むくみは体からのSOS──疲れが抜けない原因とケア法の画像はこちら >>

夕方になると、靴がきつく感じる。ふくらはぎが重い。
足に指を押し当てると、しばらく跡が残る──。
そんな「むくみ」を、そのままにしていませんか?

見た目だけの問題と思われがちですが、実は“むくみ”は、体の中で水分や塩分のバランスがうまくいっていないサインです。これを放置してしまうと、疲れが取れにくくなったり、だるさが続いたりする原因になります。

むくみは、体の水分がきちんと流れず、足元などの一部にたまってしまっている状態です。とくに足首やふくらはぎは、水分が重力で下に集まりやすく、夕方になるとだるさや重さを感じる人が多いです。

体の水分調整をしてくれているのが、腎臓という臓器です。腎臓は、毎日血液をろ過して、いらない水分や塩分をおしっことして出す役割を担っています。でも、加齢や生活習慣の影響でその働きが弱くなると、体の水分がうまく外に出せず、むくみが起こります。

むくんだ状態が続くと、体全体のめぐりも悪くなります。足元にたまった水分が血の流れを邪魔してしまい、必要な酸素や栄養が細胞まで届きにくくなるからです。すると、疲労がたまりやすく、寝てもスッキリしない、ぼんやりする、といった状態につながっていきます。

また、水分の流れが悪くなると、体にたまった“いらないもの”もうまく出せなくなります。

おしっこが減る、体がだるい、やる気が出ない、といった状態が続くこともあります。こうした状態は、「腎臓の疲れ」や「体の中のめぐりの停滞」が原因になっていることが少なくありません。

では、どうすればむくみを改善して、疲れにくい体に近づけるのでしょうか。無理なく続けられる3つの方法をご紹介します。

1. 医療機関でチェックを受ける
むくみが頻繁に起きる人は、一度病院で血液や尿の検査を受けておくと安心です。足がむくむだけでも、腎臓や心臓、ホルモンのバランスが関係していることがあります。最近では、腎臓の状態を「eGFR(イージーエフアール)」という数値で簡単に知ることができるので、定期的に健康診断の結果も確認してみてください。

2. 軽い運動でめぐりをよくする
歩いたり、ふくらはぎを動かしたりすることで、たまった水分を上に戻すことができます。ふくらはぎは“第二の心臓”とも呼ばれ、動かすことで血のめぐりをサポートしてくれます。
「歩くこと」は、腎臓に酸素と血液を届ける手助けにもなります。慢性的な腎臓の疲れを防ぐためにも、1日15~30分の散歩を、できる範囲で取り入れてみましょう。

※よく病院で「歩いてください」と言われるのも、こうした理由があるのだと思います。

3. 食事と生活の見直しをしてみる
塩分のとりすぎや水分の偏りは、腎臓に大きな負担になります。とくに夜は、食塩を控えめにし、水分も取りすぎないようにしましょう。
実際に、塩分を少し減らすだけで、血圧が下がり、むくみが楽になったという報告もあります。あわせて、禁煙や適正体重の維持、血糖や血圧の管理も意識すると、腎臓の負担はぐっと軽くなります。

「むくみ」は、体の中のめぐりが滞っている証拠です。肌が重く感じたり、朝スッキリ起きられなかったり、ちょっとした不調の背景に“腎臓の疲れ”が隠れていることもあります。

疲れがとれにくいなと感じたときには、
・夕方以降の塩分と水分を少し見直す
・1日30分だけでも体を動かす
・足を少し高くして休む
そんな、小さな習慣から始めてみてください。

むくみを放置しないことは、実は「体のリズムを整える」ことにつながります。
たまった水分を流すことで、老廃物も流れ、疲れの回復もしやすくなります。
静かに働き続ける腎臓が、快適にその役割を果たせるように、わたしたちが“流れを作ってあげる”こと。それが、自分の身体にできるやさしい手助けではないでしょうか。

参考文献
日本腎臓学会:「浮腫(むくみ)」2023年
SOUJINKAI:「食塩制限とむくみ改善」2024年

(上野 由理/美脚専門家)

編集部おすすめ