鏡を見るたびに目を背けたくなる白髪。急に増えたという場合はそれが体のSOSサインであることも。
「冬は白髪が増えやすい季節です。とくに40代以上の女性は白髪に悩まれている方が多いのではないでしょうか」
そう話すのは、理学療法士で東洋医学の視点や代替療法を取り入れた女性専用のヘッドスパや整体を行うスフル院長の大柄亨さん。
大柄さんは自身のインスタグラムで地肌が整う頭皮ケアなどを発信し、3.9万人のフォロワーを獲得している。
白髪は黒髪成分のメラニン色素が作られなかったり、毛先まで十分に届かないことで色を失った髪の状態のこと。
その原因は血行不良、ストレス、ホルモンバランスの乱れなどだという。
「また、髪は東洋医学で成長・発育などに関わるとされる『腎』と関係が深く、『腎』は冬の冷えで機能が低下するとされています。冬に白髪が生えやすいのはそのためなのです。
閉経などで女性ホルモンの分泌量が減少する40代ごろからも白髪が増えやすくなります」(大柄さん・以下同)
さらに、足の裏にはツボを押したときに痛む場所で体の不調がわかる「反射区」があるように、白髪の生える位置でも体の異変がわかるというから驚きだ。
「頭皮にも、特定の器官や内臓に対応した箇所があります。そのため、白髪が極端に多く生えている位置に着目することで、体の不調が予測できるのです。
実際にお客さんをカウンセリングしていても、悩んでいる症状と関連の深い場所に白髪が増えている方が少なくありません」
全体的に白髪が生えているという人でも、たとえば白髪染めをした後、ピンポイントに白髪が生えてきたり、白髪が極端に多く生える“密集白髪”があれば体の不調が疑われるという。
そこで大柄さんに、白髪の生える場所によって体の不調が一目でわかる「白髪地図」を教えてもらった。
「女性のなかでも悩んでいる人が多い、頭頂部(分け目)の白髪は『胃』が弱っているサインです。もともと胃が弱い方だけでなく、食生活の乱れや暴飲暴食、ストレスの影響を大きく受けます」
生え際(前頭部)の白髪が目立つという人は、「大腸」が荒れている可能性が。
「便秘や痔の悩みがある人は生え際の白髪が目立ってきます。また、腸内環境を荒らすような添加物の多いコンビニ食やお菓子ばかり食べていると、顔回りに白髪が生えやすくなってしまいます」
食事・運動・睡眠のバランスが崩れても腸内環境が荒れやすくなるため、規則正しい生活リズムを心がけたい。
■右の側頭部は腎臓と関係が!
こめかみに白髪が多い場合は、「目」の疲れが考えられるという。
「日常的にスマホやテレビを長時間見たり、暗い場所で作業したりする習慣を見直しましょう」
大柄さんがすすめるのは、蒸しタオルで1日15分程度、目を温めるホットアイマスク。目元の血流がよくなり、疲労感も軽減されるのだとか。さらに……。
「左の側頭部に白髪が目立つ場合は、お酒を飲んだり、添加物の多い食事を取ったりして、肝臓に負担がかかっている恐れがあります。
右の側頭部に多い場合は、腎臓に負担がかかっている可能性が。むくみがあり、冷え性の人も出やすい場所です。
襟足からもみあげ部分の白髪は、歯や耳のトラブルに要注意だ。
「歯を食いしばったり、マスク生活で耳にひもをかけて筋肉が硬くなり血流が悪くなると、めまいや耳が聞こえにくいなどのトラブルにつながりやすく、白髪が生える要因にもなってしまいます」
生理不順や女性ホルモンの乱れは後頭部に出やすいという。
「後頭部は生殖器と関連している場所。頻尿など婦人科系の悩みを持つ方に多い傾向です」
白髪が多い場所は、大きな病気のサインであることも……。
「実際に、頭頂部に白髪が多いお客さんは、過去に胃がんの手術をしていました。
日本人女性の死亡原因1位は大腸がんですが、生え際に白髪が多い人は、そんな大腸からのSOSかもしれません。『白髪だから』と軽く捉えず、慢性的な便秘などがある人は健康診断を受けるなどして、ちょっとした不調を見逃さないことが大切です」
体の内部の不調を整えていくことが大事だが、頭皮の血流が滞るとむくみやコリのもととなり、白髪を助長させてしまうことも。
そこでシャンプーをしながらできる「ずぼら頭皮マッサージ」を解説してもらった。
「前頭部をほぐすときのポイントは、大きく動かさずに小さい円を描くこと。こめかみまで徐々に移動させましょう。すべてシャンプーをしながらでOKです」
1カ月ほど続けると、頭痛が軽くなったり、睡眠の質が上がるなど効果が現れはじめ、3カ月続けると血流が改善し、白髪が目立たなくなるなどの効果が期待できるという。
今からできる白髪チェックで体のSOSをいち早く発見しよう!