「菅首相の『人流は減っている』という発言は、現実を無視しているとしか思えません。感染者の増加は止まらず、もはや“オーバーシュート”しているのです」
こう話すのは、埼玉医科大学総合医療センター・総合診療内科・感染症科教授の岡秀昭先生だ。
ところが、その翌日には東京都内の新規感染者数が第3波のピークを大きく上回る3,177人にのぼり、神奈川県でも初めて1,000人を超えてしまった(1,051人)。全国的に感染者数は急増の傾向にあり、政府は神奈川・千葉・埼玉の首都圏3県と大阪府に再び緊急事態宣言を発出することを決めた。
岡先生によれば、そんな“後手後手”の対応で、日本はすでにオーバーシュート、すなわち感染爆発の状態に突入してしまったのだという。危惧されるのは、重症者のさらなる増加だ。
「このまま有効な対策がなされなければ、新規感染者数が2倍、3倍と増えていってもおかしくありません。そうなると、次第に重症者の数も増加するでしょうから、病院での受け入れが難しくなってしまうのです」(岡先生・以下同)
7月31日の東京都の新規感染者数は4,058人。2倍、3倍ともなれば、都内での1日の新規感染者数が1万人をゆうに超えることも、現実味を帯びてきているのだ。
「今後、入院用の病床が埋まってしまい、自宅待機の人が増えれば、自宅で亡くなるケースが起こることも。死亡率の増加が避けられなくなってしまうのです。ワクチン普及の効果が見え始めているとはいえ、40代、50代では1回目の接種を済ませた人の数もまだまだ少ないのが現状です。この世代の人々にとって、現在の爆発的な感染者数の増加は極めて危険だと言わざるをえません」
■デルタ株の恐ろしさの理由は“ワクチン接種の効果”
岡先生によれば、今回の感染爆発を招いている大きな要因が、これまで国内で広がったウイルスに比べ強い感染力をもつ変異型の「デルタ株」にあるという。
「デルタ株に対しても、もちろんワクチンの効果は得られます。ただし1回接種だけでは従来型に対して6割あった予防効果が3割程度に落ちてしまいます。2回目の接種から2週間後でようやく、従来型と同等の9割ほどまで予防効果が上がるといわれています」
なんと、デルタ株では1回目のワクチン接種の効果が半減する恐れがあるというのだ。さらに、岡先生は2回目のワクチン接種後もけっして油断するべきではないと警鐘を鳴らす。
「2回接種完了後でも、免疫が付き感染予防効果が得られるには2週間ほどを要します。2回目の接種後、2週間たたないうちに感染する人が私たちの病院でもしばしば入院しています」
ワクチン2回目の接種後も油断せず、一人ひとりが感染対策を心掛けるようにしたい。

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