン編での主人公とも言えるので、その展開にご期待ください。


──シリーズファンならば余計に見逃せない点ですね。ちなみに、その他での物語面の見どころなどを伺ってもよろしいでしょうか。

川端氏:舞台となる全ての時代が、竜の襲撃を受けて生き残りを賭けた戦いを繰り広げているという状況です。現在・過去・未来の全ての時空で人類は非常に厳しい局面に立たされているわけです。そこに主人公たちが訪問し、竜と対峙するという流れになるので、主人公たちはそれぞれの時代に突きつけられた竜災害に絶望している人々を勇気づけ、共に立ち向かうという展開になりますが、人類が時を越えて絆を紡ぎ絶望的なこの運命を打破していく姿はカタルシスがあると思います。

──絶望的な状況の中、主人公たちが行動し示すことで希望に繋がるわけですね。それは燃えそうです!

川端氏:しかも、その激戦の中で真竜たちの謎が少しずつ明らかになっていきます。なぜ地球ばかりこんなに真竜に襲われるのか、どうしたら全ての竜を狩り尽くしてこの絶望的な輪廻を終わらせることができるのか、ということも物語の中で語られていきます。

──人類の悲願にようやく辿り着く、と。

川端氏:はい。物語が進むと拠点にアトランティスやエデンの仲間が増えていくのですが、3つの時代の人類が協力することで見えてくる打開策もあるので、そこも見どころのひとつですね。

──時代を超えて力を合わせることで、竜に抗えるようになる。
それが人類の力なんですね。

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◆シリーズの集大成を目指す『セブンスドラゴン3』は、より自由に遊べるスタイルを追求

──続いて、ゲーム面についてお訊かせください。本作では3つの時代が登場しますが、各時代は自由に行き来できるのでしょうか。それとも物語の流れに沿う形で時代を移動するのでしょうか。

川端氏:マップの移動は、前作と同じイメージで考えてもらえると分かりやすいです。行き先は、展開に応じて追加されていきますが、移動可能になった後はワールドマップから手軽にいけるようになります。なので、過去・現在・未来にも行き来が可能ですし、UI上でもひとつにまとめてあるので、テンポよく移動できると思います。

──時代を超えるのも、ゲーム操作上では手軽なんですね(笑)。各地域へのアクセスのしやすさは、前作から継承されていると。

川端氏:はい。前作もテンポよく進めたので、そこは今作でも重視しています。

──システム周りもそうですが、3人パーティといった部分も前作から踏襲されてますよね。
その反面、パーティを3つ作り、別行動をさせたりバックアップさせたりと、最大9人によるダンジョン攻略が可能となる新システムも導入されましたが、この要素はかなり大胆な試みだなと感じました。

川端氏:戦闘システムに関しては、本当に悩みました。まずは(初代で採用した)4人パーティにするか、(PSP版で採用した)3人パーティでいくか。原点回帰の4人編成だと、安定感があるんですよね。少し余裕がある戦いができるといいますか。

──確かにそうでした。初代は、戦い方を見極めたり各キャラが育ってくると、安心して戦いに臨めました。

川端氏:3人パーティだと今度は、緊張感があっていいんですよね。厳しい戦いに勝利する手応えなども魅力です。ずっと、そのどちらを取るか、という視点で考えていたのですが、ある時、どちらにした場合もそれでは、前作と同じだなと思いました。

──ゲーム面でも、更なる刺激を用意したかったと。

川端氏:はい。そこで基本は3人パーティのバトルとしながらも、この3人パーティを3ユニット、計9人体制でダンジョンを攻略するというシステムを考案しました。今作は3つの時代を行き来すること、3つの時代に職業が存在することなど、数字の「3」がひとつのキーワードになっていますので自然とそこに集約していきました。下画面が使えるという理由からハードも3つめとなったというのも面白いなと思います。

各時代で追加されていく職業ごとに協力していく楽しさもありますし、更にもう一段階上にあるパーティがパーティを支援する、という面白さも味わえます。とはいえ、あくまで軸は「3人で敵に立ち向かう」という点なので、後衛の存在が前衛の行動を縛ってしまうと3人パーティの楽しさが失われます。ですから後衛の存在は極力シンプルに、出過ぎないように調整しています。

──後衛はプラスアルファ要素なんですね。

川端氏:はい。ですので、戦っている3人が死亡したらゲームオーバーです。戦闘中に後衛が前衛に出ることはできません。入れ替わりを可能にしたら敵のライフも3倍にしないといけないので(笑)。戦闘が無用に長引くのはストレスに繋がりますのでシンプルな構成にしています。後衛は戦闘中にダメージを受けたりすることもありません。

──確かにライフ3倍は困ります(笑)。支援だけじゃなくて、パーティがそれぞれ別行動も出来るんですよね?

