初夏を感じさせる清らかな白のセットアップスーツとお帽子を召された雅子さまが、5月13日、令和7年全国赤十字大会が開かれる明治神宮会館に到着された。雅子さまが出迎えた厚生労働大臣らにお声がけされると、緊張した雰囲気が一気に和らいでいた。
1年に一度、赤十字の理念に賛同し、日々各地でさまざまな活動に励む人々を称える全国赤十字大会。日本赤十字社(以下、日赤)の名誉総裁を務める皇后として、雅子さまは例年式典に臨まれ、功績のあった個人や団体に有功章を授け、実践活動の報告に耳を傾けられている。
大会の直前、風邪気味のために御養蚕始の儀を延期されていたが、当日はそれをみじんも感じさせない絶好調ぶりを見せられた。
「大事をとったのが奏功したのか、大会では式典や懇談にもお元気なご様子で臨まれていて、会話も実に盛り上がっていました。また大会同日には、延期されていた御養蚕始の儀にも臨まれています」(宮内庁関係者)
雅子さまが臨機応変にご対応できるようになったことを、精神科医の香山リカさんも安堵しているといい、こう続ける。
「雅子さまがご自身で体調をみながら、“このお務めのために、これは控えよう”といったように、臨機応変に対応されているようにお見受けしています。
適応障害の方は、日常の生活で生じるいろいろな選択や、物事に順番をつけることができず、結果としてすべて休んでしまうという状況になることも多いです。
雅子さまがお務めの優先順位を自ら判断しながらご公務に臨まれることは、大きな改善であり、今も回復途上にある雅子さまにとって好ましいことだと思います」
そして、今年も日赤職員として全国赤十字大会の運営に関わられた愛子さま。会場にお車で出入りされる際にも歓声が上がっていたが、今や赴かれる各地で盛大な奉迎を受けられる“フィーバー”ぶりは、雅子さまの原動力になっていると、前出の香山さんも指摘する。
「もしご体調がよくないときであれば、愛子さまの目覚ましいご活躍をご覧になっても、ご自身と比べ、雅子さまは否定的な感情を抱かれてしまったかもしれません。
しかし最近のご様子を拝見すると、愛子さまのご奮闘をご自身の肯定感や生きる活力として捉えることができる状況になられているように感じます。これも雅子さまのご体調がよくなっている証しだと言えるでしょう」
雅子さまのご体調不安がささやかれ始めたのは、23年前の2002年12月のニュージーランド、オーストラリア歴訪を終えたころだった。
「現地では輝くような笑顔でしたが、ご帰国後、雅子さまのご体調に変化が出始めたという声がご一家の周囲から上がっていました。
全力で臨まれていたご公務と1歳を迎えた愛子さまの子育てとの両立に日々悩まれ、さらに“お世継ぎ”問題のプレッシャー……これらが複雑に重なり合い、雅子さまの心身に過大な負担をかけてしまっていたのです」
■日々の話し合いで母娘は志を通わせて
外務省に入省後も、そして天皇陛下とのご成婚後も、世界各国の経済的な格差や飢餓、医療の不平等といった問題に苦しむ人々へのまなざしを忘れず、お務めを通じて行動されていた雅子さま。
そのお志は、愛子さまにも着実に受け継がれていた。万博ご視察時、地球環境や飢餓の問題から食文化の未来を考えるパビリオンでは、フードロス問題についても言及しつつ、
「一方では食糧が足りない地域もあり、これを解決する方法はないんだろうかということを、よく家族で話し合っているんです」
と明かされていたのだ。前出の知人は続ける。
「万博ご視察時に、愛子さまは夢を書き込むモニターに『世界平和』と書かれておりましたが、両陛下の教えが息づいていると改めて感じました。日々の話し合いのなかで、両陛下は愛子さまに、皇室のご活動を通じて、“自分に何ができるのか”と考える大切さを伝えられているのでしょう」
雅子さまと愛子さまが、今後母娘で力を合わせ目指されることとは……。そのヒントについて、欧州の王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんはこう語る。
「天皇ご一家とも親交があるベルギーのマチルド王妃は、2019年に次期国王である長女のエリザベート王女を伴い、ケニアの難民キャンプを訪れています。またスペインのレオノール王女も、2022年に一家でウクライナ難民の支援施設を訪れました。
将来女王になる立場の欧州各国の王女たちは、“パワープリンセス”と報じられるほど、世界規模の社会問題の解決や平和の実現に向けて、親世代の背中を追いながら、団結し行動を始めています。
両陛下と愛子さまは、6月にも沖縄県を訪問されます。世界平和に向けて愛子さまも各国のプリンセスと一致する部分があるのは、頼もしいことだと思います」
世界に誇れる愛子さまを育てられ、自信も深められている雅子さま。平和で、飢餓なき世界を実現するために――。覚醒した母娘の闘いは、もう始まっている。