2024年の中小企業倒産件数が約1万件に達し、32ヵ月連続で前年を上回りました。帝国データバンクの調査では9,901件と、11年ぶりの高水準を記録しました。
深刻な状況ですが、この数字の裏には、起業を志す人にとっての大きなビジネスチャンスが隠れています。
なぜそう言えるのか? 飲食業界の事例を見てください。2024年の飲食店倒産は894件で過去最多でしたが、同時に「値上げに成功した店舗」や「ファンを持つ個人店」は売上を伸ばしています。つまり、「差別化できない企業」だけが淘汰されているのです。この現象は、あなたにとって3つの大きなチャンスを意味します。
なぜ今、こんなに企業が倒産しているのか?中小企業を襲う「3つの致命的な波」があります。
第1の波:物価高倒産(925件、過去最多)原材料費、光熱費、人件費がすべて上昇しているのに、売値に転嫁できない企業が続出。まるで「ゆでガエル」状態です。
第2の波:人手不足倒産(342件、初の300件超え)「人が採れない→残業代増える→コスト圧迫」の悪循環に陥っています。
第3の波:後継者難倒産(540件)経営者の高齢化が進む中、「会社を継ぎたい人がいない」問題が深刻化。
さらに、コロナ融資の返済開始で「ゼロゼロ融資後倒産」が734件と4年連続最多。政府支援で延命していた「ゾンビ企業」の淘汰が本格化しています。
この状況は、当事者にとっては大変なことですが、これからの人にとっては多くの学びがあります。
学び1:市場の空白地帯が出現競合が減ることで、新規参入の余地が拡大。特にデジタル化が遅れている分野は狙い目です。
学び2:優秀な人材の流出倒産企業の経験豊富な人材が転職市場に出現。少数精鋭でスタートする起業家には絶好の採用機会です。
学び3:設備や立地の格安取得閉店した店舗や設備が通常より安く手に入る可能性があります。
生き残る企業の「4つの秘密」生き残る企業には明確な共通点があります。
1.価格転嫁に成功:顧客との信頼関係で適正価格での販売が可能
2.固定客・ファンを保有:安定した売上を確保
3.デジタル化推進:業務効率化で利益率改善
4.ニッチ市場特化:大手との価格競争を回避
簡単ではありませんが、この4つができる人、企業にとっては、今はチャンスが多いタイミングと言えます。
会社員が今すぐ始めるべき起業準備ステップ1:専門性を磨く「何でもできる」ではなく「これなら負けない」分野を作る。あなたの業務経験の中に必ずヒントがあります。
ステップ2:小さくテストする副業レベルで市場の反応を確認。月5万円の売上が立てば、それは立派なビジネスの種です。
SNS運用、業務効率化AIなど、今後必須となるスキルを身に付けましょう。
ステップ4:固定客を10人作る起業前から「あなたから買いたい」と言ってくれる人を10人作ることが最重要です。
変化の時代に勝つ思考法中小企業の倒産ラッシュは確かに深刻な問題です。しかし、大きな変化の時代には必ず新しいビジネスが生まれています。
準備を始めるなら、今がその時です。
(新井 一/起業コンサルタント)