総務省が2月7日に発表した「家計調査」によると、全国の都道府県庁所在地における2人以上の世帯で、2022年の1年間に支払った電気料金がもっとも少なかったのは神戸市で10万7千690円だった。

もっとも多かった富山市の20万9千9円のほぼ半分。

その差は10万1千319円と大きく開いている。しかも2021年の神戸市の電気料金は9万6千479円。電気代が値上がりし続けるなか、前年より1万円程度の増額に抑えている。“倹約1位”となった神戸市民の節約ぶりを探ってみた。

6年前から仕事で神戸市に暮らし、その赴任先で出会った神戸市出身の女性と結婚した白井康弘さん(仮名・43)が語る。

「神戸市は電気料金だけでなく水道料金の支出額でも全国1位の倹約ぶりです。これは1995年の阪神・淡路大震災のときにライフラインがすべて止まり、電気も水道も復旧までに時間がかかった経験から市民の節約意識が高いことが大きく影響しています。学校でも節電や節約に関するエコ教育が盛んで、神戸出身の妻も小さいときから、電気の大切さについて学んだと話しています。

わが家では、夏前にはベランダでゴーヤを育てて、リビングの窓全体を覆う“グリーンカーテン”を作っています。また妻の影響で小まめに家電や照明の電源をオフにすることを徹底しています。震災の教訓から、ふだんからの節約意識の積み重ねが神戸市の電気代を抑えているのです」

神戸市の“節約習慣”である、小まめな家電の電源オフを習慣化するだけでも年7千470円の節約になるという。

■子供の独立が節電の契機に

「電気代が安い地域には共通点がある」と、節約アドバイザーの丸山晴美さんが語る。

「神戸市に限らず、46位の福岡市、45位の横浜市、42位の千葉市、41位の東京都区部はマンションの戸数が多い。一戸建てよりも断熱性能が高いマンションは、夏は涼しく、冬が暖かい分、電気料金の3~4割以上を占めるエアコンの使用も抑えられている可能性があります。それだけ、断熱効率は電気代を左右するのです。

一戸建てに住んでいる人も、すべての部屋の断熱性を高めるのは困難でも、家族が長い時間を過ごすリビングだけでも挑戦してみるといいでしょう。熱が逃げやすい窓は厚手のカーテンを使ったり、100円ショップで売っているようなフィルムを窓に貼るなどして冷暖房効率をよくする“断熱部屋”にするのも手ですね」

また一人ひとりが別々の部屋でエアコンを使うのではなく、家族みんなで同じ場所を共有する“ウオーム&クールシェア”もぜひ取り入れてほしいという。

「家族がそれぞれの部屋で過ごすのではなく、リビングに集まって冷暖房を共有すること。またエアコンの温度設定で調節するのではなく、寒かったらカーディガンや膝掛け、ヒートテックなどの機能性下着を身につける。暑いときは風通しのよい洋服を身につけるなど洋服で調節するクセをつけることも重要です。エアコンの冷房の設定温度を1度上げる、そして暖房は1度下げるだけで、年間で2千590円ほどの節約になります」

ファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんもこんなアドバイスをくれた。

「富山市によくあるケースですが、子供が進学のために家を出ても、電気料金の契約アンペア数を下げずにそのままにしている家が多いのです。たとえば東京電力の場合、4人世帯で一般的な50アンペアの契約を2人世帯の目安である30アンペアにするだけで年約7千円も違ってきます。契約変更はカスタマーセンターへの連絡やネットで申し込むことができますよ」

電気料金の超高騰時代を乗り切ろう!

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