「老後資金が貯まる人、貯まらない人には共通点があるんです」

そう話すのは約25年にわたりファイナンシャルプランナーとして家計の相談に乗り、『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか』(日本経済新聞出版)などの著書を持つ黒田尚子さんだ。

黒田さんいわく、とくに家を訪れた瞬間にその人が貯蓄上手かどうかがわかるという。

「これまで、家計相談のために数々のクライアントの自宅を訪問してきました。その中で気づいたのが、貯蓄がある人の部屋は、すっきり片付いているんです。突然、保険の資料などをお願いしても、そういう人はさっと出てきます」(黒田さん・以下同)

いっぽう、資料がすぐに出てこない、片付けが下手な人は貯蓄も下手なことが多い。

「100円ショップが大好きで、行くとつい大量買い。ぐちゃぐちゃの部屋を片付けたら『フライ返しが10個出てきた』という人もいました。そういう人は、無駄遣いが多く貯蓄下手な人が多いです」

黒田さんによると、このような人には5つの共通点があるそう。

「衝動買いが多い、買い置きがないと不安になる、無料やおまけが大好き、もったいないから捨てられない、使ったものを元に戻せない……これらに当てはまる人は要注意。ついものを買いすぎる人たちです。ものが増えると、部屋は散らかり、必要なときに目当てのものが見つからず、再度購入する……。このような無駄遣いを繰り返してしまうんです」

そんな特徴は冷蔵庫にも表れる。

「冷蔵庫からちょっと余ったご飯をラップに包んだものや、賞味期限切れのものがゴロゴロ出てくる。そんな家庭は、食材を必要以上に買って食費がかさみがちです」

■ポイントアップデーは無駄遣いの罠

大切なのは、新たにものを買うのを控えること。

そのためには、整理整頓してすでにあるものを、活用できるようにしよう。

「冷蔵庫なら、空きスペースになんでも押し込むのではなく、食材が見やすい置き場を決めましょう。週に1度は買い物をせず食材を使い切る“冷蔵庫リセット”も、食材や家計の管理には有効です。収納スペースに収めるには、ものを減らすしかありません。必要なものの量を決め、それ以外は処分。でも、もったいないでしょう。その気持ちを忘れずに、次からの買い物はくれぐれも慎重に」

さらに、本人は節約のつもりだが、実は逆効果の“無意味な節約”行動をとっていることも貯まらない人の特徴だ。

「まとめ買いしたお酒があるのは、そんな“無意味な節約”のサイン。お酒は安い店でまとめて購入する方が多いですが、それによってすぐ手が届くところにお酒が常備されることになります。安く買っても多く飲めば、その分高くつく。嗜好品は、つどコンビニで購入するなど、消費のハードルを上げるのがおすすめです」

また、レシートやポイントカードでパンパンに膨らんだ“豚財布”も要注意アイテム。

「ポイントカードを大量に持ち歩く人は、ポイントアップデーを見つけると“お得!”と買い物をする。

しかし、わずかなポイントがたまるのみで、余計な買い物によりお金は減っています。惑わされず、買い物は必要なものだけに」

無意識のうちに“浪費”につながる行動をとる人も貯まらない。

「チェックのポイントは冷凍庫に保冷剤がたまっているかどうか。大量の保冷剤は、デパ地下スイーツや総菜を頻繁に買っている証しです。本人にとっては“プチ贅沢”でも、積み重なれば大きな出費に。月〇回までとリミットを決めるといいでしょう」

■「もったいない」が口癖の人はお金が貯まらない

それでは、貯まらない人の特徴を見ていこう。もし自分に当てはまる生態があったら、〈対処法〉を実践して貯め体質に変身だーー!

