「家計を直撃する野菜の高騰が続いています。なかでも、平年の2倍近くになったキャベツは1玉350~400円、ブロッコリーは1株300円前後ともはや“高級食材”に。

暖冬などの異常気象、天候不順、害虫被害などが原因です。

供給量が追いつけば、価格は落ち着きますが、今夏は猛暑も予想されていますので、今後も値が上がる野菜が出てくる可能性はあります」

こう指摘するのは、生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんだ。

日々の生活の中では、こうしたキャベツやブロッコリーの高値に目を奪われてしまうが、農林水産省の青果物卸売市場調査を基に、今年と昨年の5月27日の野菜の卸売価格(1キロあたり)を比較してみたところ、にんじんが約164%、きゅうりが約124%、トマトが約138%、にんにくにいたっては約200%になるなど、軒並み値上がりしている

「野菜の値上げは天候不順ばかりでなく、なかなか解決しがたいエネルギー価格や輸送費、人件費の高騰、またアボカドなどの輸入食材などに関しては円安も背景にあります。全般的に高くなっている野菜の価格は、今後も維持されるとみています」(柏木さん)

こんなときだからこそ、食卓に欠かせない野菜を上手に保存することが求められると言うのは、『いつでもおいしい冷蔵・冷凍保存術』(コスミック出版)の著者であり、料理研究家で食品保存アドバイザーでもある島本美由紀さんだ。

■丸ごと冷凍なら3カ月野菜を保存できる

「安いときにまとめ買いした野菜や、余って無駄にしてしまいそうな野菜があるときに役立つのが、冷凍保存です。

方法は簡単で、水気を切った野菜を冷凍専用の厚手の保存袋に入れて冷凍室に入れるだけ。

カットしない“丸ごと冷凍”なら3カ月、適当な大きさにカットした野菜でも1カ月ほど保存できます」(島本さん、以下同)

こうした基本的な保存術を念頭に、野菜ごとの冷凍保存法&使い方を伝授してもらった。

【1】キャベツ

「大きなものなので、冷凍する場合はカットしておく必要があります。くし形に大きなサイズでカットして冷凍すれば、ポトフなど長時間煮るような料理に便利です。炒め物などに使いたい場合は、ざく切りに。あまり大きなサイズにすると筋が残る場合があるので、1~1.5センチ幅くらいがベスト」

【2】アボカド

「丸ごと保存した場合、自然解凍に15分から20分ほどかかります。半解凍の状態はアイスクリームのような食感なので、はちみつをかけて食べると美味。

一口大に切って保存する場合は、表面が変色するので、レモン汁を少量かけて冷凍しましょう」

【3】ブロッコリー

「小房に分けて、生のまま冷凍。芯(茎)を捨ててしまう人もいますが、薄切りにして小房と一緒に冷凍しておくと、違う食感が楽しめます。冷凍のままスープなどの調理ができます」

ブロッコリーは冷蔵よりも冷凍のほうが、βカロテンが4倍になるという研究結果もある。

【4】トマト

「ヘタをつけたまま、丸ごと冷凍するのがおすすめ。冷凍したトマトは、水にさらせば簡単に皮がむけます。また5分ほど室温に置くと包丁でカットできる硬さになり、凍った状態ですりおろせばトマトシャーベットが楽しめます。ヘタをとってざく切りにして冷凍保存しておけば、トマトの煮込み料理などに便利です」

【5】レタス

「レタスのパリパリの食感を楽しみたいなら、冷凍保存は不向き。スープなど、しんなりさせて調理する場合は冷凍保存できます。金属に弱く包丁で切ると茶色く変色するので、必ず手で一口大にちぎって保存しましょう」

【6】きゅうり

「1本丸ごと冷凍もできますが、使いにくいので薄切りにして保存しておくことをおすすめします。自然解凍後、水気を切れば酢の物やポテトサラダに使えます」

【7】にんじん

「大きいので丸ごと保存には不向き。千切りやいちょう切りなど、好きな大きさにカットして保存袋に入れましょう。冷凍室に入れて1時間ほどしてから、保存袋の上から軽く手でもみほぐすと、パラパラになって、使いたいときに使いたい分を取り出すことができます」

にんじんは冷蔵よりも冷凍のほうが、目の健康によいといわれるルテインの量が3倍になるというレポートもある。

【8】なす

「丸ごと冷凍がおすすめです。冷凍室から出して5分ほど自然解凍すれば、薄切りにできます。もちろん、乱切りや半月切りにして冷凍保存してもOKです」

【9】ピーマン

「丸ごと冷凍のほうが便利です。5分ほど置いておけばカットできます。ちなみにワタやタネを捨ててしまう人も多いですが、ピラジンという血液をサラサラにする成分が実の110倍もあるので、無駄なく使ってみましょう」

■冷凍することで栄養素やうま味が増す野菜も

【10】玉ねぎ

「薄切りにして冷凍しておくと、火の通りが早いので、あめ色玉ねぎを作る際に便利です。ポトフなどで使う小さいサイズの玉ねぎは、茶色の皮をむいて、上の硬い部分や根っこを切り落として、保存袋に入れて冷凍。個別にラップしておくと、おいしさをキープできます。包丁を入れているので保存期間は1カ月が目安です」

【11】もやし

「価格変動が小さく、安くて栄養たっぷりのもやしですが、足が早い食材でもあります。未開封なら、買ってきた袋のまま冷凍してもOK。開封して残った場合は、保存袋に入れ直して冷凍」

【12】きのこ類

「しめじやえのき、しいたけなどは少量ずつ余りがちな食材。そんなときはそれぞれ適当な大きさにカットして、ミックスきのこにして冷凍。きのこは冷凍することで、うま味成分であるグアニル酸が増加するといわれています。

しいたけは冷凍することで3倍くらいうま味成分が増し、香りも強くなるなど、冷凍ミックスきのこを使えばだしを使わなくてもおいしいスープを作れます」

【13】オクラ

「丸ごと保存しておきましょう。オクラは冷凍室から出してすぐにカットできます。冷凍することで組織が壊れるので、ゆでる必要も、塩もみしてうぶ毛を取る作業も必要ありません」

【14】ブルーベリー

抗酸化作用があり、動脈硬化や生活習慣病の予防に役立つポリフェノールが、冷凍することで増えるともいわれている。

「水分を拭き取って、保存袋に入れておけば3カ月ほど保存可能。夏場は、凍ったままヨーグルトに入れるとおいしいですよ」

冷凍術を駆使し、野菜高騰を乗り切ろう。

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