その腰痛、大腰筋が原因かも?──1日5分のセルフリリース術の画像はこちら >>

「なんだか腰が重い」「起きたとき、腰に違和感がある」
そんな小さな不調、ありませんか?
原因としてよく挙げられるのは、姿勢のクセ、筋肉のこり、長時間のデスクワークなど。
でも実は、“大腰筋(だいようきん)”という深い場所にある筋肉が影響しているケースも多いんです。

この記事では、腰まわりの不調の原因になりやすい「大腰筋」の特徴と、
自宅で簡単にできるセルフケア方法をご紹介します。

大腰筋ってどんな筋肉?

大腰筋は、体の深部にある「インナーマッスル」のひとつ。
背骨の下の方(第12胸椎~第5腰椎)からスタートして、
太ももの骨(大腿骨の内側)までつながっています。

働きとしては…
1.脚を前に出す
2.骨盤を支えて、姿勢を安定させる
3.体幹のバランスを保つ

とくに長く座っていたり、ストレスが続いたりすると、
この筋肉が縮こまりやすくなり、腰の前側から“引っ張る”ような力がかかってしまいます。
結果的に、反り腰・腰のつまり感・脚のだるさなどを感じやすくなります。

ストレスで大腰筋が硬くなる理由

大腰筋のすぐそばには、自律神経の中枢である「腹腔神経叢(ソーラープレクサス)」があります。
ここは、ストレス反応をつかさどる場所でもあり、
不安や緊張が続くと、無意識にこの筋肉がこわばってしまうのです。
だからこそ、大腰筋は“emotion muscle(感情とつながる筋肉)”とも呼ばれています。

1.ストレスで呼吸が浅くなる
2.姿勢が崩れる
3.腰の動きが悪くなる

この状態が続くと、慢性的な腰の不調につながることもあります。

自宅でできる「大腰筋リリース」4ステップ

大腰筋は深い場所にあるので、強く押したりストレッチするより、
「ゆるめて、整える」アプローチが効果的です。

① ホットタオルで温める

1.お腹の下あたり、または腰の中央にタオルを当てる
2.電子レンジで温めたタオルを2枚重ねて、10~15分
3.リラックスしながら、じんわり温めて
※ラベンダーなどの精油を1滴たらすと、リラックス効果アップ。

② 呼吸でお腹をほぐす

1.仰向けに寝て、膝を立てる
2.鼻から息を吸って、お腹だけをふくらませる
3.口からゆっくり吐きながら、おへそ4.を背骨に近づけるイメージで
5.10~15回、深くゆっくり呼吸

ポイントは、「胸は動かさず、お腹を使う」こと。


これで横隔膜が動き、大腰筋にも“緩んでいいよ”という信号が伝わります。

③ 股関節まわりのストレッチ(ハーフニーリング)

1.片膝立ちのランジ姿勢になる
2.骨盤をまっすぐ前にスライド(反らさない)
3.前脚に体重をかけ、股関節の前側が伸びるのを感じる
4.30秒キープ × 左右1~2セット
※腰を反らないよう、お腹に少し力を入れて。

④ 脚上げエクササイズ(レッグレイズ)

1.仰向けに寝て、片脚を5cmだけ持ち上げる
2.腰が浮かないように下腹に力を入れる
3.5秒キープ × 左右5セット

これで「ここがあなたの役目ですよ」と、
大腰筋に再教育をするイメージです。

日常で気をつけたいこと

1.長時間座るときは、膝より骨盤がやや高くなるように座る
2.ソファで前かがみ姿勢は避ける(固まりやすくなります)
3.1時間に1回は立ち上がって軽く動く
4.寝具が柔らかすぎると腰が沈み、寝起きの腰痛につながることも

大腰筋は、ただの“股関節を動かす筋肉”ではありません。
姿勢・感情・呼吸・疲労感──すべてが交差する場所にある、大事な存在です。
もし腰の違和感が続いていたり、
運動してもなかなか改善しないようなら、
体の奥でがんばり続けているこの筋肉に、少し目を向けてみてください。
1日5分の呼吸とストレッチで、
次の日の腰の軽さや脚の動きが、きっと変わってくるはずです。

(上野 由理/美脚専門家)

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