7月11日、政府は、都市ガスの節約を呼びかける「節ガス要請制度」の導入に向けた準備をしていることを発表した。そのきっかけは、ロシアのウクライナ侵攻が長引くなか、冬場に向けてガスの供給が逼迫する恐れが出たこと。
日本は原料となる液化天然ガス(LNG)を輸入に頼っていて、そのうち1割がロシア産。LNGは6割が発電に、残りの4割が都市ガスに利用されている。
今はまだ都市ガスの供給は逼迫していないが、もし、LNGの供給がストップしたら、電力だけでなく日常生活に欠かせない都市ガスにも影響が出てくる。
「’21年1月からもうすでに、都市ガス代は月額1500円値上がりしました。まだ光熱費は値上がりし続けるので、少しでも節約するのなら、暖房の需要が高まる冬が来る前に、ご家族で『節ガス』『節電』の習慣をつけておくと、光熱費の負担を減らすことができます」
そうアドバイスするのは、節約アドバイザーの丸山晴美さん。
耳慣れない言葉でもある「節ガス」。ガス器具やプロパンガスの販売を行う大洋商事(横浜市)リフォーム事業部の園田詩織さんは、「家庭でいちばんガスを使うのはお風呂なので、給湯器の使い方を工夫すると、『節ガス』だけでなく『節水』にもつながります」と語る。
そこで、家庭でできる「節ガスワザ」を2人に教えてもらった。
■シャワーの湯温と使用時間を減らすだけで年間2万円減に
【1】シャワーの使用時間を短かくする
最も無駄が多いのがお風呂で、特にシャワーを流しながら体を洗っている人は、それをやめるだけでもバツグンの効果が出てくる。
「シャワーの使用時間を短かくすること。4人家族の場合、1人あたり“2分”シャワーの使用時間を減らすと年間1万~2万円の節約につながります。シャワーは15~17分程度流し続けるだけで、浴槽いっぱいになるほどお湯を使ってしまうので注意が必要」(園田さん)
朝シャワーが習慣になっている人は、これを機会に変えてみよう。
【2】湯温設定を“2度”下げ、張る湯を浴槽の半分にする
また、お湯張りのときも節ガスの工夫がある。お湯の設定温度を“2度”下げ、かつお湯を張る深さを浴槽の半分のところまでにすると、年間2000~3000円の節約につながるという。
【3】2リットルのペットボトルに水を入れて浴槽に沈める
「浴槽になみなみとお湯を張ると、つかったときにあふれてしまうので、もったいない。どうしても肩までつかりたいという人は、2リットルのペットボトルにお水を入れてそれを浴槽に沈めると、少ないお湯でも肩までつかることができますよ」(園田さん)
【4】1日2回の追いだきを1回にする
家族が入るたびに「追いだき」機能を使っている人も、要注意。1日2回追いだきしていたのを1回にするだけでも年間2000~3000円の節約につながるそうなので、一度お湯を沸かしたら家族が続けて入るように協力しよう。
【5】保温シートを活用する
せっかく沸かしたお湯も冷ましてしまっては意味がない。フタがついている浴槽もあるが、ホームセンターなどで売っている保温シートを活用しても効果があるという。無駄な蒸発を防ぐためにも、シャワー中でもフタをするとよい。
■電子レンジを効率的に使い、煮込み物は中火で調理
【6】ゆでないで電子レンジで加熱する
台所での節ガスを考えると、丸山さんは「野菜の下ごしらえはほとんど電子レンジを活用する」のがいいという。
「とうもろこしやブロッコリー、ほうれん草のおひたし、じゃがバターなども、ゆでないで電子レンジで加熱しています。特にブロッコリーなどは、鍋でゆでると、トータル10分ぐらい時間がかかってしまいますが、電子レンジでも使えるポリ袋に入れてチンすれば2~3分ぐらいでホクホクに仕上がりますよ」(丸山さん)
また、100円ショップなどには、電子レンジで使える調理器具が売っているので、それを使えば時短かつ省エネ料理ができる。
「蒸し野菜なども専用の容器に入れてレンチンして、そのまま保存しています。
【7】鍋底より火を大きくしない
カレーや煮込みなど鍋で料理をするときは、鍋底より火を大きくしないように。強火より中火にするように心がけるだけでも効果があるという。
「鍋も底が広めの鍋を使うことで節ガスになります。底に火が当たるだけで熱伝導が起きて、少しの火でも鍋全体に熱が伝わりやすくなります」(園田さん)
【8】やかんではなく電気ケトルを使う
東京ガスによると、15度の水を2リットル沸かす場合、中火だと約2.1円、強火だと約2.3円かかるという。コーヒーやお茶を飲むとき、やかんでお湯を沸かさないで電気ケトルを使うとガス代は0円。飲む分だけ沸かせば数分で沸くので、電気代も抑えられる。
【9】バーナーキャップをこまめに掃除する
気づきにくいのは、ガスコンロのお手入れ。五徳だけでなく、バーナーキャップをこまめに掃除すると、熱効率がよくなって、余分なガスを使わなくてすむと園田さんは言う。
【10】食洗機を導入する
調理の後の食器洗いも重要。お湯を出しっぱなしにして食器を洗わないのは鉄則だが、油汚れなどのしつこい汚れを落とすために食洗機を導入するのも手。
「最近の食洗機は高性能タイプが多く、少ないお湯でもしっかり汚れが落ちます。
家族で協力して、節ガス生活を習慣化させて、冬場に備えよう!