「俺は話し下手だから、起業なんて絶対無理だよ」
東京の中小企業で人事を担当する田中さん(仮名・44歳)は、そう諦めていました。住宅ローンと2人の子供の教育費で家計は火の車。
ところが2年後、田中さんは人事コンサルタントとして年収800万円を稼ぐ起業家になっていました。クライアントからは「親身になって相談に乗ってくれる」「私のことをよくわかってくれている」と高い評価を受けています。つまり、「話し下手」でも起業で成功できるということです。
起業の世界では、流暢に話せる人よりも、相手の悩みを深く理解し、的確な解決策を提示できる人の方が圧倒的に成功しています。「話し上手」は警戒される一方、「聞き上手」は信頼され、顧客と長期的な関係を築きやすいのです。
起業で最も重要なのは「話す力」ではない多くの会社員が起業を諦める理由は「自分には話す力がない」という思い込みです。しかし現代の起業環境では、むしろ「相手の課題を正確に把握し、適切な解決策を継続的に提供する能力」の方が重要になっています。
話が苦手な会社員には、起業に有利な3つの特徴があります。顧客の話を最後まで聞く力、約束を必ず守る信用力、そして専門性を磨く努力を怠らない姿勢です。
起業における「つかみ」の新常識累計3000人以上に「つかみ」の技術を教えてきた日本つかみ協会代表の森田翔さんは、起業における「つかみ」について興味深い指摘をしています。
「起業の場面では、最初の数分で『この人は信頼できるか』『本当に自分の課題を解決してくれるか』が判断されます。
実際、成功している起業家の多くは、最初のミーティングで相手の話を8割聞き、自分の話は2割程度に留めています。
「話し下手」を起業の武器に変える戦略では、どうすれば「話し下手」という特徴を起業成功の武器に変えられるのでしょうか?
まず「準備力」で差をつけることです。話が苦手だからこそ、事前準備を徹底的に行い、相手の業界動向や競合状況を調べ上げて的確な提案を用意します。
次に「共感力」を最大限活用します。同じように話が苦手で悩んできた経験を活かし、顧客の不安や悩みに深く共感することで信頼関係を築きます。
最後に「継続力」で信頼を積み重ねます。一度の商談で決めようとせず、継続的な関係構築に重点を置き、「なくてはならない存在」を目指します。
起業は「つかみの上手さ」より「つかみ続ける力」情報過多の現代において、顧客が求めているのは一時的なインパクトではなく、継続的な価値提供です。流暢に話せることよりも、約束を守り続けること。派手な提案よりも、着実な成果を積み重ねること。
これらは全て「話し下手」な人の方が得意な分野です。あなたの「話し下手」は弱点ではありません。起業成功のための最強の武器なのです。
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インタビュー協力:日本つかみ協会代表 森田翔氏
(新井 一/起業コンサルタント)