作家の三島由紀夫が1970年11月25日、衝撃的な死を遂げてから50年――大手出版社から関連書の出版が相次いでいる。
ノーベル賞候補と言われた大作家はなぜ自衛隊に突入し、クーデターを試みたのか。
タイトルが最も強烈なのは宝島社の『三島由紀夫事件 検視写真が語る「自決」の真実 』(宝島SUGOI文庫)だ。別冊宝島編集部の編集。「報道関係者が密かに入手していた幻の検視写真は何を物語るのか」と思わせぶりだ。
新潮社からは『三島由紀夫事件 50年目の証言――警察と自衛隊は何を知っていたか』。非公開だった裁判資料や、関係者への取材から自決の謎に迫っている。著者の西法太郎さんは1956年生まれ。総合商社勤務を経て文筆業。
岩波新書の『三島由紀夫――悲劇への欲動』は、身を挺して生涯を完結させた作家の精神と作品の深奥に分け入る評伝だ。著者の佐藤秀明さんは1955年生まれ。近畿大学文芸学部教授。三島由紀夫文学館館長。
中央公論新社は『彼女たちの三島由紀夫』(中央公論特別編集)。少し角度を変え、女性誌を舞台にした三島の発言とエッセイを集めている。岸田今日子、高峰秀子、越路吹雪、宇野千代らとの全集未収録対談もある。
いずれも9月末から10月末の刊行。ほかにも類書がいくつか出ている。
全共闘との討論で「心づもり」明かす今年は映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」も公開された。1969年5月13日に行われた東大全共闘学生との討論集会をもとに再構成したドキュメンタリーだ。生前の三島の姿を大画面で見ることができる。
この時の三島の発言は『美と共同体と東大闘争――三島由紀夫vs東大全共闘』 (角川文庫、2000年刊)で確認できる。
「人間はやる時にはやらなきゃならんと思っています。・・・それがいつ来るかまだわからない・・・私は大体に合法的に人間を殺すということがあんまり好きじゃないのです」
「私が行動を起す時は、結局諸君と同じ非合法でやるしかないのだ。非合法で、決闘の思想において人をやれば、それは殺人犯だから、そうなったら自分もおまわりさんにつかまらないうちに自決でも何でもして死にたいと思うのです」と語っている。
実際に自決する1年半前には、すでに心づもりをしていたことがわかる。<J-CASTトレンド>

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