
(聞き手:黒川文雄、文:小野憲史)
―――東京ゲームショウ(TGS)のカプコンブースは今年も大盛況でしたね。
ありがとうございます。もっとも、当社ブースというよりも、今年はTGS全体で節目の年になりました。
―――どういうことでしょうか?
私はコンピュータエンターテインメント協会(CESA)の理事とTGSの実行委員長を担当していますが、数年前からTGSの位置づけを変える必要があると感じていました。もともと東京ゲームショウは設立当初から「世界一のゲームショウにする」という考えがありましたが、ゲームビジネスを巡る欧米と日本との環境変化などから、次第に位置づけが明確ではなくなってきていました。そこで5年前、これからは「アジア市場が伸びる」という予測のもとに、アジアNo.1のゲームショウを目指す中期目標を立てました。アメリカはE3、ヨーロッパはGamescom、アジアは東京ゲームショウというブランディングの確立を図ります。
―――ちょうどスマートフォン向けコンテンツが伸び始めた頃でしたね。
そうですね。アジアで経済が拡大して人々の可処分所得が増えれば、エンターテインメントへの消費も拡大するので、ゲームの需要も期待できます。ゲーム専用機はコピーの問題がありますが、スマホゲームなら問題ありません。日経BP社主体で、アジアの新興国の人々をTGSに誘致しました。そうしたところ、すでにG-STARやチャイナジョイに参加していたにもかかわらず、海外企業の反応が非常に良かった。彼らは東京ゲームショウの参加を敷居が高く感じていたようですが、日本側からの打診により、驚きと共に、アジアを重視する姿勢に共感していただきました。その結果、今年は日本を上回る海外企業の参加があり、7割がアジア企業でした。この5年間の取り組みが開花したといえます。