「何がパワハラに当たるのかは、これまでガイドラインしかありませんでしたが、今回の法律で、国がパワハラの具体例を示したことは、大きな一歩です」
そう語るのは、労働問題に詳しい笹山尚人弁護士。6月1日から「パワハラ防止法」(改正労働施策総合推進法)が施行される。
「違反があれば、国が指導しますが、それでも従わない場合には企業名が公表されます。企業は“ブラック企業”というイメージがつくのを避けるための対策に本腰をいれるでしょう。また労働者も法律を把握して被害者にならないことも重要ですが、気づかないうちに加害者にならないように注意が必要です」
では、パワハラ被害にあったときにはどうしたらよいのか。
「パワハラ被害にあったときは、日付や時間、被害状況などをメモとして残しておくこと。ICレコーダーなどを使った音声記録、動画を残すのも有効です。裁判になった場合、事実確認が重要になるため信頼できる人に被害を伝えておくことも大事です。職場の同僚に相談してもいいですが、裁判など肝心なときに裏切られることもあるので要注意です」
社内の相談窓口に駆け込んでも軽くあしらわれることも。その際には、弁護士事務所や労働基準監督署にある相談コーナーなどに訴えることも必要と語る笹山先生。
「パワハラは我慢していても解決しません。それどころかエスカレートします。パワハラは精神疾患や自殺などにつながる例も多く、生命に関わる問題。
「女性自身」2020年6月9日号 掲載