いまや「なりたい職業ランキング」の上位にランクインし、華やかな仕事にも思える声優業。
だが最近では11月1日に、『ウマ娘 プリティーダービー』のサイレンススズカなど数多くのキャラクターを演じた高野麻里佳(28)が、適応障害と診断されたため当面活動を制限すると発表。
そんななか11月23日配信の『ABEMA Prime』(ABEMA)では、声優たちが過酷な労働環境に置かれていることが議論された。近年、アイドル活動を行う若手の女性声優が活動制限したり、メンタルの不調を訴えたりするケースが増加しているというのだ。
番組が紹介したある女性声優の例では、大手声優事務所に所属するもキャパシティを超える量の仕事を振られ、なおかつアイドル活動の歌やダンスのレッスンも頑張らなければならない状態に。さらに、仕事を断ろうとすると「他の声優に仕事を回す」と言われてしまうことも。結果的にメンタル不調になり、声優を止めざるを得なかったという。
本番組に出演したベテラン声優の三ツ矢雄二(68)は、「今みたいに、人気のある声優さんは歌を出し、踊り、芝居もして、みたいなことは僕たちの時はなかった」と言及。その上で、2.5次元ミュージカルと深夜アニメの増加を背景に声優がアイドル化した経緯を説明した上で、こう語った。
「今の『声優アイドル』と呼ばれている人たちは、僕が思うには現行のアイドル、例えばAKB48といったものを模倣したかたちで、だんだん主流になってきちゃって、『あれ、声優って声で芝居をする職業だよね?』という部分が二の次、三の次になっている」
■「今は使い捨て感がある」「視聴者にとっても損失」
声の芝居以上に求められるパフォーマンスが増えたという現代の声優。さらに収入面でも不安定だといい、日本俳優連合に所属する新人声優は1本30分のアニメーションで1万5000円と低い報酬だという。いっぽう声優の人数は増加しているものの、体調管理やメンタルサポートが追いついていない状況が指摘された。
「かつて“裏方”とされていた声優ですが、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』のような大ヒットするアニメが増えたことも手伝っていまでは芸能人と同じくらいの影響力があります。
かたや声優の人数が増加するにつれて、若手の声優たちが“使い捨て”状態になっていることも懸念されています。弱い立場にある彼らが安心して仕事を続けられるよう環境の改善やケアに取り組まなければ、後進の育成はもとより業界の衰退にもつながってしまうでしょう」(芸能関係者)
番組後半では「一回、このアニメ・声優ブームが落ち着くか去ってくれないと、新しいシステムは成り立たない」とも警鐘を鳴らした三ツ矢。ベテラン声優が指摘した声優業界の問題に、ネット上では様々な反響が相次いでいる。
《その通りだと思う。今は使い捨て感がある》
《何でも出来ないと使われないし、使い捨てみたいになってるしブラックだよね》
《憧れの職業なのにこんなに過酷なんだ・・たしかに最近の2,5次元化が大きく影響してそう》
《純粋に声の仕事をしたい人や、声優としての才能がある人が他の要求を飲めなくて諦めなくてはいけないのは視聴者にとっても損失ですね》

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