静岡県牧之原市の幼稚園で3歳の女児が送迎バスに置き去りにされ死亡した事件。幼稚園側の安全管理の杜撰さが浮き彫りになり、事件後の会見でも不誠実な態度を連発して批判が集まるなか、同業者からも怒りの声が。
都内の幼稚園で働く24歳の職員・Aさんは、本誌にこう悲痛な胸の内を明かす。
「ニュースを見て、ありえない事件が起きたと感じました。自分の幼稚園で起きた事件ではないけど、それでも心が痛いです。亡くなったお子さんは本当にしんどかっただろうし、保護者の方も『この幼稚園に預けなければこの子が亡くなることはなかった』と思っているのではないでしょうか……」(以下、カッコ内はすべてAさんの発言)
川崎幼稚園は9月7日に行った会見で事件の原因を説明。普段は乗務員と運転手が連携して確認をしていたが、事件当日は送迎バスの運転を臨時で理事長が担当していたため連携不足となり車内確認が疎かになっていたというのだ。さらに、女児の不在を認識していた職員も保護者への確認の連絡を怠っていたとも説明した。
しかし、川崎幼稚園で送迎に関するミスがたびたび発生していた。送迎バスに乗せるはずだった園児を乗せなかったり、降車させるタイミングで園児を降ろし忘れるといったことが1年のうちに数回あったという。驚くことに、園内で口頭での注意はあったものの再発防止のための周知は十分になされていなかった。
「私の幼稚園では、子どもたちをバスに乗せたらひとりひとり名前を呼んで確認し、乗車人数と出欠人数を照らし合わせた上で運転手とも共有しています。こうした当たり前の人数確認をきちんとやっていれば、今回のようなことは起きないはずです」
さらに事件の一因として指摘されているのが、川崎幼稚園の送迎バスに施された装飾。事件が起きた送迎バスは車体だけでなく窓までイラストでラッピングされており、外からは車内の様子がわかりづらい構造になっている。
「幼稚園は地域の人に見守ってもらっているので、このように中が見えないバスは好ましくありません。異変があったときに気づいてもらうこともできますし、子どもたちと先生がバスから外の景色を眺めて『消防車だ!』とか『今日は晴れてるから外でたくさん遊べそうだね』と話すなど、乗車中にもコミュニケーションをとることができるというメリットもあります」
杜撰な管理が招いた今回の痛ましい事件。それでも会見では理事長が亡くなった女児の名前を何度も間違えたり、薄ら笑いを浮かべながら話したりと、まるで他人事のような態度で誠実さが感じられるものではなかった。Aさんはこのことにも憤りを見せる。
「責任を持って子どもを預かるはずの幼稚園なのに、大切な園児が亡くなっているなかこのような態度は人としてどうかと思います。遺族に対してだけでなく、この幼稚園に通っているほかの保護者たちに対しても誠意が伝わらず、不信感を抱かせることになったと思います」
事の重大さを理解しているとは思えない川崎幼稚園の態度。子どもの命を預かる立場として、今一度自らの行いを見つめ直してほしい。

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