6月1日より東京電力をはじめ、大手電力7社は家庭向け電気料金の値上げを開始した。
夏の家庭における家電製品の1日での電力消費割合を調べたところ、エアコンが34.2%を占め、いちばん高い(出典:平成30年度電力需給対策広報調査事業の結果より)。
そこで、過去にエアコンの節電を実証したことがある、節電家電コーディネーターの藤山哲人さんに、エアコンの電気代節約のしかたを教えてもらった。
今回は、冷房使用率の高い7~9月の3カ月でどれだけの節電ができるかを調べることに(※料金などデータは一般社団法人省エネルギーセンターの実測値を使用して本誌作成)。
■具体的に料金を抑えることができる節電ワザ
【設定温度1度上げで410円】
室温の設定温度を1度上げた場合、3カ月で410円節約できる。逆を言えば、設定温度が低ければ低いほど、電気代はかかるのだ。
たとえば帰宅して、日中上がっていた室温を下げるために温度設定を極端に低くするのは、電力消費量が増えるためNGだと藤山さんは言う。
「帰宅したらまず窓を開けて換気し、熱を逃がしてください。その後エアコンをつけますが、温度設定は通常どおりでよく、下げる必要はありません。ポイントは自動運転モードを選ぶこと。エアコンに任せるのがいちばん経済的です」(藤山さん・以下同)
【1時間の短縮で255円】
たとえば、設定温度28度で使用時間を1日1時間短縮すると、3カ月で255円節約できる。ただしあまりこまめにエアコンをつけたり消したりすると、逆に電気代がかかってしまう。目安としては20分から30分の短時間の外出の場合はつけっぱなしでよい。
【フィルター掃除で215円】
2週間に1回はエアコンに付いた状態でハンディ掃除機をかける。
「特に猫を飼っている人はフィルター掃除を頻繁にやったほうがいいです。犬の毛は重いので床にたまりますが、猫の毛は軽いので空気中に舞います。コロナ禍で猫を飼うご家庭が増えましたが、猫の毛によるエアコンの故障がめちゃくちゃ増えています」
また、キッチンに近いエアコンの場合はキッチンから油煙が飛んでくる。それを吸うとフィルターが油でべとべとになってホコリや猫の毛も絡みやすい。そうなると掃除機では取れないので週に1回はフィルターを中性洗剤で水洗いしよう。注意点は、フィルターは弱い樹脂なので、たわしなどは使わず手洗いがおすすめ。
【扇風機やサーキュレーター併用で820円】
扇風機やサーキュレーターで風を起こすと体感温度が2度下がる。つまり設定温度を30度にしても、体感温度は目標の28度になるので快適に過ごせるのだ。2度設定温度を上げると3カ月で820円節約に。
「サーキュレーターや扇風機を置く位置はエアコンと対角線上の部屋の隅に置きます。風向きはエアコンに向けると部屋全体の空気が循環して涼しくなるんです。扇風機の電気代は1時間1円ぐらいなのでかなりの節約になります。ただし、汗をかかないペットは扇風機などの風を涼しく感じられないので、部屋自体の温度を下げてあげてください」
【室外機の日除けで258円】
室外機の周りの風通しをよくするのが節電のポイント。
「何年か前に室外機にカバーをつけるのがはやったんですがそれは風通しが悪くなるので絶対にダメ」
ほかには室外機に直射日光が当たらないようにする。よしずを立てて影を作ったり、上部に室外機用の遮熱パネルを置いて日除けするのも効果的。そうすることで3カ月で258円電気代を節約できる。
【7~9月の3カ月で計1958円の節電効果】
ちりも積もれば山となる。ほんの少しの心がけで、節電できることがいっぱい。暑さを我慢することなく、日除けやサーキュレーターなどとの併用で、賢く安く、夏を乗り切ろう。
■使い方の工夫で、まだある節電方法
ほかにも、具体的な金額は出ていないが節電法はあると藤山さん。
「実は『ドライ』や『除湿』は『冷房』より電力消費量が増えます。
また、直射日光を遮るカーテンも節電になる。昔はカーテンを閉めても蛍光灯の電気代がかかり節電にはならなかったが、10年ほど前から電気代の安いLEDライトが普及してカーテンは有効に。
だが何よりエアコン本体において、10年前のものと最新型で電気代を比較すると、年間で1万6988円の得になるという。
「エアコンはだいたい10年は使うので、古い機種を買い替えれば、電気代が約17万円ぐらい節約できるっていうことですよね(笑)」
さあ、できることから始めてみよう!