川端氏:はい、ただ9人いるだけでは面白くないですよね。やはりどんなパーティを編成するかというところが楽しいところなので、後半には3つのユニットが個別に行動してダンジョンを攻略していく、という展開も用意しています。あくまで3つのパーティを同時にマネジメントするという形です。

また開発初期は3ユニットそれぞれ「東京系」、「アトランティス系」、「エデン系」として、3ユニットは各時代のパーティという形で考えていましたが、この形式ではパーティ編成の自由度や面白さを制限することになるので廃止しました。これによって完全に自由な編成ができるようになり、3時代の職業の組み合わせが思いもよらない効果を生むようにもなってバトルが一気に面白くなりました。

──では、メインのパーティ以外もしっかり育てておかないとですね。

川端氏:経験値は後衛のキャラにも前衛と同等に入りますから、個別に育てる必要はないので安心して下さい。ちなみに今回、職業を8種用意していて、そのうちのサムライのみ「一刀」と「双剣」という2カテゴリの武器を選択できるので、戦闘スタイルとしては全9種類あります。パーティがちょうど9人なので、編成次第では全ての戦闘スタイルを一度のプレイで育成・体験することができます。

──全職業の組み合わせを、ぐっと楽しみやすくなりましたね。この支援や別行動ができる新たなパーティは、物語の進行に合わせて増えていく形ですか?

川端氏:はい。アトランティスを訪問し彼らとの共闘が必要となった時に、使用できる外見と職業が解放され、同時に1ユニット分の枠が増えます。エデンでも同様ですね。もちろん1キャラだけで物語を進めることも可能です。各ユニットに1人ずつは配置する必要がありますが、後衛のサポートを利用せずに戦闘を行うことは可能なので1キャラで真竜に立ち向かうことができます。

ただ、今作は最大9人での戦闘を想定しているので、前作に比べると1キャラでの戦闘は非常に厳しくなりますね。前作を1キャラでクリアした方も、本作を1キャラでクリアするのは難しいかもしれません。

──9人で臨む戦闘も楽しみですし、縛りプレイもやり甲斐ありそうですね。

川端氏:最大9人だと、集中させた時の火力も相当なものになります。攻略自体の幅は広いので、色んな組み合わせで楽しんでみてください。

──戦略性も高そうですね。

川端氏:はい。特にボス戦は普通に進めていくと、レベル的にも苦戦することになると思います。装備も重要で、これを間違えると即死することがあるかもしれません。ボス戦はやりごたえがあると思うので、ぜひ自分だけの戦略を練って打ち勝ってほしいですね。この戦略性の部分に、『セブンス』の面白さは集約していると思っています。

ただ、どうしても勝てない…というときは、素直にレベルを上げてもらえれば倒せるようになっています。そこがRPGの良いところなので(笑)。

──なるほど(笑)。あと本シリーズの戦闘といえば、やはり「リアクト」も外せません。本作でも、リアクトの楽しさは健在ですか?

川端氏:もちろんです! 今作でも全職業にリアクト系のスキルを用意しています。このリアクトもぜひ戦略に組み込んで欲しい要素ですね。発動しやすいリアクトや、ハマると止まらないリアクトなど新しいリアクトもありますよ。

──例えば、本作ではどのようなリアクトが?

