「2度目となる緊急事態宣言発令後も収束の兆しはなく、2月1日には3月7日までを目安に延長することが発表されました」(全国紙記者)

1月に11都府県を対象に緊急事態宣言が発令されるも、27日には重症者数が過去最多となる1,043人を記録。なかでも、世界中で新たな悩みの種となっているのが後遺症だ。

「最初に感染が拡大した中国・武漢市では、感染者約1,700人の7割以上が退院から半年たっても後遺症とみられる症状を抱えていることが先日、発表されました」(医療ジャーナリスト)

昨年8月末、新型コロナに感染した爆笑問題の田中裕二(56)は、1月20日に脳梗塞とくも膜下出血で病院に搬送された。一部ではコロナによる後遺症の疑いが指摘されている。

そんななか、英国から後遺症に関する衝撃的な知らせが届いた。

英国の国家統計局とレスター大学が、昨年1月から8月末までに退院した同国内の新型コロナ患者47,780人(平均年齢65歳)を追跡調査。その結果、回復後に退院してから140日以内に全体の29.4%が再入院。12.3%が死亡したという研究論文を発表したのだ。

■医療崩壊が進めば日本でもイギリスと同じ数字に…

ただ、実際にこの論文を読んだ元WHO専門委員でハーバード大卒の医学博士・左門新氏は「日本で同じような数字が出るとは考えにくい」と言う。

「日本の死亡率は欧米より低いです。論文では新型コロナの重症化要因として基礎疾患を挙げていますが、基礎疾患を抱えている人は日本より欧米のほうが多いことは一因としてあるでしょう。またイギリスは移民が多く、移民の死亡率が高いことももともと指摘されています。なので日本とは状況が違うのです」

感染症を専門とする「のぞみクリニック」の筋野恵介院長も日本でイギリスと同じ数字が出ることには懐疑的だが、“油断は禁物”と警鐘を鳴らす。

「日本でも東京都で1日2,000人も感染者が出るような状況に再びなり、医療崩壊が進んでいけば、イギリスと同じような数字を追う可能性もあります。

また日本でも確認されているイギリスの変異株でリスクが高まる可能性もあるでしょう」

そして、この論文には“恐ろしい続き”が。左門氏は言う。

「論文では、新型コロナに感染して入院したグループ(以下A)と非感染者のグループ(以下B)を比較。その際、適切に比較するために病歴や年齢などの特徴をBの人はAと同等になる人を選出しています。

その結果、追跡期間内(Aは平均140日、Bは平均153日)に再入院したAはBより3.5倍、死亡者は7.7倍多くなっています。この比率に関しては日本でもあまり変わらない可能性があります」

■中高年の再入院、死亡リスクが高くなる理由

また、論文ではAとBのグループを70歳以上と未満に分けて分析しているが、そこには衝撃の事実が……。

「退院後に再入院や死亡など何らかの障害が起こるリスク自体は70歳以上のグループが高かったです。ただ、再入院や死亡した69歳以下のグループでは、70歳以上と比較して新型コロナ感染者の比率が高かったんです。調査対象の平均年齢が65歳というのを見る限り、若者というよりは、中高年なのではないでしょうか」

英論文で明らかになった、高齢者より高い中高年の再入院リスク。その原因について、筋野院長はこう分析する。

「おそらく69歳以下といっても40歳以上や50?60代がメインだと思います。70歳以上の人は新型コロナ感染の有無にかかわらず、若い世代と比べて死亡率が上がります。

もともと死亡リスクの高い高齢者よりも、感染していなければ元気でいられた中高年世代のほうが新型コロナによって相対的にリスクが高まるということだと思います」

回復後も油断できないコロナ後遺症の脅威。果たして、防ぐ方法はあるのだろうか。前出の筋野院長は言う。

「年齢に関係なく、生活習慣に気をつけることです。たとえば、糖尿の人は血糖のコントロールがよくない人が多い。ふだんから持病をしっかり治療しておくことが大切です。イギリスの論文では相対的にリスクが高まった40~60代の人が多いので、血糖値や血圧で引っかかるものがある人は特に気をつけてください」

感染防止策だけでなく、“なった後”も見据えてふだんの生活を見直す必要がありそうだ――。

「女性自身」2021年2月16日号 掲載

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