年に2回しか浴場の湯の入れ替えをしておらず、基準値の最大3700倍ものレジオネラ属菌が検出されていた福岡県筑紫野市の老舗高級温泉旅館「大丸別荘」。2月28日に会見を行ったが、その対応が波紋を広げている。
福岡県の条例では、すべての湯を取り換える「完全換水」という作業を週1回以上行うよう定められているが、大丸別荘は19年12月以降、完全換水を年2回しか実施していなかったという。その結果、基準値の3700倍ものレジオネラ属菌が検出された。
温泉施設で感染し、死亡事例も報告されているレジオネラ属菌。老舗温泉旅館である大丸別荘がその事実を知らないはずはないが、会見で明らかになったのは杜撰な経営の実態だったーー。
大丸別荘の山田真社長は、会見でレジオネラ菌についての認識についてこう語った。
「レジオネラ属菌はどこにでもある一般細菌という安易な考えで、また、大浴場は掛け流しなのでかなりお湯が入れ替わっているから大丈夫と考えておりました」
また、レジオネラ属菌による死亡事例については、「元々基礎疾患があるとか、たまたまきっかけにというとあれなんでしょうけど、そんな捉え方をしてました」と話した。
22年8月の検査で基準値の約2倍に相当する菌が検出されていた大丸別荘。この際、大丸別荘は湯の交換頻度や塩素注入は適正だと説明していたというが、実際には湯は年に2回しか取り換えられておらず、塩素注入も怠っていた。
それについても「塩素を注入しなかったのは、塩素の臭いが体質に合わず嫌いという身勝手な理由でございました」「日に2回測定する塩素濃度(それを記録する)管理簿というもの。それを適当に書いて出した」と、杜撰な衛生管理や虚偽報告は自身の指示だったとも説明した。
経営者でありながら、会見で甘すぎる認識を隠そうともしなかった社長。また一連の問題が発覚した当初、運営会社は朝日新聞の取材に対して「公表を控えさせていただく」と取材拒否もしていた。
《久々に謝罪会見で「え?マジ?大丈夫この人?」だった。そもそも論になってしまうが、謝罪会見なのに謝ったのは自分の認識不足。は?でした》
《他でも事例があったのに、社長自ら怖い菌ではないと思ってた…とか甘い認識すぎて怖い、、自己都合で衛生面がルーズになってたとか理由にならない》
《なんだこりゃ謝罪会見になってない。火に油を注いで大炎上。今すぐ経営者変えないと即倒産》
《この経営者大丈夫か?謝罪する気持ちが伝わるどころか、この人何考えてんの?ってびっくりした。経営者交代したら立て直して。素敵な旅館が台無し》
「私の浅はかな考えで迷惑をかけた。申し訳ない」と謝罪していた山田社長。事態が収束したら退任するとの意向を示したが、命に関わる問題は「浅はかだった」では済まされない。