川端氏:エージェントには、クリティカルヒットを繰り出すと発動する「アサシンズリアクト」があります。クリティカル率を上げるスキルやアクセサリーもあるので、状況を整えて多段攻撃を繰り出せば、まず間違いなく発動するという形まで持っていけます。

また、新職業となるフォーチュナーには、「追随のリアクト」というリアクトがあります。これはパーティメンバーがリアクトに成功すると、自分もリアクトが発生するというものです。リアクトを用いた戦略として、たとえばこのエージェントとフォーチュナーのリアクトを組み合わせると・・・楽しいことになるんじゃないかと思います(笑)。

──おお! 『セブンスドラゴン』らしい心地よさ、健在ですね。

川端氏:今作はレベルも上げやすくなっているので、必要に応じて職業変更となる「転身」も試してみてください。「転身」はレベルを10下げることで職業変更できるというシステムですが、その際キャラクターのベースパラメーターにボーナスが付きます。これはキャラ育成における最後の伸びしろなので、更なるやり込みを行うことができます。

──育成に関わるといえば「クエスト」も外せませんね。経験も積めますし、特に有用なアイテムも貰えますから。

川端氏:そうですね。クエストも活用してもらえると、いっそう楽しめると思います。クエストといえば、本編にはアトランティスやエデンの人々を東京に避難させるという展開も用意しています。異なる時代の人々が同じところに暮らすことで、様々なトラブルが発生します。そこで主人公たちはその問題の解決を依頼されたりします。また3時代の人々が衝突することで各時代の背景が見えてきたりもするので、ストーリーを補完するような楽しみもありますね。

──人が交わると、トラブルは避けられませんね。

川端氏:単純なイザコザ系のトラブルから、時代を超えた恋愛まで、いろいろ用意しました。また、主人公たちの過去世界での行動が現代である東京に影響を及ぼして・・・というようなクエストもあります。『セブンスドラゴン』のクエストは主人公たち以外の普通の人々のちょっとした日常を描いたものが多いので、そういった点でも楽しんでもらえると思います。

──物語、ゲーム性、そしてやり込みや寄り道の要素など、多彩な魅力を教えていただきました。そのうえ、今後の展開にも目を向けられており、シリーズファンの方々からすれば2重3重に嬉しい話が聞けたことと思います。そんな本作の魅力を、ずばり語るとすればどこになるでしょうか。

川端氏:やっぱり、バトルを楽しんで欲しいですね。なんといっても主人公は「狩る者」なので。3つの世界観から生まれた新しい32種の外見と8つの職業を組み合わせたキャラクターでパーティを編成し、人々を苦しめるドラゴンを狩っていく。これが本作の魅力ですね。

──一番力を入れているわけですね。

川端氏:全体として、システムは前作『2020-II』をベースに進化させつつ、ボリュームはシリーズ最大の内容となっています。ボリュームは増えましたが単純作業の繰り返しが必須というゲームにはしていませんので、濃密な時間を楽しんでほしいと思っています。

──それでは最後となりますが、本作を待ち望むユーザーに向けてコメントをお願いします。

川端氏:前作から約2年が経ちましたが、このたび『セブンスドラゴン』の完全新作がついに完成しました! この2年の間には多くのことがありましたが、私自身も大好きな、この『セブンスドラゴン』というRPGの新作をどうにか世に送り出し、次へと繋げていくことができてとてもうれしく思っています。前作から開発に携わっていた方々からの心強い協力と、なによりユーザーの皆様の支援があってのことと、心から感謝しています!

──協力し合って生まれた作品なんですね。その制作風景も、ある意味で『セブンスドラゴン3』みたいですね。時代ではなく垣根を越えて手を取り合う、みたいな。

川端氏:本当にそう思います。今作では開発体制を大きく変えることになったり、スケジュールやそのほかの要素についてもまさに「絶望」するしかないという非常に厳しい状況がいくつもありましたが、シリーズ存続をかけて、これまでのシリーズに携わっていた多くの方が今作に力を貸してくださいました。三輪さんや古代さん、sasakureさんといった、メインのクリエイター陣も今作に快く参加してくださいました。

まずは、この完全新作をじっくり楽しんでもらいたいと思っています。そして今後も『セブンスドラゴン』をさらに面白いRPGとしていけるよう開発一同、磨きをかけていくので、これからの展開にもご期待ください!

──最後の戦いであり、新たな始まりへの布石でもある本作。自分も見届けさせていただきます。本日はありがとうございました。

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『セブンスドラゴン3 code:VFD』は2015年10月15日発売予定。価格は、通常版・ダウンロード版ともに5,990円(税抜)です。

(C)SEGA
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