【その1】ビニール傘収集家

〈生態〉:「雨が降ったらコンビニで買えばよい」と便利なコンビニに依存する無計画タイプ。目的以外の“ついで買い”も大好物で、“チリツモ消費”の罠に引っかかりやすい。

〈対処法〉:折りたたみ傘を持とう。コンビニには「近づかない」&「必要なものしか見ない」決意を。

【その2】冷蔵庫に詰め込み師

〈生態〉:ごはんやお肉などちょっとした余りものを「とりあえず冷凍」し、亡き者とするのが得意技。冷蔵庫の奥から“化石”が発見されることも。

食材の無駄にはうるさいが、食費の無駄には無頓着。

〈対処法〉:冷蔵庫内で食材が見やすい置き場を決め、週1回は食材を使いきる“冷蔵庫リセット”を。

【その3】黒パンコレクター

〈生態〉:黒いパンツを3本以上保有するが、本当は何本あるか実態は不明。パンパンのクローゼットを前に「着る服がない」と嘆き、ついつい新しい服を買ってしまう習性あり。

〈対処法〉:過去の愛着や「いつか着る」未来は考えず、クローゼットには「今、着る」服だけ並べて。今夏一度も着なかった服は処分するべし。

【その4】まとめ買いのしもべ

〈生態〉:お酒のつど買いを忌み嫌い「安い店でまとめ買い」をこよなく愛する。単価にはきびしいが、「たくさんあるからもう1本」と消費には甘い。

〈対処法〉:お酒や嗜好品はあえて単価の高いコンビニで買い、飲みすぎを抑えて。経済的な大容量より「今必要な分だけ」が家計と健康管理に◎。

【その5】もったいない妖怪

〈生態〉:口癖は「もったいない」。何も捨てられず、ごみ屋敷化する過激種も。

ありすぎるものの中から必要なものが見つからず、無駄遣いに発展しやすい。

〈対処法〉:「いつか使う」ものは、3カ月~1年など保管期限を決めて隔離を。期限内に使わなかったものは潔く処分すべし。

■犬好きは猫好きよりも貯まりにくい!?

【その6】豚財布

〈生態〉:レシートやポイントカードの収集癖があり「全部持っていると安心」とすべてを財布に詰め込む豚財布。財布の整理をしないため、家計管理もずさんになりがち。

〈対処法〉:キャッシュカードは自宅で保管し、持ち歩くのはその日使うカードだけにしてポイントアップデーは無視すること。レシートを整理して、財布のスリム化を。

【その7】割高バケーション

〈生態〉:「早期割引」などの特典には目もくれず、レジャーを直前・急きょ決めるのが特徴。計画性の欠如から“行き当たりばったり”の散財を重ねてしまう。

〈対処法〉:レジャー費は年間予算を立て、時間的にも経済的にも余裕をもって計画を。レジャーはリーズナブルに楽しむのが貯めるコツ。

【その8】デパ地下国の民

〈生態〉:デパ地下で“プチ贅沢”にいそしむ姿の目撃情報多数。

“プチ”を盾に予算をスルー。保冷剤コレクションが増えるにつれ、家計へのダメージが大きくなる。

〈対処法〉:誘惑を断ち切るため、デパ地下には立ち入らないこと。きびしい場合は「月〇回まで」などリミットを決めよう。

【その9】「いいね!」モンスター

〈生態〉:SNSでの「いいね!」のために、豪勢なモノ消費・派手なコト消費を繰り返す“見栄消費”マニア。承認要求がエスカレートすると、支出が膨らみ家計の圧迫につながる。

〈対処法〉:リアルな人間関係が幸福度を高める一方で、SNSは接するほど幸福度が低下するという調査も。SNSとは適度な距離を保つのが肝心。投稿をやめるのも手。

【その10】ペット貧乏

〈生態〉:「ペットは家族」が信条。こだわりのフード、高級なトリミング、人間並みの病気治療など飼育費用を惜しまない。

〈対処法〉:一般的な飼育費用は、猫が年約16万円に対し犬は年約34万円(2020年・アニコム損害保険)と、犬好きはお金がかかりやすい。

ペットと一生を共にするためにも、費用の確認と予算立てを。

心当たりのある人は、生活を見直して貯蓄上手に変身! 老後資金をザクザク貯めよう。

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